二話 第一次選考突破!
「はぁ〜」
応募してから早数日、俺は家の中でくつろいでいた。
俺もあわよくば合格なんて考えていた自分がバカみたいだ。でもまだ第一次選考の連絡すらきてないし…俺は不合格だろうな…。
カリバーさんの配信でも見るか。俺はパソコンを立ち上げ、配信中のカリバーガリバーさんを見ることにした。
「おらぁ!!」
ちょうどゴブリンが倒されたところだった。Vだからトラブルがあったら問題がありそうなのにダンジョン内では一切そういうことはなく、中の人が出てくるような不祥事は起きていない。
「スパチャ、ありがとう、昨日、嵐の王のクローさんが脱退したことについてどう思う?、うーん」
ゴブリンを倒しきり移動中のことだった。俺のことが話題になっていた。見るのは怖いが聞いておこう。
「そうだね、Cランクにしては異常だと思うよ?だって付与師だし、あとクローさんはBランク昇格もいけたらしいけどパーティーの忙しさで昇格試験受けていなかったらしいし」
『確かに、付与師としては現在最高のCランクだしな』
『カリバーの言う通りなら嵐の王はパーティー違反してるんじゃないの?』
『実質Bランクのクローさん、なぜ脱退したし』
「そうだね、もし俺の言うことが確かなら嵐の王はパーティー違反していたことになるね」
パーティーのガイドラインには『個人での昇格は個人が決め、そして個人昇格はパーティーの都合を考えなくてよい』ということになっている。でもそれはサブ垢だからな?本垢はSランクだから。
しかしここまで俺の評価が高いと嬉しいな。
プルルル
俺のスマホが鳴った。
パソコンの横にあったからすぐに手に取りでてみると、
「もしもし」
「あ、はい」
女性の声が聞こえてきた。
「こちらノーヘルの公式、新人募集担当の赤石です」
「え?もしかして!」
よっしゃー!俺は内心ガッツポーズをしている。
「はい、そうです、黒遼さんであっていますか?」
「はい!」
「では第二次選考のため、面接しますので明日になってしまうんですがいいでしょうか?」
「全然問題ありません」
「では明日、そちらのスマホにリモート面接に入れるURLをメッセージにて送ります、そして午後二時から面接しますので遅くても一時五十分に入って下さい」
「わかりました」
「では、頑張ってください」
そうして電話が切られるが…
「よっしゃ!」
俺はその場でガッツポーズをとる。
嬉しい。ただそれに尽くす。
よし、じゃあ、俺は本垢とサブ垢のプレートを二つ持ってきて、名前を書き換える。
【クロー】→【黒遼知紀】
これでよし、二つとも書き換える。名前はいつでも変えられるのだ。今まではダンジョンを潜らずとも金があるから書き換えなかったが、もし合格したら必要になるかもしれないから、今のうちに変えておこうと決めたわけだ。
俺は再びカリバーさんの配信を見ることにした。
一方…とあるchにて
クローが脱退、彼について振り返ろう会
『187…マダガスカルー
クローが抜けたのは痛いだろうな、クローの代わりなんてそうそういないのにな』
『188…ナヘーキ
確かに、でもクローはさほど活躍してないなんて聞くんだけど』
『189…77
俺も聞いたことあるけど、確信がないからなんとも言えん、それにしてもあんな奇妙な仮面被ってるよな』
『190…はた嘘
確かに、仮面被っていたのは素を隠すためだとニュースではなっていたな』
『191…彼女募集中さん
リゼミさん、ダンジョン協会第二部担当長が言っているからそれは確かだろうな、あと他にもクローは本当は付与師になりたかったわけじゃないらしい』
『192…ダッペー
191さん、マジで?』
『193…彼女募集中さん
どうやらパーティーの役割で仕方なくってらしい、187さんの言う通り、嵐の王が弱くなるのは確定だよ』
『194…ナヘーキ
嵐の王は四人の少数パーティーだから、少数パーティーの希望だったのに、残念』
『195…はた嘘
194さん、俺も同じ、しかし嵐の王は今まで攻略できていたダンジョンを失敗することになるんじゃない?』
『196…ヘイートト
ダンジョンで命を落とした人たちがいるから失敗して帰ってこない人になったらやばいな、そんなことなければいいけど』
『197…ダッペー
196さんの言う通りに、帰ってこない人にならなければいいけど』