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第83話:最初の依頼


掲示板の前に立つ。


木札が並ぶ。


Gランク依頼。


・薬草採取(西の林)


・下水路清掃補助


・倉庫整理


地味だ。


だが。


これが最初だ。


副長が横から言う。


「薬草採取は簡単だ。」


「だが勘違いするな。」


「林は浅いが、油断すると怪我をする。」


紙を受け取る。


地図。


簡素な印。


「報告は日没前。」


外に出る。


風が冷たい。


林は街の外れ。


学園の演習場とは違う。


結界もない。


整備もされていない。


踏み入れる。


土の匂い。


湿った空気。


足音がやけに大きい。


薬草は、葉が三枚に分かれている。


図と照らし合わせる。


間違えるな。


深呼吸。


刻み。


鳥の鳴き声。


風の揺れ。


自分の呼吸。


揃っていない。


少しずつ整える。


焦るな。


一歩。


また一歩。


足元の枝が鳴る。


小さな物音。


視線を動かす。


草むら。


何かが動いた。


小型の魔物。


牙は小さい。


だが油断はできない。


魔力量は少ない。


長期戦は不利。


距離を取る。


刻みを見る。


呼吸は二拍。


踏み込みは三歩目。


来る。


三歩目。


横にずれる。


噛みつきが空を切る。


今。


木剣で叩く。


強くない。


だが急所。


魔物が逃げる。


追わない。


深追いは危険。


心臓が速い。


手が震える。


演習ではない。


本物だ。


静まる。


周囲を確認。


揃っているか。


風。


鳥。


呼吸。


大丈夫だ。


薬草を摘む。


一枚。


二枚。


袋に入れる。


指先が震えている。


だが折らない。


日が傾く。


林を出る。


ギルドへ戻る。


受付に袋を置く。


副長が確認する。


「量は十分。」


「傷は。」


「軽微です。」


副長は一瞬だけ目を細める。


「魔物がいたはずだが。」


「いました。」


「……逃げたか。」


アルノーは頷く。


ギルド長が奥から声を上げる。


「死んでねぇな。」


「はい。」


「なら合格だ。」


報酬の小袋を受け取る。


重くはない。


だが。


初めての実地。


刻みは読めた。


ギルドの扉を出る。


空は薄く赤い。


学園とは違う緊張。


だが。


理論は、崩れていない。


まだ弱い。


だが。


現場でも、息は整えられた。


それだけで。


今日は十分だった。

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