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魔剣の君  作者: Blood orange
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孤独の離宮〜太陽の君

孤独の離宮~アウグスト


金の離宮が、朝日に照らされ、辺り一面が黄金の輝きとなる時間に、アウグストがゆっくり目を覚ますと、自分の隣でスウスウ寝息を立てて寝ているジャンヌを見ていた。

ジャンヌが眠っている間、アウグストはジャンヌの金の巻き毛にそっと指を絡ませていた。髪にまでラベンダーの香りが付いている。

そう言えば、歴史書の中の悲劇の姫と語られているクリシャーナ王女は、別名「ラベンダー姫」とも呼ばれていたと記されている。

彼女の髪や体には、ラベンダーを使った物を好んで付けていたと記してある。

もし、シルベスターが言う様にジャンヌがそのラベンダー姫の生まれ変わりならば……俺かディートリッヒの内どちらかを選べと言われて、迷ってしまうだろう。

アウグストは、白く透けるような肌をしたジャンヌの手をとると、口付けをした。


青白いジャンヌの肌に少しずつであるが、精気が入って来ているようだ。呼吸(いきを吹き込む様に精気を何度もジャンヌに入れているアウグストの姿を侍女達は、しっかりと扉の隙間からのぞいてました。


ようやく見つけた俺の光….。

どうしても手に入れたい。

例え、ディートリッヒに手をかけてでも。

もし俺がそんな事をすれば、コイツ(ジャンヌ)は俺を責めずに自分を責めるだろう。もしかすると、自分の存在自体を否定してこの世界の果てにある万年氷の世界となっているアガシの悲恋湖に身を投げてしまうかもしれない。

あのお転婆で破天荒なジャンヌだが、あいつならやりかねない。

そうなってしまえば、また俺はこの金の離宮で孤独との戦いになるのかもしれない。

もう一人は嫌だ….。

乳母のアーリアも、この世を去ってしまい、俺に取って心を許せる者は、目の前に居る百面相が得意で、行動に多少難があるジャンヌだ。

彼女の周りには、いつも風が流れている。温かい春の日差しのように俺の冷えきった、この心を溶かす様に包んでくれる。

もう、失いたくない。

大事な物は、全て手に入れる。

アウグスト。お前には負けないからな。


「ジャンヌを金の離宮に住まわせたい」


それは、妻として迎えたいと言う意志表示である。 ディートリッヒも同じような思いだったようだ。

久しぶりにアイツと目から火花を散らせる勝負が出来る。

ジャンヌと言う商品を賭けて。

だが、父王レゼンドは、ジャンヌに聞いて来た。

「もし、お主が伴侶を選べるとしたらどちらが良いか?」と。

ジャンヌにこの国の未来が託される。


シルベスター.....俺はどうすれば良いんだ?



ジャンヌの成人の日まで後5ヶ月と3週間。

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