図書館の勇者
掲載日:2025/11/06
ぽつ、ぽつ、ぽつり
窓を打つ雨の音
誰かを呼んでいるかのように
その声を奏でている
いつもは人の少ない図書館
今日は昨日よりも音が多い
ぱら、ぱら、ぱらり
本をめくる音
ぴっ、ぴっ、ぴっ
本を借りて返す音
不思議と煩わしくはない
心地いい図書館の声だ
白いページに目を向ける
勇者が人々を救っていた
僕にはこんなこと、できそうにないな
雨粒が白紙に解けてゆく
僕に剣を扱う才能はないけれど
全ての人々を救う魔法なんてないけれど
それでも
誰か一人の記憶に残ればなあ、なんて
ページの隙間から
コトリと落ちた剣に
一粒の雫が広がって
僕の背中を押すように
キラリと光った
ご覧いただきありがとうございました。
図書館の勇者には追いつけないかもしれないけれど、僕も小さな勇者になりたいな。
誰かに届きますように。




