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天使憑き  作者: 夢籐真琴
30/104

遠い空の下で

次の日の朝

窓を開ける 気持ちのいい朝だ

気分は快適なのにいかんせん身体がまだ痛む

歩けない程ではないにしろ今日一日は苦労しそうだ そんな事を思いつつ身体を起こそうとすると

「おはよ~零」

なぜかエプロンをしているドロシーが部屋に入ってくる

「・・・お前何してんだ?」

痛む頭を抑えつつ果敢にも聞いてみるが

「主婦よ 主・婦」

強調しなくてもわかってる

「私、ドロシアは今日は休む零君のために今日一日主婦になります」

「お前変な所で爆弾発言するなよ」

「ん?美人妻がよかった?」

「そういう問題じゃない」

「じゃあ、何がいいのよ」

「じゃあ、美人妻で」

「了解しました~」

学校に休みの連絡をしておいて再び寝る









「お目覚めですか?ご主人様」

怪我のせいもあってか結構よく眠れた

時間を見てみると1時になっている

(む?)

何か変な単語を聞いた気がする

ーーーーーご主人様ーーーーー

「はぁ!?」

飛び起きる

「ご主人様、怪我に響きますわ」

何故か目の前にいた天使に言われる

「なんでそんな言葉なんだ?」

「それはご主人様が選択されたので」

「選択?」

「はい、美人妻と」

あれか

あれが生きてたのか

「天使」

「はい、何でしょうか?」

「一つ飯くれ 二つお前の喋り方はどっちかというとメイドだ 三つその喋り方とその服装を辞めろ」

「了解 コンビニ弁当でいいわね」

いつのまにか弁当が目の前にある

ありがたくいただくことにした










ご飯を食べ終わりゆっくりとくつろいでいると

「はい」

缶ジュースを渡される

「サンキュー」

飲みながら昨日聞けなかった事を聞いてみる 幸い渚を学校に行っている

「なぁ?昨日何で襲われたんだ?」

天使の表情が少しの強張る

少しの沈黙してから

「あなたは知って生きて前みたい危険な目に合うか 無知のままで安全な未来を過ごす

あなたはどちらを選ぶ?」

今度はこっちが沈黙する

さらに

「知ってしまったら元へは二度と戻れない

渚ちゃんや奈美ちゃん達と生きる世界が違うようになる 一生私達側に生きる事になるわ」

追い打ちをかけてきたが

「決まってるだろ」

強く言い返す

「俺には聞く未来しかないって事ぐらいお前にだってわかってるはずだ」

「それでもよ!今回みたいに甘くない 毎日命をかけて生活する事になるかもしれない

私はあなたにそうなって欲しくない」

「悪いが俺の命はお前に預けている 別に今死んでも惜しくない」

「・・・」

絶句した天使の眼を強く見つめる

その眼の右眼は銀色に染まっている

その眼は天使を突き刺すような勢いで

「わかったわ…」

長い長い昔が始まった









昔天界には今よりもっと多くの天使がいた

みんな仲良く暮らしていたの

でもね、神がある日ある理由から天使を殺したの

その殺された天使が悪い 殺した神が悪い

今でもその議論は続いているわ そしてその結論は永遠にでていない

そしてその殺された天使の味方 その天使はとてもいい天使だったの その分味方も多かった

だからその天使の味方は神への抗議のために一斉に下界へ降りた

それがいわゆる堕天使・・・

やがて、時代は変わっていき堕天使の跡を継ぐ者・・・世代交代ね

その世代交代した若い天使が過激派だったの

そして天界、下界問わずの大戦争になった

でもそこで仲裁をした天使が今の神よ

しかしその仲裁させた天使・・・アマっていうんだけどアマの体の調子が良くなくて またちょうどなんとかアマが抑えていた均衡が崩れ出しかけている

そして前に現れたのがその堕天使が仲間にした人間

実際には操っているのと変わらないけどね











昔話が終わった

どうやら今から再びの大戦争が起こるようだ

「なぁ・・・今まで人間界では大戦争っていうのが起こったか?」

「表面上では起こっていないのよ、力のある天使が別世界を作り出しそこでやりあったのよ」

「別世界で・・・か」

「あなたはもし戦争が起こったらそこに連れていかれるようになった この話を知ってしまったから・・・」

天使が服のポケットの中からあれをだして机のふとんの上に置いた

「これの使い方はわかるわね 引き金を弾くだけよ

こっちは振ったら伸びる 実際に戦闘になったらこれで人を切る事が出来る

もちろん私達もね」

目の前におかれたのは無機質な銃と黒いペンほどの高さで握るのにはちょうどいい大きさの物だった

「・・・天使は死ぬのか?」

「ええ、死ぬわよ 老死はしないけどね」

「そうか・・・」

「なに?怖気ついたの?」

「少なくとも聞かなかったら良かったなんて言わない お前は闘うのか?」

「何に?」

「・・・」

「実戦は厳しいわよ、目の前で仲間が死ぬからね」

「承知の上だ」

「まだ均衡はなんとか保たれているわ 今のうちにやりたいことやりなさい」

「教訓かい?」

自嘲めいた口調で返す

「ええ、あなたよりずっと多くの修羅場をかいくぐった私が言うことよ 素直に聞いときなさい」

こちらもどこか淋しく自嘲めいている

「覚悟は・・・できてるさ・・・」

「そう」

窓の外を見つめた

平和な風景だった

この景色に赤は似合わない・・・

そう思った












「覚悟はできている・・・か 実に興味深い」







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