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二十話 麻姫の父を倒していたクロー

「おかえり」


「ただいま」


 麻姫が迎えてくれる、銀髪は素晴らしい…。

なんだろ、見るだけで眼福だわ。


「麻姫」


 そうだ、まだ夕食にしては早いしスマホショップに行こう。


「ん?なに?」


「一応スマホ買いに行くぞ、ついてこい」


「強制ですね、はい、わかりました」


 麻姫と一緒に家を出る。歩いていくことになった、スマホショップは近くの町にあるの事務所に行くよりかは遠くないからな。


「家から遠くないか?」


「ん?ああ、そうだな」


 麻姫が話しかけてきた。麻姫には弱体化などのデバフとなる魔法などをかけていないため、魔王の力を持っているのだが、なぜか反抗心すら見せない。もしかしてあの時したことが麻姫にとっては最悪だったのかな?


「そうだ、麻姫」


「なんだ?」


「魔王の力があるのに、反抗心とか見せないのはなんでだろうなって思ってな」


「なるほど、ドールの配信のアーカイブを見ていたんだが、火龍を瞬殺したところを見てわかったんだ…あんたSランクだろう?そして数いるSランカーの中でもトップクラスなはずだ」


 Sランクというのは見抜くか…さすが魔王、というか俺がSランクぽい動きしているからだと思う。うん、俺が悪いな。


「そうだな…他の人には言うなよ?俺はSランクだ、そしてCランクはサブ垢プレートだ、あと俺は他のSランカーに会わないからわからない」


「なるほど…でもなんでSランクだと公言しないんだ?」


「今はまだ公言しない、今は、だからな?あと俺から聞きたいことが一つ有る」


「ちょっと待て、創造クリエイトベンチ、なんだ?」


 麻姫はベンチを魔法で座り、聞いてくる。長くなるやつね、はい。

俺も座り、聞くことにする。


「なんで魔王であるはずのあんたがあんなところに?」


 麻姫に対する一番の謎だ、魔王は本来はもっと難易度が高いダンジョンにいるはずだ。そして魔王はもっと栄えているダンジョンにいるはずだと…調べてわかっているのに、おかしい。あんなEランクに本来いてはいけないのだ。


「そうだな…」


 麻姫は少し考えたようだ、話していいのか…。

俺だってわからなくはない。


「よし、実はな…これを見てくれ」


 ツノと翼が現れる。

銀髪にこれもまた…あり!ハァハァこれはいいな!


「興奮しないでくれ、まだ私は成長中でな完璧ではないんだ…本来なら高難易度ダンジョンで成長するべきなのだが、どうやら旧魔王、私の父がタイマンで倒されたという情報があってな…そしたら魔物が反乱を起こしてな…私は逃げるしかなかったのだ、そうして行き着いたさきがあのダンジョンだったのだ」


 あ、いや、そんなことは…ないよね?確認するか。


「さらに聞きたいことが増えた、その旧魔王ってツノの先端が少し曲がっていて、翼は体の五倍ぐらいの大きさがあって…そして『最終ファイナル世界ワールド』って技を使えることができる?」


「そうだな、使えるなって、私はまだ『最終ファイナル世界ワールド』が使えないがな…ってなんで知っているのだ?」


 あ、確信した…俺のせいだわ。さすがに苦戦した魔物の一つとして覚えているけど…魔王とは…。でもタイマンを挑むと申したら受け入れてくれた良い魔物だなって思っていたんだよね…。あと『最終ファイナル世界ワールド』って使用者の思いのままの世界になるから苦しめられたんだよね。


「俺が倒した、すまん」


「はっ?なにを言っているのだ?」


 麻姫は驚いている、当たり前だな、父を倒したやつが目の前にいて、しかも自身も倒されているのだから。


「俺がその旧魔王を倒したな」


「はぁー、私より強いことが確定してではないか」


「復讐とかいいのか?」


 一応聞いておこう。ため息をついているが少しぐらい怒っていいのだぞ?


