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天使憑き  作者: 夢籐真琴
33/104

遠い空の下で⑷

それから平穏な日々が続いていた 特に何も問題が無く相変わらず零と奈美の関係も変わらず(零が奈美をからかうようになったぐらいで)零の愛する日常が戻っていた




そんなある日、いつものように奈美らと4人で昼食を食べようとしていると、何やら不穏な音が校庭の方から聞こえてくる

「何だろ~な?」

良太が見に行った隙に零がおかずを少し拝借する

「私の少しあげようか?」

気を使って遠慮がちに弁当箱を寄せてくる奈美の弁当から卵焼きを貰う

「サンキュ」

そんな2人を見て呆れたように美夏が

「あんたら2人とも手もつながないくせにそういうとこには抵抗がないね 間接キス同然の事をしてるのに?」

真っ赤になる奈美を気にせず、また唐揚げを貰う

「別に俺は手を繋ぎたくない訳じゃない 暑いし歩きにくいし 第一嘉川が嫌がってるだろうが」

唐揚げを頬張りつつしゃべる

「別に私は・・・」

押し黙った奈美を可哀想に見つめつつも

「この子の人見知りは激しいからね~」

「人見知りの問題か?」

もっともな突っ込みを零がした瞬間

「ちょ、なんか柄の悪い奴らが来てるぞ」

様子を見に行っていた良太が帰ってくる

「あっそ」

「それで?」

零と美夏が酷い返事を返すと

「なんか弁当の具が減っているような・・・?」

「気のせいだろ」

無表情のまま零が返すと

「気のせいよ、気のせい」

美夏も賛成する

「そうかな・・・?」

事情を知っている奈美は内心汗をかきながら黙っていた 零を庇うためではない 弁当を取られて怒った良太が零に飛びかかって返り討ちにあわせない様にという奈美なりの最大限の思いやりだ

「それでさあ、そいつらさ、なんか結構数がいたぜ」

「そうかい、報告ご苦労様」

棒読みで零が言うと美夏も

「戦ってきなよ」

と、さりげなく酷いことを連発している

奈美は沈黙していた ちなみに良太は撃沈していた





未だに衰えない食欲に自分の体重を心配していた零は美夏達の話を聞き流していた

そこにドアが強引に開けられた

一同押し黙ったところで、ドアを開けた柄の悪い兄ちゃんが

「おい、ここに零って奴はいるかい?」

「いね~よ」

零が答える

「お前か?」

「頭悪いな、いや耳か?居ないって言っただろうが」

「てめえか・・・」

「人違いだな」

余裕の表情を見せる零に対し、逆に押されているそいつは

「ちょっと来いよ」

「だから人違いだって言ってるだろ」

「死にたいのか?」

「どっちがだ?」

顔面真っ赤にして叫ぼうとしているそいつを後ろから押し付けた

「宮西君?」

知性的な雰囲気を見せている男が出てきた

「お前は?」

「ふむ、名乗ってなかったか 萩田健だよ」

「お頭はなあ、萩田組のトップなんだぞ お前なんかが・・・」

萩田の肘が男の顔に直撃する

「すまないね。申し訳ない。こんな馬鹿な事しかとないような奴しか今手が空いてなくてね 本題だがついてきてくれるかな」

「この騒ぎはお前が起こしたのか?」

「申し訳ない。私の人選ミスだ」

「まず、こいつらをここから消えさせろ お前もだ」

「わかった 場所はうちの本部でいいかな?」

「さっさと失せろ」

「容赦がない」

萩田は笑いを殺しながら教室を去っていった















それから零は奈美達が止めるのを無視して萩田組の本部の正面に立っていた

「どうするかな?」

目の前には高層ビルが立っており、萩田は1番上の最上階にいることがわかっている

『あなた馬鹿な真似したわね』

突然頭の中に通信が入ってくる

『興味あったし、別にいいだろ』

『まあね。でも銃はやめときなさい 剣の方を使いなさい』

『銃を辞めるのはいいとしても、これでも死んじゃうんじゃねぇか?』

『大丈夫、当たっても骨が砕ける程度の強さにしとくから』

(天使よ、それは重症だぞ)

『とりあえず危険になったらきてくれや』

『本気で言ってるの?』

『まさか』

笑いつつ正面から堂々と入って行った














一時的に木刀と化した剣で零は特に苦労することもなく屋上にたどり着いた

『18分よ~意外とかかったわね』

『人より階段の方がきつかった』

『ラスボスね』

『お前黙ってろよ』

『あら?聞いてもいいのかしら?』

『お前いつも盗み聞きしてるだろ』

『あら、心外ね。私は眼が異常と伝えてこない限り盗み聞きはしていないわ プライバシーだもの』

『勝手にしろ』

ドアを足で開けて中に入った









入った瞬間ドアの影に隠れていた男達が襲ってきたがあらかじめ眼で察知していた零には奇襲攻撃は成功せず(実際に見えなくても零は攻撃を喰らわずにいられるが)あっさり2人とも夢の中に落ちていった




意識を落とした2人を外に放り出していると

「君、ドアは足で蹴るものじゃないよ」

大真面目に注意してくるので反論する気をなくした零は

「悪かったな・・・」

ちゃっかりドアノブの部分を蹴り壊していた零はそれを萩田に投げて渡し

「で?用件は?」

極上のソファに腰を降ろしつついつのまに取ったのかこれまた目が飛び出る程高級な酒を萩田の机から取り出して飲んでいた

「美味いな」

「それは私のものなのだが?」

「それが?」

「このドアノブをどうしろと?」

「付けとけば」

「君は客としての礼儀がないのか」

「そっちが礼を示さない以上こちらが示す必要がないからな」

「それは悪かった」

謝りつつ、なぜ自分が謝らなければいけないのかを理解できずに内心首を傾げていた

「で?用件は?」











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