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第61話:美しさの理由



第二演習場の片隅。


体術の教官は腕を組んでいた。


「説明しろ。」


短い言葉。


アルノーは石床に標準式を描く。


多重円。


安定陣。


補助符。


「王立式は安全性を優先しています。」


「重ねることで干渉を抑えています。」


教官は頷く。


「その通りだ。」


アルノーは続ける。


「ですが、重ねるほど魔力の通り道が増えます。」


「通り道が増えれば、消費も増える。」


円の一部を消す。


「外周補助を削り、干渉角度を合わせます。」


「重ね陣は二層に限定し、均等を取ります。」


教官が目を細める。


「安定はどう確保する。」


「魔力量の振幅を抑えます。」


アルノーは自分の胸を指す。


「常に一定量を流し続ける。」


「急激な増減をしない。」


セラフィナは少し沈黙する。


「理屈は通る。」


「だが難易度が高い。」


アルノーは頷く。


「はい。」


「魔力量の制御が安定しないと一定に流すという部分が難しいと思います。」


ざわめき。


「なぜだ。」


「余剰魔力が暴れるからです。」


石床に二つの波形を描く。


大きな波。


小さな波。


「私は波が小さい。」


「だから一定に保てます。」


教官の目が変わる。


理解した目だ。


「魔力量が少ないからこそ、制御できるのか。」


「はい。」


アルノーは続ける。


「普通の方が使えば、振幅が大きくなり、」


「暴走するか、逆に消えます。」


「使用者にあった魔術式がそれぞれあると考えています。」


体術の教官が実際に試す。


標準式を修正し、均等を取った形。


魔力を流す。


一瞬、光が強くなる。


次の瞬間、揺れる。


消える。


教官は息を吐く。


「難しいな。」


アルノーは静かに言う。


「効率は上がります。」


「ですが長時間の維持は困難です。」


「制御が崩れれば、一気に壊れます。」


沈黙。


セラフィナは石床を見る。


「王立学園は安定を選ぶ理由が分かるか。」


「はい。」


「管理しやすい。」


教官は小さく笑う。


「正解だ。」


少し間を置く。


「だが。」


目が鋭くなる。


「お前の式は良い意味でも悪い意味でも危険だ。」


アルノーは首を傾げる。


「私は、この理論で世界は美しいと証明したい。」


「国がひっくり返るかもな。」


体術の教官は続ける。


「だが覚えておけ。」


「これは国の標準ではない。」


「他者に安易に教えるな。」


アルノーは頷く。


理解している。


美しさの魔術式は難しい。


演習場を出ると、ダリオンが待っていた。


「どうだった。」


エリオットが苦笑する。


「入学早々、説教とはついてないな。」


アルノーは小さく呟く。


「説教ではなく、説明。」


三人は顔を見合わせ、笑いあう。


この時は、まだ、この理論で世界がどうなるかも知らず

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