第49話:120位
発表から2日後の朝。
王立魔導学園の門前は人で埋まっていた。
貴族の馬車、徒歩の家族、空から降りる浮遊術式。
14日分と2日分の緊張が、一箇所に集まっている。
自宅に通知書が届いているはずだが、直接、結果を知りたいもので掲示板の前が押し合いだ。
「A組は三十名!」
「スカウト十名もA組だ!」
声が飛ぶ。
アルノーはじいやと並び、後ろから静かに見る。
上から順に名が並んでいる。
1位から10位。
深紅の外套の少年の名が、3位にあった。
動揺はない。
当然の位置だ。
スカウト組は掲示板の順位に含まれないが、10名すべてA組に含まれている。
30位までがA組。
その下にB組。
そしてC組。
3組制。
「王立学園は全寮制です!」
係官が声を張る。
「6年間、学内寮で生活していただく!」
ざわめきが広がる。
「卒業後は宮廷魔術師団、王立魔術監視院、各地領主家、研究塔などへ進路が分かれる!」
6年。
短くない。
学ぶだけでなく、仕分けられる6年。
アルノーは視線を下げる。
100位台。
117位。
118位。
119位。
――120位。
アルノー・ヴァレリウス。
C組。
最下位。
一瞬、音が遠のく。
だが消えない。
確かにそこにある。
じいやが言う。
「おめでとうございます。」
静かな声。
「……ぎりぎりです。」
アルノーは答える。
「境界は越えました。」
掲示の横に、個別成績表が掲げられる。
魔力量 1位 リュミエール・セレスティナ A
体術 1位 カイル・ローディアス A
魔術理論 1位 アルノー・ヴァレリウス SS※
周囲がざわめく。
「SS?」
「そんな評価あったか?」
係官が補足する。
「SSは特別評価です!」
「既存理論に対する高度な改善、もしくは独創性を示した者に付与される!」
「該当者は個別面談を実施する!」
ざわめきが一段上がる。
「最下位でSS?」
「何をした?」
深紅の少年、カイル・ローディアスが振り返る。
視線が交わる。
皮肉はない。
ただ、測るような目。
アルノーは、2日前に届いた自分の成績表を見下ろす。
F。
E。
SS※
極端だ。
試験管らしき人が壇上に現れる。
白髪まじりの魔導士。
杖を軽く鳴らす。
静寂が落ちる。
「合格した諸君おめどう、詳しいことは2日前に通知された手紙を確認してほしいが、」
低く、よく通る声。
「本学は六年間の全寮制教育を行う。」
「魔術、理論、体術、統治、対魔物戦術他。」
「諸君は国家の礎となる。」
視線が一人ひとりをなぞる。
「卒業後は、宮廷魔術師団、王立魔術監視院、研究塔、各領主家へと進む。」
次男の進路が一瞬よぎる。
「A組は上位30名とスカウト10名。」
「B組は中位。」
「C組に下位。」
ざわめき。
アルノーは掲示板から目を離す。
最下位。
C組。
だが。
SS※。
個別面談。
じいやが言う。
「若様、6年ございます。」
アルノーは頷く。




