第一2話 ダルーいの店へ
第2話
俺は、王様が去った後も、王城の門の前で立ち尽くしていた。手に握られた札束が、現実の重さを物語っている。
「…子作り…パーティー…」
王様の言葉が、頭の中で何度も反響する。魔王を倒すだけでなく、パーティーを組んで子作りまでしろと?意味が分からない。
「そうじゃ、忘れていた」
突然、背後から声が聞こえた。振り返ると、そこにはいつの間にか、王様が立っていた。俺は心の中で、「なんで戻ってきたんだ」と叫んだ。
「お前さん一人じゃ、旅できないし、子作りもできんからな、パーティを組むのじゃ!」
王様は、さも当然のようにそう言った。
「お前さん含めて4人じゃぞ、4Pじゃ笑」
俺は、王様の不謹慎なジョークに、顔が引きつるのを感じた。冗談に聞こえないのが、この世界の恐ろしいところだ。
「ダルーいの店に行き、一緒に旅する子を選ぶのじゃ!」
王様は、身を乗り出して俺の耳元で囁いた。
「可愛い女の子選び放題じゃぞ」
俺は「は?」と声を漏らす。すると王様は、咳払いをして姿勢を正した。
「コホン、私みたいに男が好きなら、男も、、」
王様は、自分の発言に気恥ずかしさを感じたのか、顔を赤らめる。
「話しすぎた。とりあえず、ダルーいの店にお行き。旅したい輩がいっぱい登録されてるさ」
そう言い残すと、王様は再び、王城の奥へと消えていった。
俺は、王様の奇行に振り回されながらも、言われた通りに「ダルーいの店」とやらを探すことにした。
「16歳にならないと行かない街のエリア」
そういえば、王様はそんなことを言っていたな。この街は、16歳の誕生日に王様への挨拶を済ませないと入れないエリアがあるらしい。俺は、そのエリアへと足を踏み入れる。
街の雰囲気は、それまでの平凡な街並みとは違っていた。活気にあふれ、大人びた雰囲気が漂っている。
俺は、少しドキドキしながら歩みを進める。
そして、ついに「ダルーいの店」と書かれた看板を見つけた。しかし、その店の前には、なぜかキャッチの男が立っている。
「兄ちゃん、いい店だよ。若い子、揃ってるよ」
男は、俺にそう話しかけてきた。俺は「え?いや、俺は…」と戸惑う。
「ダルーいの店、だよな?」
俺は恐る恐る尋ねる。男はニヤリと笑った。
「そうさ、ダルーいの店。そこの看板見てみな」
男に促され、俺は看板をよく見る。そこには、確かに「ダルーいの店」と書かれている。しかし、よく見ると、小さな文字で「旅のお手伝いします」と書かれている。
「なんだ、旅の手伝いか…」
俺は胸をなでおろす。
しかし、男は俺の勘違いに気づき、腹を抱えて笑い出した。
「兄ちゃん、そりゃあ系列の同名の店だよ。俺の店は、お色気たっぷりのダルーいの店さ!」
俺は、またしても運の悪さに絶望した。
どうやら、俺は色々な職業の「同名のダルーいのいやらしい店」に来てしまったらしい。
この世界で、まともに冒険ができるのだろうか。俺は、途方に暮れていた。