ギフト:ガ○プラ召喚! ハズレだと追放された俺の生活。
山無し意味無しオチ無しだけれど、思い付いたのでさっくりと書きました。
「”能無し”の役立たずなんぞ要らぬわ。此奴を城外に捨ててこい」
「ちょっ、テメっ! 勝手に喚んどいて、何だよっその仕打ち?!」
両脇を全身を金属鎧に覆われた男共に抱えられ、その為す術も無くずるずると引き摺られていく俺。
178cmの俺よか遙かに身長低い癖しやがって、妙に力強ぇなこいつら。
てか、こんな怪力揃いの屈強な騎士様たちが多数控えてるなら、戦闘経験の無い異世界人の俺たちを喚ぶ必要なんか、端から無いじゃんか!
……まぁ、”能無し”認定喰らった俺があの中では一番弱かっただけ、って可能性が無きにしも非ずって奴だが。
「しかし、何だよ。俺の天恵が<ガン○ラ召喚>ってよぉ……」
プラモデルなんか召喚して、それで何しろって云うんだ、神様よ?
多大なる犠牲を払ってこんな訳判らん天恵持ちを喚んでしまったのだから、そりゃ俺を憎む気持ちが多少なりとも理解できてしまう自分が悲しい。
けれどさ、勝手に人のことを喚んどいて、明確なハズレだったからってそのまま捨てるか、ふつう?
……ああ、ごめん。
ソシャゲで明らかなハズレキャラ引いたり、ピックアップからすり抜けてきた同レアのハズレ(大体筋肉系の野郎)キャラは、そういや俺容赦無く捨ててたわ。
それと同じだと考えれば……まぁ。
ああチキショウ。
一瞬でも納得しちまったから、これ以上自身の不遇を叫き散らす事もできなくなったじゃねぇか、バーロー。
一緒に喚ばれた”同郷の奴ら”の、憐れみと蔑みを含んだ視線が妙に痛かったが、多分俺のこれからの異世界生活には二度と関わること無いだろうし、気にしても仕方ない。
当面の問題は。
完全なる異邦人の俺は、どうやって生きていくか。だ……
「……すまん。俺達は、上の命令には絶対なんだ。赦せ」
「お前も生きていかなきゃならんだろうから、これだけは云っておく。”ギルド”を頼れ。犯罪者にだけは、なってくれるなよ?」
すまなそうに金属鎧たちは、俺に数枚の銀貨を手渡してくれた。
これだけあれば、2、3日は最低限食っていけるらしい。
「……良いのか? これ、お前らの小遣いだろうに」
「仕方ないさ。俺達だって鬼じゃない。このまま野垂れ死にされてもなぁ」
「少しでも恩を感じてくれたなら、そうだな。生活が安定した頃で良い。酒の一杯でも奢ってくれや」
現代日本でも早々に無いこんな人の情けに触れるだなんて。
あかん、涙出て来たわ。
「ありがとう。絶対に、この恩は忘れない。約束するよ」
「ああ、此方も本当にすまなかった」
お互い何度も頭を下げ、両手をガッチリ握ったりとか。
益々彼らの上役たる王族の面々の酷さが浮き彫りになってくる様で、途端に嫌な気分に陥る。
────何で無駄なコストを払ってまで、異世界人を喚んだのか?
そこがまず判らないし、判ったとて、”ハズレキャラ”たる俺にゃ何もできん。
城も出禁になったしな────って、酷い駄洒落にしかならんかったわ。
ま、騎士様たちのアドバイスにしたがって”ギルド”とやらに行きますかねぇ。
◇◆◇
ラノベにある様なテンプレの数々を踏むのかと思いきや。
新人いびりなんてする様な”阿呆”は早々に周りから排除されるらしく、全然そんなことはなかったぜ。
んで、真面目に頑張って依頼の数々をこなしていってみたら。
気が付くと、わりと真っ当な稼ぎを叩き出せていたっていう。
「ステータスオープン」
稲熊 大地 (19)
Lv1
HP: 21
MP: 150
STR 10
VIT 8
DEX 9
AGI 12
COM 12
INT 10
MEN 9
LUC 14
体術Lv1
剣術Lv1
農業Lv6
算術Lv4
料理Lv5
天恵:ガンプ○召喚Lv1
天恵:異世界言語Lv2
その天恵にも一応Lv表示がある訳だから、ひょっとして成長したら……という期待は微かにあるが。
ってーか、ステータスを見る限り、料理人やら百姓とかで生きていった方が、ひょっとしなくてもそっちのが断然良いのかも知れないな。とか、少しだけ思ってもみたり。
「○ンプラ召喚!」
天恵を発動させると、ステータス同様に目の前に”にゅいーん”と出て来るウインドウ画面。
そこに映し出されたモノは何かと云えば、バンダ○公式ホビーショップ画面だとか。
「……てか、どこが召喚やねん! 購入しろってかっ?!」
……で。
どうやら、公式HPに並ぶガ○プラ達は。
俺のMP(1MP=10円換算)で購入できる……みたい、だ?
