第6話 入籍に向けてパッカーンよろしくと言われた話(中編)
いつも読んでいただきありがとうございます。
前話で発生した「5月22日までにパッカーンよろしく」案件。
期限、3か月弱。
指のサイズ、不明。
時間も情報も足りない中で、
未来の旦那、装備探しに入ります。
今回はその“装備選定編”。
どう考えてもラスボスはまだ先にいるのですが、
本人はまだ気づいていません。
それではどうぞ。
5月22日に入籍という人生最大のミッションを受けた僕。
あと、2か月とちょっとしか時間がない…
これは、直営社員だったころの「講習会達成目標」の100倍の難易度だ…
何せ、僕は彼女の指のサイズを知らない。
聞いてしまえば、サプライズじゃなくなる…
指輪のサイズを知らないまま、ミッションをコンプリートする……
……無理だ。
僕は3秒で結論を出した。
そして、指輪以外のプロポーズ方法を探す。
条件は次の通りだ。
・指輪以外
・一生モノ(途中で失われないもの)
・感動してもらえるオリジナリティがあるもの…
そんなのあるわけない…
と思いながら、ネットの海を渡る。
「プロポーズ 実例」
検索。
夜景の見えるレストランで花束とともに。
チャペルでサプライズ。
デザートプレートにメッセージ。
王道は、どうやら
“花と一緒に言葉を渡す”
らしい。
その瞬間、頭のどこかが反応した。
……そういえば。
プロポーズって、赤いバラじゃなかったか?
映画でも、ドラマでも。
箱を開けると、真っ赤なバラ。
調べる。
「バラ 本数 意味」
1本 「あなたしかいない」
3本 「愛しています」
12本 ダズンローズ(感謝や誠実などの意味を込める)
108本 「結婚してください」
サイトによって表現は微妙に違う。
だが、1本の意味はほぼ共通している。
――あなたしかいない。
その言葉に、僕は止まった。
108本は壮観だ。
だが、僕らしくない。
僕は派手な人間ではない。
ならば、一本に全部を込める方がいい。
だが、生花は枯れる。
それは自然なことだ。
けれど、プロポーズの象徴が枯れていく姿を想像すると、少し寂しい。
そこで見つけた。
「枯れない造花のバラ」
ドライフラワーではない。
長期保存を前提に作られた一本。
ガラスケース入り。
オプションで、
名前の刺繍。
日付の刻印。
蝶の飾り。
オリジナリティも出せる。
完璧だ……
そう思った僕は早速そのサイトに飛びついて、
オプションは何が良いか?を含め数時間悩んだ…
赤の色味だけでも数種類ある。
深紅か、少し柔らかい赤か。
刺繍は入れるか入れないか。
名前だけか、日付も入れるか。
蝶は付けすぎると子どもっぽくないか。
気づけば、
13時過ぎの出勤なのに、
9時から教室にいた。
塾の資料より真剣に、一本のバラを選んでいる自分がいる。
何をしているんだ僕は。
だが、これは人生最大の装備選びだ。
最終的に僕は決めた。
深紅。
ガラスケース。
彼女の名前の刺繍。
5月22日の日付。
そして、小さな蝶をひとつ。
一本。
たった一本。
でも、
「あなたしかいない」
その意味を持つ一本。
決済ボタンを押す。
注文完了。
装備、獲得。
そして僕は……
最後の「言葉という壁」を自覚する。
モノは用意できた。
だが、本番はここからだ。
未来の旦那、
最後の最後に失態を犯す
ここまで読んでいただきありがとうございます。
無事(?)一本のバラを手に入れました。
深紅。
刺繍入り。
日付入り。
蝶つき。
物理装備は整いました。
ですが。
プロポーズはアイテム使用イベントではありません。
最大の難関は――
「何を言うか」。
そして次話、
未来の旦那、
最後の最後でやらかします。
なぜそうなったのか。
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