日常との別れ
二人に協力することが決定事項になってしまった零はげんなりと肩をおとしていた
それに構わず固いイメージを持っていた秋人とドロシーが仲良くしゃべっていた
「それにしても、こいつなかなかの器持っているな~」
「サミも認めたからね」
「あのサミが認めるのは滅多にない・・・いや見たことないもんな」
「確かにね」
そこに乱入してきたサミが
「秋人は最初なにも言えなかったからな」
「いやいやサミさん、まずあの状況でまともな状態でいられませんよ」
なぜ敬語?
「零は割とまともだったよね
軽口たたいてたし」
いや、よく覚えていないが
「そうなの お前やるねぇ
後輩なのに若干尊敬
これから俺に対しては敬語いらないよ」
「ありがとうございます」
意外に軽い人なのか?
そんなことよりも聞かなくてはいけないことがあった
「ちなみに俺って何で呼ばれたの?」
「紹介するためだけど」
「お前もしかしてそれだけとか言わないよな
ドロシーちゃん?」
満面の笑顔で問いかける
秋人、ドロシー、サミでさえ顔がこわばっている
「そのために授業を抜け出さなければいけなかったわけはないよな
ドロシー・・・」
今度は若干声が低くなる
秋人は後ろに下がりつつある
ドロシーは顔が蒼くなっている
「ドロシーーーーーーーーーーーーー!」
大声で叫び攻撃にでる
ドロシーも承知のうえで先に逃げている
この学校は勉強に力をいれており
授業を大切にしている
授業を抜け出すなんて言語道断だ
補習の嵐が待っている
無論プリントの嵐もだ
こんなくだらないことで呼び出されたのかという怒りが零を動かしていた
驚異的な跳躍力でドロシーに迫り
柔軟性を武器に人間の体ではあり得ない攻撃を繰り出す
それをみたサミは
「ドロシーがオバケと言った理由がわかるな
身体能力が半端ではない
いくら我々天使達と同調したところで
あの無茶な動きはできない
あいつは本当の人間じゃないかもしれないな」
「いやいや、そこはさらっと流したらいけないところでしょう サミさん」
零がドロシーを抑えつけようとしている
「これだけ見てれば美男子と美女
楽しい画なのにねぇ サミさん」
「お前私に何を期待している?」
「何でもないです
そういや何で魔法使わないんだろ?
魔法を使ったら零はかなわないはずでしょ?」
その疑問には零も耳を傾けた
「それは無理
天使と同調した人は天使の魔法にはかからない」
「かかるって・・・媚薬みたいじゃん
じゃあ攻撃の仕方は?」
「無論殴り合い」
「原始的な方法ですね
ちなみに天使は疲れたり、傷ついたりするんですか?」
「一応するが人間程体力消費は早くない」
「なるほど」
2人和やか(?)に話しているのを聞き
「いい事聞いちゃったなぁ~ドロシーさん?」
秋人もサミも零の周りの気温が下がった気がした
いつのまにか零はドロシーに馬乗り状態になっている
「ちょ、零 女の子を殴ってはダメよ
サミさんも余計なことを言ってないで助けてくださいよ~」
「お前は女か!」
「そうよ、私はか弱い女の子よ!」
「か弱いは取り消せ!」
秋人&サミは内心 そこか と突っ込んでいた
「あなた一回眼科行きなさいって言ってるでしょ
それと押し倒すのは他の女の子にしなさい」
「お前以外にやったら犯罪者じゃねぇか
眼科も行った
この白銀の眼でも問題なしだとよ」
「それなら神経外科は?」
馬乗りの体勢で猛烈な口喧嘩をしているところに口を挟んできたのは秋人だった
「お二人さん 仲がいいのはいいんですが
そろそろ今の状況を考えてくださいよ」
零とドロシーに睨まれて逃げ腰になった秋人だが逃げなかった
今の二人に睨まれて逃げなかったのは
表彰ものだ
顔を引きつらせながらも
「今授業中ですよ 周りの迷惑を考えてくださいよ」
『忘れてた』
秋人は妙なところでハモった2人をみて
苦笑をしていた
そして白銀の耳を使って教師が上がってきたのを探知した秋人を先頭に各自校舎を逃げ回った4人であった