「問題は、本当に現実で買えるかってことだが……」
購入した! →発送待ち。
なら、まだ全然良いが。
ガン○ラ通販あるあるで、瞬殺されてもーて購入画面にすら到達できなかった、とか。
そんな現実も、充分に予想の範囲内な訳で。
「……てゆか、そもそも異世界でこんなの買ってどうすんねんってツッコミの方が先かぁ」
待て。
その前に、もし買えたとして。
”異世界”に居る俺の手元に、ちゃんと送られてくるのかも不明な訳で。
てゆか、てゆか。
買ったその後は?
実際あちらでは、買った時点で満足しちゃって、部屋の片隅に堆く積み上がってたんだよなぁ。箱が。
死蔵戦士ガンダ○……って、やかましいわ。
とはいえ、冒険者として(贅沢さえしなければ)普通に食っていけるのだと判った以上、生活に”潤い”は欲しいよな。
「どうせ失うのは、俺にゃ使い道の無いMPだ。いっちまえ!」
一緒に召喚された他の奴らは。
天恵に暗黒魔法やら、聖魔法やら、大量にMPが要りそうなのを貰ってた奴が多かったなぁ……
一応、俺も現地人に比べてかなりMPが多い部類……だそうだが。
この世界、魔法は素養を持っていなければ使えない”設定”らしいので、多くても何の意味も無い。
「……税込み1,500円以内って、かなり厳しいな……てか、無理じゃね?」
660円のSD系の奴なら買えるけど……俺、SDガン○ムってあんまり好きじゃねぇんだよなぁ……(ファンの方ごめんなさい)
お?
よく見たら、MPチャージできるぞ。貯めていくか。
◇◆◇
────で。
欲望のまま買い漁った結果。
召喚したガンプ○たちは。
俺の手で組み立てたら、MPを消費(1MP=10秒換算)することで、自在に動かせる事が判明。
色を塗ったり、デカールを張ったり。
更には、継ぎ目を綺麗に消してやったりと、”作品”のクオリティを高めれば高めただけ、性能が上がっていく事も同時に判明。
そして。
「……知らぬ間に、天恵がLv5になっていた件」
それと同時に、俺のステータスには新たなる天恵『NTLv1』が生えていた。
いや、やたらと面白かったからさぁ。
あの声を真似て「行けっ! フィン・○ァンネル!!」とか、やったせい……なんだろうな、これ絶対に。
豪華なブンドドで、自在に遊べちゃうんだもん。そりゃ知らず知らずに気合いも入るに決まってるってばよ。
最近じゃ、世界中何処を探したって存在しない○ンプラを欲しがるお貴族さま方も増えてきて、収入には全く困っていないし。
城外に追い出された俺を不憫に思い銀貨をくれた騎士様たちは、今じゃ呑み友達だよ。
あと、ガ○プラを売って生活しているとか云ったら、きっと一部のファンから転売ヤーかよと罵られても仕方がないだろう状況なのは否めないが。
でも、俺の天恵の”公式ショップ”は売り切れ自体が無いから、現世に影響は無い────と、思う/思いたい/思わせて。
ああ、そうそう。アクリルスタンドフィギアなんかも結構高値で売れるんだぜ?
キャラクターやらストーリーなんて知らん癖に、本当にびっくりだ。
──あ。
また来やがった。
「行けっ! ファン○ルミサイル」
天井裏から、複数の悲鳴が同時に挙がる。
「……ホント、懲りない奴らだねぇ」
ついでに窓を開けて。
「そこっ!」
ビームライフルを斉射。
NT技能のお陰なのか、敵の殺意とその位置やら、次にどう動くかまで全て丸わかり。
これでLv1とか云うんだから、何とも末恐ろしい話。天パのあの人は、作中、一体どんな世界を視ていたんだろうか?
……ふむ。
どうやら、Lv5の恩恵は。
今まで召喚した、ガ○プラたちの武器を自分サイズで即座に喚び出し、自在に扱えるという能力の様だ。
「俺ってさ、全然”ハズレ”なんかじゃなくね?」
俺の天恵を欲してか、お貴族さまの一部が俺を狙っているのは知っていたけれど。
欲望の赦すまま召喚した数々のプラモ達が俺の身を護ってくれているから、今じゃ下手したら日本よりも安全に生活できていたり。
「てか、復讐なんて、面倒臭いし。俺は、この世界で好きに生きていくわ」
ただ、惜しむらくは。
新作の○ンダムの存在は、公式ショップで知ることが出来ても。
その新作を、視聴できないことか。
だから、ジークア○ス、知らないままなんだよなぁ、俺……
天恵のLvが上がれば、もしかしたら観れるかな?
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