第6話 入籍に向けてパッカーンよろしくと言われた話(前編)
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は第6話です。
ついに来ました。
彼女からの“期限付きプロポーズ指令”。
「パッカーンよろしく」
というパワーワードを残して去っていった彼女。
なお、この時点で僕は彼女の指のサイズを知りません。
人生最大級のミッション、強制発生。
塾屋、覚悟を問われます。
それでは本編どうぞ。
告白してから一か月と少し。
気づけば同棲まで進んでいた。
……これ、早くないか?
そう思う日が増えてきた。
生活は穏やかだ。
朝は一緒に起き、僕が朝食を作り、駅まで送る。
夜はなるべく向き合う。
22時以降のゲームは申請制。
大人の関係としては、順調だと思う。
だが最近、彼女の口から
“未来”という単語が増えてきた。
子どものこと。
結婚式はする派かどうか。
住む場所。
姓はどうするか。
軽いトーンだが、内容は軽くない。
当然、僕も将来を考えている。
塾屋という職業柄、社内恋愛が多い世界だが、
僕はそれだけは避けたかった。
遊びのつもりでマッチングアプリを始めたわけでもない。
だから、「結婚」を視野に入れているのは本当だ。
……ただ。
もう少し、この甘い恋愛期間を味わっていたいという
未練めいた気持ちがあったのも事実だった。
ある日。
結婚の話題になったとき、僕は言った。
「うーん……やっぱり一年くらい付き合ってから区切りかな」
無難な回答。
冷静。
常識的。
だが彼女は首をかしげた。
「どうせ結婚するんだから、待つ必要なくない?」
僕は一瞬、思考が止まった。
え?
どうせ結婚する?
もうその前提?
フリーズしている僕に、彼女は畳みかける。
「結婚は5月22日がいいな」
「ご夫婦の日でしょ?」
にこり。
「それまでにパッカーン、よろしくね」
最高の笑顔だった。
……いや、ちょっと待て。
今、2月半ばなんですが?
5月22日って、あと3か月ですよね?
両親への挨拶。
段取り。
仕事の調整。
そもそも。
パッカーンって何。
ああ、あれか。
指輪の箱を開けるやつか。
僕、あなたの指のサイズ知らないんですけど?
その日から、僕はミッションを抱えることになった。
「覚悟の言葉を具象化する“物”を探せ」
覚悟はある。
問題は、形だ。
未来の旦那、
人生最大級のイベントに向けて動き出す。
たぶん。
読んでいただきありがとうございました。
今回から「プロポーズ編」に突入です。
軽いノリで言われた
「それまでにパッカーンよろしくね」
ですが、
言われた側は笑っていられません。
5月22日という期限。
二か月ちょっと。
指輪のサイズ不明。
そして“形にする覚悟”。
次話では、
いよいよ具体的に動き出します。
未来の旦那、
本当に大丈夫なのか。
引き続きよろしくお願いします
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