二十一話 同期コラボ決定
「朝からご苦労さん、リゼミ」
「クロー、また来たわね」
「ああ」
俺は換金所の2階のとある部屋にいた。
クローとして仮面をつけることを忘れずに。
「『小竜どもの跡地』を元に戻したんでしょ」
「そうだな」
「魔王は?」
「倒したさ」
俺は座り、くつろぎながら答える。
いやー、朝一からくるのはしんどいわ。
「そう…そういえばSランクだと噂されているらしいわ」
「そうか、今は黙っておこうかな、ではな」
「ちょ!」
俺は窓から出て事務所の前までくる。
最後リゼミがなにか言おうとしていたな…まぁ、気にしなくていいか。
「『嵐の王』がクローを呼び戻そうとしていたって言えてないじゃん、まったく…さて、仕事だわ」
事務所に行くということで麻姫には留守番をしてもらっている。スマホをいじってそうだけどな…。
俺は事務所に入ると、案内される。
「やっと来たか」
男性がいた、周りには同期などがいる。俺が最後かよ。
俺もイスに座る。
「まずは配信お疲れ様…そして…今日は配信するかしないかは自由だが…急なのだが同期コラボ配信することが決まった!」
え?俺聞いていないんですけど?
俺が横、同期三人の方を見ると、明らかに知ってそうだった、これ俺だけハブられてるな。
同期コラボ配信か…なにをするのだろうか?
「同期コラボ配信の内容はとあるダンジョンの攻略だ!何階層まで攻略するのは話し合いで決めてくれ、くれぐれも無理がないように」
そうして解散となった、俺はすぐに帰るのではなく屋上に向かった。
聞いてねぇよ!そんなこと!俺だけハブられてよ、許せんわ、シハイルさんの銀髪眺めるか、もしくは麻姫にあれをするしか、収まる方法はないな。
「黒遼さん」
「どうした?」
振り向くと魚井さんがいた。
どうしたのだろうか?
「質問いいですか?」
「ああ、いいぞ」
「ありがとうございます、もしAランクのダンジョンを攻略することになったら何階層まで攻略しますか?」
なるほど、配信はAランクのダンジョンか、行きたくねー。
「そうだな…そもそも攻略しない」
「え!」
そりゃあ、驚くわ。
「でもそのダンジョンをよく知っているのなら別だな、なにかの縁でAランクのダンジョンを絶対に攻略しないといけなくなった、だが見知らぬダンジョンだった、これはほぼ詰んでるということだな」
「そうですか…では」
魚井さんがドアノブを触る時に、
「これから、梅雨の時期に入ります…なので大きなイベント、つまり案件が舞い込んできます、そこで大きく変わることになるでしょう…あ、最後に一つ、自身の目的を忘れないでください、目的をするために目標がありますので」
そう言い去っていった。
もうそろそろで梅雨になる…そしたらあっという間に学生なら夏休みになる、Vダンとしても大きな案件などがくる、そこで評価が変わることはわかるのだが、目的を忘れてはいけない?俺には目的はない、あと目標もないということになる。
さて帰るか。
次の瞬間、俺は自宅の前にいた。
ガチャリそう扉が開くと同時に足音が聞こえる。
「おかえり」
「ただいま」
麻姫が出迎えてくれる。
俺は今日は配信せずにダンジョンにでも潜ろうかな…今日は時間がたっぷりとあるから。




