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魔剣の君  作者: Blood orange
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大ジージの旅 転生(改)

ワシは、98才既婚者で、息子は3人、孫は12人、曾孫は1人の幸せ者だ。

今ワシは、神様と一緒に白いこの道をテクテクと歩いておる。

まるで、雲の上を歩いているようじゃ。

 

 ワシは、神様に頼んでワシの魂の一部を曾孫のファートムに渡して欲しいと頼み、ファートムは奇跡的にも一命を取り留め、あの事故の後僅か二日間で退院した。

葬式の最中、ワシはずっとファートムの側におった。

ファートムは、母親のアンナさんが泣いておるのを一生懸命慰めておった。

あの子は、真直ぐで優しい子に育つ。

ワシは、そう核心すると神様と一緒に斎場の煙と共に天上界へと上って行った。

 その後ワシは、神様からの提案でワシに他の世界を見て来て欲しいと言われた。ワシは、自分の願いを叶えてもらったのだから、神様の願いなら聞くと言って、二つ返事で神様の依頼を受けた。

神様から、そこは人間界では無くて、異世界だからと言われたのを覚えている。


 真っ暗闇の中、ワシは目を覚ました。

手を動かすとまるで水の中に自分が浮かんでいるようで、シワシワになった手足が見える。

ワシの手が.....やけに小さく骨張って見える。

真っ白い世界は、柔らかくそして優しい。ワシは、外から聞こえる声に耳を傾けた。


「赤ちゃん、早く出て来ると良いわね」


「ええ。今か今かと、待っているのよ」


 そうか、ワシは転生して、今度は赤子となってこの母体の中にいるのだな...。しばらくすると、ワシの天井から声が聞こえた。

<もうすぐ、出発のお時間となります。シートベルトとなるものには、けっして絡まない様にしっかりと手足でへその緒を押さえて下さい〜>

そのアナウンスが消えた後、ワシがいるこの水が入った袋が急に振動を起こし始めた。


「も、もしや....産気づいたのでは...」


だが、すぐに振動は終わる。

初めは10分間隔だった揺れが、5分置きにと感覚が段々と短くなって来た。

 上下左右にワシの体が揺れ、ワシの意識の中にワシの母親となる人の感情が潜入して来る。

(私の赤ちゃん!もう少しで病院だから...頑張って...)

どうやら、この母親は出産自体初めてのようじゃ....。

ワシは、母親の意識を使って部屋の周りを見渡した。綺麗に片付けられた家の中は、生前大ジージが住んでいた日本の家とは、全く違う物だった。

父親の写真は、あるんじゃな。良かった...。この母親がたった1人で子供を産むのかと思ったら、心配になって来た。さっきからお腹の中から見ていたが、慌てまくって自分の荷物はどこだと1人で騒いでいる。

とにかく、この母親に落ち着いて貰わないと... 。

 誰かに連絡する様に母親の頭の中にワシの思考を潜入させた。

じゃが、ここの家の中には、何故か電話が無い事にワシは気がついた。

一体どうやって、連絡を取るんじゃろうか?

ふと思ったワシは、この母親の行動を見守る事にした。心無しか、この母親は緊張の面持ちで、先ほどから鏡の前をうろうろと歩いている。漸く彼女は決心したらしく、髪を縛ると大きく深呼吸をし始めた。


「赤ちゃん。母様を助けて。母様に力を頂戴」


 母親は、大きな鏡の前に立つと其処に手を起き、念じた。すると鏡の表面に浮き出たのは、よく孫達と見ていた知った某アニメの魔法陣とか言う者じゃった。

ほ、本当に、魔法陣ってあるんじゃな...。

すると母親は、この魔法陣の中に入って行った。

 お腹の中のワシにも分かる様に、魔法陣の中に入る時、まるで柔らかいシルクの布で全身を包まれたようなそんなフワッとした感じがした。

そんな奇妙な感じから、一転してワシの体を弾き飛ばす様に水が出口に向って押し寄せて行く。

ワシは、驚きながらも、濁流と化した水に揉まれながら、狭い出口へと押しやられ、気がついたら眩しい世界に居た。

ワシを綺麗に水で洗って、母親に渡している医師。そしてワシの事を愛おしそうに見つめるこの世界のワシの母親になるであろう、その人をワシは見て「宜しく」と言った。

じゃが、ワシの声は、赤子特有の「ホギャー」と言う泣き声になっていた。

暫く、ワシのこの年寄りの思考を押さえて行く事にする為、ワシの思考を眠らせる事にした。


 ワシの名はこの世界でも、何故かジャンヌと呼ばれておった。

あれほど嫌がっていた名前だったが、何か意味があるのだろう。母親と呼ばれる人は、ワシにジョセフィーヌを縮めてジャンヌと言う風にしたのと言っておった。

 この世界のワシの名は、ジョセフィーヌ シュスラード フォング ミハエル トスポートルと何だか長ったらしい名前なのだ。一体これでは、どれがワシの名前なのか名字なのか分かりやしないじゃないか。

そう思っていたが、どうやらワシはこの世界で貴族とか言われる人達の家に産まれたらしい。その貴族とやら、娘には、母方の祖母と父方の祖母の名前を付ける事に決まっており、それがフォングとミハエルと言う事だった。シェスラードと言うのは、この世界の宗教の上の神様に使える天使の名前だそうだ。

と言う事は、普通で言うならば、ワシの名はジャンヌ=トスポートルで良い訳じゃな。

ようやく自分の名前を覚えた頃には、ワシはもう既に4才となっておった。

やはりこんなに長い名を覚えるのには、時間がかかる。

 ワシは、自分がただの子供の様に、この世界の幼稚園へ行って少しずつ子供らしく振る舞って行った。

この辺は、日本と一緒なのだな...。不思議に思いながらも幼稚園では幅広く色々な子供達と遊ぶ事にしていた。

じゃが、この様な教育機関に子供を預けられるのは、貴族か王族、または商家もしくは豪農と言った所謂金持ちだけだったようだ。

大ジージは、ジャンヌの意識の中に存在すると言う形で、これからも出て来ます。

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