第62話:目立つ者たち
夕刻。
灰棟ではなく、青棟寄りの中庭。
C組の授業終わり。
エリオットが小声で言う。
「見たか?」
ダリオンが腕を組む。
「A組の連中。」
アルノーは静かに聞いている。
「第三王子がいる。」
エリオットが言う。
「レオナルト・アルヴェイン。」
王族の名だ。
「表向きはスカウト組だが、政治絡みという噂だ。」
ダリオンが鼻を鳴らす。
「王族が魔術学園か。」
エリオットは続ける。
「しかもA組。」
当然だ。
「魔力量が桁違いだってさ。」
アルノーは思い出す。
丘で見た少女。
「怪物って呼ばれてる奴もA組だろ?」
ダリオンが言う。
リュミエール・セレスティア。
「魔力量測定で歴代記録更新。」
エリオットが指を立てる。
「かなり美人だと噂になっている。」
「今度、三人で見に行ってみよう。」
ダリオンが続ける。
「あと、体術でお前とやったカイル。」
「ローディアス家。」
「貴族上位。」
「強え。」
アルノーは頷く。
ダリオンが笑う。
「実はそんなやつに一撃入れているやつがいるらしい。」
エリオットが続ける。
「B組にも面白いのがいる。」
「結界特化型。」
「理論は並だが、安定性が異常。」
アルノーは考える。
A組は完成形。
B組は安定型。
C組は未整理。
ダリオンが言う。
「C組で目立つのはお前だな。」
エリオットが笑う。
「理論SS。」
アルノーは小さく首を振る。
「魔術を観測して、調整しているだけ。」
ダリオンが言う。
「それが一番怖い。」
夕陽が差す。
エリオットがふと聞く。
「さっきの式、あれ本気か?」
アルノーは少し考える。
「まだ美しくできるはずだ。」
ダリオンが眉を上げる。
「怪物か。」
エリオットが小さく笑う。
アルノーは空を見上げる。
満ちてはいない。
だが欠けてもいない。
王族。
怪物。
体術の天才。
結界型。
観測者
世界は広い。
まだ測りきれない。
だが。
証明できるはずだ。
アルノーは静かに言う。
「私以外怪物。」
エリオットが首を傾げる。
ダリオンは笑う。
「面白え奴だ。」
夕暮れは均一ではない。
だが、美しい。




