番外編~逃走中~ドロシー&零の場合
ドロシーの場合
零が別れるように指示したところでみんな別れて走る
私はそのまま真っ直ぐ走った
「これって地味に損な役割じゃないの?」
呟いた通り半分以上の人間がこっちに向かって走ってくる
ドロシーは人間の女子にしては速いスピードで走っている
(速く走ってもいいのだけどあとあと面倒よね)
とか思いつつ結構なスピードで走っている
疲れこそしないが結構な数の人間がこの学校にいることはわかった
それだけに魔法で人のいないところを探して走ってはいるがそれも限界に近づいていた
(人多すぎでしょう!?)
どこに逃げても人・人・人
キリがない
(やばいわ 囲まれる)
後ろは離しているが前には人がいる
ちょうどそこにあったトイレに駆け込む
何とかばれないように済んだようだ
そのドロシーの格好はちゃんとこの学校の制服を着ている
これも魔法だ
天使は基本的に服は自由に変えられる
ドロシーはお洒落が好きなので
服をいろいろ変えているが
サミのように服装に無頓着な天使は
毎日同じような人間界でおかしくないような服装をしている
今日もサミは私服?だった
(さて、ここからどうしようかしら?)
そう考えていた時
キーンコーンカーンコーン
と無機質なチャイムの音が鳴り響いた
(授業終わったのね)
そんなことをぼんやりと考えていると
トイレに人が入ってくる気配がした
(マズイ)
すぐさま個室に入った
そこにそこそこ可愛いと思われる女子3人組が入ってきた
「ねぇ~そういや宮西君どうしたのかな~?」
「あ~そういやどっかいったね」
「奈美は宮西君好きだもんねぇ~」
「でも全然女子に興味ないんだよ~私が話しかけても基本無表情だし」
「かっこいいけどねぇ~クールっていうか」
「全然動じないんだよねぇ 私が誘惑紛いのことしても『お前なにしてんだ?』だし」
「美夏ちゃんそんなことしてたの~?ずるいよ~」
「奈美告っちゃいなよ
奈美可愛いしいけるよ~」
ドロシーは3人の会話を聞いて
個室で笑いを殺していた
(結構モテるじゃない 渚ちゃんは女性関係は全くないって言ってたのに)
これで一つからかう事が見つかった
内心ほくそ笑んでいたドロシーだが
(そういえばこうやって逃げてるのも零のせいだったわね ちょっと遊んじゃおうかな~)
零の居場所を確認して
個室から出て驚いている3人組を尻目に
堂々と零の教室に歩いていった
零の場合
みんなで別れて逃げたあとによく考えてみれば自分はこの学校の生徒だから逃げる必要がないことを思い出した
(トイレに隠れて調子が悪かった振りでもするか)
そこで一回隠れてから
保健室に行ってアリバイを作った
(これで完璧~)
鼻歌を歌いながらちょうど授業が終わったので教室でクラスメイトと話していた
彼はこのあとに悲惨な出来事が起こることをまだ知らなかった
奈美は放心状態だったが今の会話が聞かれた事がわかると止めに行こうと追いかけたが
その綺麗な人はなぜか自分のクラスに入っていった
(誰に用なのかしら?)
追ってみると驚愕の光景があった
零はクラスメイトと話しながら違和感を感じていた
(なんか廊下が騒がしいな?)
白銀の眼を使おうとした瞬間
ここにいるはずの奴がいた
「なんでお前が・・・」
言いかけた途端
その人物?が抱きついてきた
「零~会いたかったわ~」
スタイルはバツグンにいい
気持ちのいい感触がする
その人物とはもちろんドロシーだった
一瞬思考回路が止まった気がしたが
3秒で立ち直った
「お前なにしてんだ?」
「大丈夫よ、私はこの学校の生徒のようにみんなは錯覚するようにしたわ」
ここだけ小声で
「そういう問題じゃない」
「なに?」
可愛く首を傾げている
周りからは歓喜とも絶望ともとれる悲鳴が上がっている
さらにこの首を傾げる仕草だ
誇張でもなく倒れる男子が何人か眼に入る
「なんで来た」
声が低くなるのが自分でもわかる
周りの人間が顔が蒼くなる
普段は温厚な性格で通っている零がこんな声を出すのは初めてだからだ
「私零に会いたかったの
来たら迷惑だった?」
また可愛らしく首を傾げた
悲鳴が聞こえる
隣の組からも何人かが来ている
またバサッ と誰かが倒れた
(ダメだ わかってても俺まで卒倒しそう)
自分でそう思うぐらい今の天使は可愛い
元の姿を知っているだけ内心は冷めているが
とりあえずこんな人間破壊天使を教室においておくわけにはいかない
「お前いつまで抱きついているつもりだ?」
「ダメだったの?」
「とりあえず離れろ」
「私、零の事いつも思っているのに」
頭が正常に動かなくなりそうだ
天使を無理矢理離して
また天使の手を引っ張って屋上の戻る羽目になった
後ろからついてきていた奈美は教室の光景をみて腰を抜かした
美人と宮西君が抱き合っている
クラクラと自分が倒れるのがわかった
「奈美!?しっかりしなさいよ」
美夏ちゃんの声が聞こえたのが最後だった