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天使憑き  作者: 夢籐真琴
32/104

遠い空の下で⑶

零は寝ていた

授業中にもかかわらず連日のゲームの疲労がここにきて一斉にのしかかってきた

朝、学校に来てから昼休みになった今でも熟睡をやめなかった

そんな零が気持ちよく寝ているところに奈美と美夏による邪魔が入った

「宮西~起きろよ~」

「宮西君?」

「おい、こら起きんかい」

ドスッと音がなった

背中をどつかれた

「誰だよ・・・?良太・・・」

良太の膝を力一杯蹴り上げてから何も無かったのかのように奈美と美夏を見る

「何か用か?」

「いや、昼だから 一緒に食べない?」

「どこ行く?」

特に用事も思いつかずお腹も減っていたので誘いに乗る

「中庭は?」

「おいよ」

返事をしてコンビニで買っておいたおにぎりを持って中庭に向かう

「ちょっと待て~」

弱々しい声が背中から上がる

「俺を置いていくな~」

片手を伸ばしつつ悲壮な顔をうかべている

「何の芝居だ?」

捨て台詞同然で中庭に向かう

「待ってよ~」奈美

「ご愁傷様~」美夏

2人は良太を置いて中庭に走って行った









今日の天気はいい

太陽は気持ちがいいくらい晴れている

(もうすぐ秋か)

妙な感傷に浸りつつ、黙々とおにぎりを頬張る

「ねぇ?宮西聞いてるの?」

「うん?いや悪い」

「ふ~ん、最近宮西付き合いよくなったのに何か私はこの世界にはいません~てな感じの雰囲気醸し出してるよね」

本当の事を言われて苦笑する

「あ~いえてら、何か零変わったよな」

「もしかして可愛い彼女が出来たからかな~零君?そこんとこどうなんでしょう?」

「ちょっと美夏ちゃん!」

美夏が箸をマイク替わりにして突きつけてくる

「汚ねえな」

「ちょっと~酷くないですか零君~?」

「そうだぞ いくら美夏といっても一応女の子なんだぞ う・・・」

腹に一発入った

苦しそうにもがく良太を傍目に

「フォローになってないわ」

最近この4人と一緒に行動する事が多くなった

良太は美夏の幼馴染だ

微笑ましい(?)じゃれ合い(?)を無表情で見ていると、

「んで?実際どうなのよ」

「美夏ちゃん!?」

「あ~俺も知りたいです」

生き返った良太も参戦してくる

「まだその話生きてたのかよ?」

呆れつつ返すと

「だって変わったしねぇ~」

「で、どうなんですか?零さん?」

すっかりリポーター気取りでどこから調達して来たのか本物のマイク(みたいになっているもの)を向けてくる

隣にいる奈美を見る

期待しつつも若干怯えているような奈美の肩に手を置く

「?」

疑問符をうかべている顔とこれから自分がする行動の結末を思い内心大爆笑しつつ

「奈美に会って俺は変わったよ」

肩を一気に寄せて顔が触れるぐらいまで顔を近づける

「ありがとう・・・嘉川」





ポカンとした3人のうち1番早く我に返った奈美は

「え~~~~~~!!!!!!!!!!!」

顔を真っ赤にして無理矢理零を突き放し中庭を陸上の選手に負けない程のダッシュで走っていった

「あいつ陸上の選手のなれんじゃないのか?」

至って普通にお茶を飲んでいる零に向かい

「あんた、やり過ぎだって」

「そうか?冗談のつもりでやったんだけど」

「奈美ああいう事に免疫ないから

あんたらまだ手もつないでないんでしょ」

「ああ、そういや嘉川って呼んだな 下の名前で呼んでやればよかったな」

論点がずれまっくている会話は何故か成立しており美夏もちゃっかり奈美の残したご飯を食べようとしている

「それはダメだろ」

「え~奈美の弁当美味しいんだよ」

「こういうものは彼氏が食べるものだ」

「ちょっと今だけ彼氏面しないでよ」

「いや、腹減ってさ、今さっきので奈美が逃げて残飯にありつけるかと思ってやったんだが見事に成功したな」

「朝から寝ていただけなのに何でそんなの腹が減るかね?」

「成長期だからしょうがない」

「威張るな!だいたいあんたの持ってくる量が少ないのよ」

「いや~今日は寝て過ごす予定だったから」

「寝に学校に来たんかい!」

「うん?そうだけど」

あっさり言われて何も言えない2人を見ながら

「それにしてもあいつ遅いな 倒れてないだろうな?」

この問いに答えられる腹の座った人物はおらず零の心配は見事に的中した

陸上部顔負けのスピードで逃走した奈美は自分の限界を考えず力尽きて保健室に厄介になった





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