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第80話:三つの刻み

物語の構成の迷子になっており、更新できていませんでした。

どちらの方向にも可能性がありそうで、あっちを想像したり、こっちを想像したり。。。



王立学園・演習場。


三対三の対人演習。


杖を構えるのが前提の光景。


エリオット・ヴァルクは、丸い体に似合わぬ精巧な杖を握る。


「前は任せろ。押すのは得意だ。」


ダリオン・グレイヴは細身の身体で短杖を構える。


「無理はするな。支える。」


アルノーだけが木剣のみ。


視線が一瞬集まる。


「始め。」


相手三人の杖が同時に光る。


増幅。


空気が震える。


エリオットが踏み込む。


王立式。


厚みで受ける。


だが相手の増幅が強い。


「ぐっ……重いな!」


ダリオンが詠唱を始める。


「三拍……立ち上がり早い。」


アルノーは呼吸を落とす。


読む。


エリオットは二拍半。

ダリオンは三拍。

相手は二拍。


揃っていない。


「エリオット、一拍遅らせて。」


「ダリオン、半拍詰めて。」


二人は一瞬迷う。


だが、従う。


踏み込み。


均す。


内部標を広げる。


次の一拍。


今だ。


三人の刻みが重なる。


衝撃が一直線に抜ける。


相手の流動型が崩れる。


勝負が決まる。


結界が消える。


静寂。


エリオットが肩で息をする。


「……今の、押しやすかった。」


杖を見つめる。


「同じ魔力なのに、重さが違った気がする。」


ダリオンが頷く。


「受けた時もだ。」


「一瞬だけ、芯が太くなった。」


アルノーは静かに聞いている。


エリオットが続ける。


「いつもは押すしかない。」


「でもさっきは、押す瞬間が見えた。」


ダリオンが言う。


「叩く刻みが合った鍛冶みたいだった。」


「打った瞬間、刃が通る。」


アルノーは小さく言う。


「どうにか急ごしらえでもできた」


ダリオンが首を傾げる。


「どうなっていたの?。」


「俺たちの刻みを見ていたのか。」


エリオットも言う。


「刻みを見る?。」


「そんなことが可能なのか。」


教官が近づく。


「杖を持たずに、どうやって合わせた。」


アルノーは答える。


「最初の攻防で、刻みを観測しました。」


ルディスが観覧席で小さく笑う。


「観測型か。」


ダリオンが言う。


「攻め型でも守り型でもない。」


「読む力だな。」


エリオットが笑う。


「観測して、一瞬だけ満たす。」


アルノーは月を思い出す。


満月は持続しない。


だが満ちる瞬間がある。


「観測型の強みは。」


ダリオンが静かに言う。


「増やさずに、最適化することか。」


アルノーは小さく頷く。


「全員が強くなるわけではありません。」


「揃った瞬間だけ、力を増幅しているように感じさせる。」


エリオットが杖を肩に担ぐ。


「商売もそうだ。」


「帳簿が揃った瞬間が一番儲かる。」


ダリオンが笑う。


「鍛冶もだ。」


「熱と打撃が揃う一瞬がある。」


三人は視線を交わす。


さっきの瞬間。


確かに、満ちた。


杖は持っている。


だが中心は杖ではなかった。


観測。


刻み。


満月。


一瞬だけ。


それでも確かに、強くなった。


演習場の窓から光が差す。


丸くはない。


だが。


揃う瞬間は、作れる。

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