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破片

「そろそろ、ここで終わりにしておこうか」


悪魔は声の主を身体をガクガクと震えさせながら、様子を伺う。顔を青白くしながら鉄格子の中で。


「さあ開いた。早く出ておいで」


ギギギギと立て付けの悪い、鉄格子の扉が開く。顔は靄がかかったようなかんじでとても見れた物じゃない。


もしかしたらこれは悪魔である、アガレスリ自身が。


そう、自分自身が。



思い出すのを拒否して、すぐにでも消し去ろうとしてしかしそれでもなかなか忘れ去られなく。そのまま、閉じ込めている記憶だと言うことを示唆しているようでもあった────




「……なに、ここ」


黒髪の少女は目を覚ますと、初めて見た天井を目をぱちくりとさせてから不思議そうに見上げた。


ノックの音がすると思わずナカラはベッドから飛び起きた。


「ひいっ」


「思い出せませんか?」


「え、誰。…って」


ドアが開いた。そこには金髪の青年が感情もなくただ真顔でこちらをじっと見つめている姿がある。確かこの青年に連れられて何処かへ向かったはずなのだが、その後どうやってここまで辿り着いたのかは全く記憶に残っていない──


と言うのがナカラの言い分である。


嘘をつくとなにかされる可能性も否めなく、それを回避するためにも嘘をつくのはやめることにした。恐怖心には勝てないが、それを超える恐怖心にも負ける気しかしないからだ。



「いや…おまえのことは記憶に残ってる。たしかわたしに来て欲しいって。でも、ここまで連れられたときのことは覚えてない」


唇を少し震わせながらそっと呟くように。





すると意外な返答が返ってきた。


「ああ、そうだ……お嬢さんがそうなるのも無理ない。だが私に保護されたからには安心して良いだろう」


不器用なのか、口元だけが少し吊り上がっている状態の表情でそう言う彼は嘘をついているようには見えなかった。前も、この後もこれからも。






「お嬢さんはアガレスリという悪魔についてご存知かな?」



「え?」











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