asmi『恋』に関する考察9 青は藍より出でて藍より紺屋の白袴編
人間の衣服は、
動物性のもの、
植物性のもの、
化学的なもの、に分かれます。
化学的なものは、きょうは触れません。
例えば麻というのは、
麻という植物の茎からとれる繊維です。
綿は、
綿という植物の種を包んでいるほわほわを、
ねじりながら引き延ばして、糸にします。
羊毛は、ほわほわな羊の毛を、
ねじりながら以下同様。動物性です。
もっと原始的な動物性のものには、
鹿の皮、なんかがあります。
もう、まんま着ちゃいます。
熊の皮もそうですね。
これらと比べますと、
絹というのは、手間がかかっています。
カイコガというガの幼虫に、
桑の葉を与えて大きくしてやると、
幼虫は、さなぎになるために繭をつくります。
その繭は、一本の糸からできていまして、
糸の長さは1.5キロメートルにもなるそうですが、
恐らく、昔から、長い糸をつくる幼虫が、
次の親に選別されたのでしょうから、
野生のカイコガは、
もっと短い糸しか吐かなかったかもしれません。
いや、長い糸を吐く幼虫は、
そこで繭をはがれてしまいますから、
選別、できませんね。
取り下げます。
ちなみに、さなぎになると、もう、用なしなので、
ゆでられます。
見たことはないのですが、
繭の糸が全部引っ張り出された後は、
鍋の中に、大量のゆでさなぎが残るはずです。
それをおぞましいと思うかどうかは、
人それぞれです。
もったいない、と思う人もいるはずです。
いいえ、いるはずです。
何と、そう思う人が力を持っていた地方では、
さなぎ、食べます。むだなく。
証明する画像がないのが残念です。
麻や綿の説明の簡潔さと比べて、
絹の説明、長いですよね。
手間がかかっているんです。
麻の繊維も、綿も絹も、全部白いです。
白がいけないわけではないのですが、
そのままだと、虫がつくのです。
そりゃそうですよね、
それを食べる生き物がいるでしょうから。
で、虫除けの効果を持った染料で染めるという、
おしゃれな技法が編み出されたわけです。
紫色に染めるのは、ムラサキという植物です。
赤く染めるのは、紅花が有名です。
で、青が藍染めなのです。
青は藍より出でて藍よりも青し
鳶が鷹を生む
みたいな意味で使われますが、
藍という植物は、普通の緑の葉っぱです。
これを細かく刻んで発酵させると、
黒っぽいあやしい物質になります。
イメージとしては、緑のお茶っ葉を発酵させると、
黒っぽくなる、そんな感じです。
でも、黒っぽい葉っぱにお湯をかけると、
紅茶は茶色ですよね。
黒っぽい発酵藍を水で溶くと、
藍色とか紺色と言われる色の液体になります。
ここに麻とか綿を浸すと、
白かった糸が青っぽくなります。
乾かして、また浸すと、色が濃くなります。
一番濃い色を、普通、紺というのです。
紺屋の白袴
ということわざは、藍染めの大将が、
商売繁盛し過ぎて、
自分の袴は染める暇がないという意味です。
自分の着物が看板にならないんですね。
ま、さすがに、お店ののれんは、紺にしますよね。
看板が一つもなかったら、
何屋さんだかわかりませんからね
紺というのは、染料をたくさん使いますが、
究極に染めてしまえばいいので、
微妙な腕の見せ所ではありません。
藍の染料を重ねて重ねて、重ね抜いて、
純度を高めたのが紺なのです。
青よりも濃く、紺よりも薄い、
まさに藍色が、腕の見せ所です。
紺屋の大将は、自分用の藍色は、持てないのです。
でも何でもかんでも真っ白だといけないので、
紺色は、少し、持っています。
藍なんて持っていない
あるのは高純度の紺
ところで、
染料に使われる植物は、虫除け成分があるので、
うっかり身につけると人間もかぶれてしまいます。
余分な染料は、しっかり洗い流します。
毒になっちゃいけませんからね。
そんなお話。
苦しい?何が?
ゆっくり溶けてく私からあなたへの想い
・・・青系統の染料は、
藍という植物を発酵させてつくります
葉っぱがとろけていくのです
言葉は何より危うい鋭く純粋な氷みたいだ
・・・染めた後、余分な染料を落とすのですが、
冬の水は刺すように痛いんです
最終電車の逃し方は覚えてしまっている
・・・ブルートレインってなくなったんでしたっけ
あ、青つながりですよ
でもこんな夜を前にしては役に立たないな
・・・紺な夜、ね 青つながりです
涼しい風が吹いて私の迎えが先に来る
・・・余分な染料を落とした後は、
風にさらすんです
じゃあねバイバイのリズムで駆け出す
・・・乾いたら取り込む、取り込んだら急いで収納
足音がドアをくぐった
・・・くぐったのれんも、紺
愛なんて持っていない あるのは高純度の恋
・・・藍染めって、藍色にはならないんです
何度も染めると、濃紺になるんです
藍なんて持っていないんです
濃紺…高純度の紺?
心が悲鳴を上げてもそれすら笑っていたい
・・・藍染めの壺に新人職人が落ちたりするんです
本人は叫びますが、周りは大笑いです
ちなみに叫び声は、アオッ、です
愛なしでどこまで行けるか試したい恋で
・・・自分の着物を染める暇はなくて、
白いままなんですよね 白を維持です
紺屋の白袴っていうやつです
藍なしでどこまで行けるか、意地です
今が一番若いの私いつまでも光っていたい
・・・剣道でも、紺より白の胴着のほうが、
若々しく、光って見えますよね
…紺屋が言ってはいけませんでした
たどり着いた先や未来がね ここにはない
・・・でも藍染めって、今後は伸びないですよね
好きという気持ちだけでは長く続かないことを
知っているからこそ
・・・藍染め、好きなんですけどねぇ、
売れないことにはねぇ
毒を帯びた魔物 下がらないでいて体温
・・・藍は、虫除けの効果があるといいます
食べたりすると、かぶれちゃうとか
タデ科の一年草なのです
でも、解熱の効果もあるのです(本当)
もしも今夜月がきれいなら二人共犯者になろう
・・・月夜って、空が藍色できれいですよねぇ
横顔にキスをしたいつもずるいのは私でごめんね
・・・南の島のお猿さんだよ(ん?ごまかした?)
刺さって抜けないまま痛いくらいがいいでしょう
・・・藍は茎にとげがあるんです(うそ)
好きですあなたが
・・・藍ラブユー
牢屋の中で二人は永遠を夢に見て愛に向かった
・・・藍を発酵させる部屋って牢屋みたいなんです
…ええ、無理があるのはわかっています
息はできているんだろうかできないでいてくれ
・・・発酵すると熱を発生するのでむわっとします
いい発酵をすると息ができないくらい
ずっとずっと恋をしてる
・・・青は藍より出でて藍よりも青いんです
asmiだけに『開青』、みたいな?
※本考察では、asmi作詞の『恋』の歌詞の意味について、藍染めを暗喩しているという独自の説を唱えるため、著作権法第三十二条に規定する研究の範囲内において合法的に引用している。