表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣の君  作者: Blood orange
38/65

帰郷3 西の国へ

 ガゾロ達は、一旦西の国ドルバー公国に向けて歩き始めた。

途中で立ち寄った街でトゥダを新しく2頭買う事にした。 アクアは始め「私は人ではないので、疲れないし、金の無駄遣いだ」と言い出したが、ガゾロは頑にアクアをトゥダに乗せると目的地に向って走り出した。


 「ガゾロ様。一体、どうしてトゥダを買おうなんて思われたのですか? 」


 「ああ。実はな、これからトロルの森を通らなきゃなんないんじゃよ。彼奴らは、人間が嫌いでな。じゃが、トゥダと心を通わせておる人間なら、トロル達も悪さはせんのだよ 」


目を細めて遥か西の方を見ているガゾロは、人の良い微笑みを作ると目尻に皺を寄せていた。


 「そうですか。 私はてっきり そのトロルの森に誰か大切な方がいらっしゃるのかとおもっていましたけど...ね 」


アクアの言葉に、ガゾロの肩がピクンと揺れる。大げさに溜息をついたガゾロは、クシャッとした哀しい笑顔を見せた。


 「実はな、西に行くには別にトロルの森は通らなくても良いのじゃが、何だか胸騒ぎがするのじゃよ。ヴォール いや、トロルの村の長からの季節の羽衣が来た時に、手紙ももらったのだ。それには、『トロルの森の外れに黒いキノコが発生して来た』ときいたからの.... 何も無いと良いんじゃが.... 」


 「トロルの森とは、どう言う所なのですか? ガゾロ様 」


 緑が深く、木々が生い茂り、昼でも日の光が地表を照らす事などない場所なのだが、トロル達が季節の羽衣を作っているのだ。

季節の羽衣とは、トロル達の毛髪から出来るのだ。それは、たった1本の毛髪から、その1シーズンの羽衣が出来る。出来上がった羽衣達は、鳥達がそれを銜えて大陸各地へと運んで行く。各地に運ばれた羽衣は、パチンと弾ける様に空中で霧の粒となって消えるのだ。そこから季節が産まれる。

トロル達の仕事は、年中無休。だが、今年の夏が中々来ない。普通なら、ギラギラと照り着く太陽が、大陸の各地に送り出されても良いのだが、まだまだ春の過ごしやすく不安定な気候が続いている。

その事に、ガゾロは一抹の不安を感じたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