Nighty-Night
100作目には
あなたのことを書こうと
ずっとそう思ってた
そう決めてから年単位
時間をかけた割には
全然大したことのない出来栄えで
少しは書けるようになれたって
そう思ってたのに
あなたとの距離を
ただただ思い知らされる
わかっていたことだけど
ぼくの書いた物語は
あなたには遠く及ばない
なんて浅薄で
なんて稚拙で
なんて陳腐で
なんて単調で
なんてつまらない物語なんだろう
そう 思い知らされる
あなただったら
きっとこんなものを書きはしない
あなたとの器の違いを
ただただ思い知らされる
届かない
全然届かない
あなたとの絶対的な距離を
ただただ思い知らされる
どうしたらあなたみたいに
世界を俯瞰できるのかな
どうしたらあなたみたいに
重厚と繊細を文字の中に
織り交ぜることができるのかな
どうしたらあなたみたいに
悲しいくらいに美しく
残酷を表現できるのかな
どうしたらあなたみたいに
どうしたら
どうしたら
どうしたら
どうしたらもう一度
あなたの物語を読めるのかな
あなたの言葉を
いつも探してしまうんだ
あなたの言葉に
いまだに飢えているんだ
あなたの紡ぐ言葉が好きだったから
あなたの作る世界が好きだったから
だから
ずっと
ずっとずっと
あなたの言葉を
見ていたかったのに
今はもう
自分で紡ぐだけ
ぼくとあなたをつなぐ
細い細い絆の糸が
切れてしまわないように