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魔剣の君  作者: Blood orange
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帰郷8 西の国の奇病 後編 上

本文

ガゾロは、兎に角この国にあると言われる井戸を見つける事にした。

ここドルバーには、大小合わせて、80もの井戸が存在している。 今は一刻も早くこの国に蔓延はびこる奇病の正体を暴かねば・・・・。

アクアは、奇病にかかって死んだ者達の家の調査に向かう事にした。1番最初に犠牲者となったサムの生家へと向かった。例え、命を落としていても、生家には、その人の生きた証となる残像と言う意識が残って居るからだ。 それに、アクアは、人間ではないから奇病に感染する事もない。

アクアは、ガゾロに「一々、こちらに戻る事は在りませんので、何か在りましたら、水晶玉でお知らせいたします。恐らく、その方がこの者達にも都合がよろしいでしょう」そう言うと、宿屋の戸を開けると外から雪崩れ込む様に部屋の中に入って来た大勢の男達は、昼間この宿屋の一階で食事をして居た男達だった。

彼等は、自分達も何か役に立てる事があれば、言ってくれと言い出した。

普通の人間で魔力も何もない彼等に調査に協力させる事は出来ないが、ここの国に伝わる伝説を兎に角集めてくれとがゾロが彼等に頼むと、心なしかザックやマリン達の顔にも安堵の表情が見られた。

ガゾロとアクアは、その日の夜に二手に分かれると其々の目的地へと向かった。


「アクアどの、呉々もお気を付けなされ」


そうガゾロが言うと、彼は黒いフードをすっぽりと頭から被ると暗闇の中に溶け込んで行った。 アクアは、ガゾロに「私の事は心配なさるな。私は、人の様に見えて人ではないのだから。寧ろ、其方に気を付ける様に言いたいのだがな・・・・・。と言っても、聞いてはいない様だがな・・・・」


アクアは、長い黒髪を1つに束ねると、魔法で黒いフード付きのマントを取り出して、其れを身に纏うとガゾロが歩いて行った方向とは、真逆の方へと歩いて行った。公国の都にもまだ人は疎らではあるが住んで居ると言うのに、都の家々には、灯りが1つもない。


「私の半身は、無事に成人の儀式を逃げたりなんぞしてはないだろうか・・・・・」


不安が募るが、今は目の前の事を片付けなければならない。アクアは、サムの生家に入ると、後ろ手で戸を閉めた。


 その頃ガゾロは、ザックから貰ったこのドルバー公国の地図を持って、移動魔法で井戸の場所へと虱潰しに一つ一つ移動しながら、目的の井戸を探し回っていた。

流石に宮廷魔術師長であるガゾロにも、この国にある80もの井戸全部を一晩で見回るのには無理があった。其処で、一晩で10個づつ見て回る事にした。

井戸は、井戸でも水が湧き出しているのだから、地下で必ず80もの井戸全てが繋がっているのだ。水と井戸周りの土を採取して、宿屋のザックの所を借りて、魔術を使って分析をすると言う地道な作業から始めないと、埒がない。

まるで、暗闇の中を蝋燭の灯火無しで歩いている様なものだな・・・・・。

ガゾロは、この日採取して来た井戸水と土に、ラベルを貼りながら、10個のXマークを地図上に付けて行った。

魔術で今日採取して来た物を調べると、薄いが魔術の反応があった。先ほど付けたXマークの所に青で小さく丸を描いた。

ドルバーは、元々砂漠地帯の所に、伝説の悲劇の姫君が、砂漠に倒れていた民を見て涙を流したものが、水となりオアシスとなって、今のドルバー公国の発端となると言われている。

本来ならば草木も生えない所は、流刑の地と言われていたのだが、其れを変えさせたのがラベンダー姫と呼ばれる方の慈悲なる魔力なのだろう。


 気がつけば、もうこの井戸水の水質検査を始めてから、既に一週間が過ぎた。 昨夜は、問題のお城にある井戸も調べたが、

そこから出たのは、他の所と変わりが無いくらいの、微量の魔術の量だった。

この事に、ガゾロも心の中で亡き親友であるガンマに、「お前は、いつも厄介な事ばかり持ち込んで来る」そう文句を言っていた。


漸く本日最後の一つとなる井戸を見つけた時には、東の空から白くたなびいている雲が薄っすらと明るくなって来ていた。後ニ刻もすれば、日も上がって来るだろう。誰かに見つかる前に早く後の10の井戸の調査を急がない事には・・・・。



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