「そうだな…乙女の心がズタボロにされるか、もしくは無理に戦い、倒されるのに復讐できると思うか?」


「うん、無理」


 え、なにそれ、酷すぎじゃね?だって性別として威厳がなくなるのか倒されるのかの二択って誰だよ、そんな鬼畜のやつわ!


「あと、魔物だって人を殺す、その逆だって良くある、だから復讐なんてものは私にはない」


「そうか」


 麻姫は立ち上がり、ツノと翼を消えさせると、少し恥ずかしがって聞いてくる。


「旧魔王はあなたが戦ってきた敵の中で何番に強かった?」


 俺も立ち上がるとベンチが消え、そしてスマホショップに向かう。麻姫もついてくる。


「五番目だ」


「そうか」


 旧魔王も強かったが、特に一番強い魔物?だけは倒せなかった。

そいつだけは別格だった。魔物ではないようだった。そいつは調べてもなにも出てこないと言う、怖さがある。

 しかし俺は知らないが麻姫は少し笑顔であって。






「どんな色がいい?」


「うーん、青で」


 麻姫は青色のスマホを手に取り会計をする、もちろんお金は俺のだ。これぐらいの出費は痛くない。


「そうだ!知紀、少しこの町を散策してもいいか?」


 スマホを買い終わった麻姫が告げる。


「いいぞ」


 そうして町を散策することになったのだが…付けられているのだ。しかも三人。


「麻姫」


「ああ、わかっている、尾行だな」


「ああ、特に危害はなさそうだし気にしないでおくか」


「そうだな、あとタコ焼きを買ってきていいか?」


「いいぞ」


 麻姫にお金を渡し、麻姫は買いに行く。

俺のその瞬間、俺たちのことを尾行している三人の背後に回る。


「なにしてるんだ?」


 声をかける。誰かわかっているのだから、身構える必要はない。


「バレちゃいましたか、沙羅」

「残念ですね」

「バレていたか…」


 同期ですね…シハイルさんがこの町の人だとは薄々気付いていたけど、なぜ二人がいるんだ?


「そうだ、気になるんですけど、あの女性は誰ですか?」


 魚井さんが聞いてくる。麻姫のことだな。


「親戚だよ…預かっているんだ」


「つまり同居?」


「そうだな」


 三人は小声で話している。こういうのは聞こえないようにするのが正解なので、耳を塞ぐ。


「あ、それじゃあ」


 俺は麻姫が買い終わったことに気づき、麻姫のところに戻る。


「行ってしまったな、でも明らかに似てないのだが」


「あと、あの人が黒遼さんになにかされていなければいいんですけど」


「銀髪好きですもんね、シハイルさんも気をつけてください」


「わかっている」


 三人はそこで尾行をやめ、話していた。






「よかったな」


「ああ」


 家に帰ってくる。麻姫はどうやら満足したのか笑顔だった。

俺にとってはなぜか嬉しくて…いやきっと俺は心のどこかで旧魔王の娘だと知って罪悪感を抱いているのだろう。


「さて、飯じゃや!」


「帰ってきたのだから、片付けろよ」


「そうだった」


 いつか、教えてやるか…『最終の世界ファイナルワールド』を、この技は明らかに魔王専用の魔法のような気がする…。

そうだ、配信の評価をチェックしよう。





とあるギルドにて…


「どうする?」


「呼び戻すしかないね」


「そうだな、フラックはまだ謹慎中だ、少しでも戦力を上げないと」


「そうわね、クローを呼び戻しましょう」


 クロー、黒遼知紀が知らないところで動きがあったがそんなことは知らない。




どこかの世界にて…


「No.3が倒されかけるなんて…すごいな」


「グオオ!グォォォオ!」


「なるほどな、まさかそんなにも強いとな…でもわかっているはずだ…」


「グオ」


「ならいい、休め」


 人の形した何者かが、呟く。


「今回はこんな物語か…頑張ってくれ、黒遼知紀」



 


 




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