十話 伊原スタノの初配信
俺は家で水守さんの配信を見ることにした。このことは運営に伝えている。俺の出番はトリなので夜になる、なのでもう少しここで付け込まないと。
家から事務所までは普通の感性で行けば遠いが、俺はSランクなので一瞬の内に移動できるのだ。本当は俺の魔法なのだがな。
『伊原スタノ、初配信〜ノリに乗るよー』
枠が立てられており、俺も入る。
実は運営の人たちが気を効かしてくれてスパチャを投げれるようにしてくれていたのだ。なので俺は投げる気だ、阿波岡さきすの配信の時はスパチャを投げるのを忘れていた。
運営からキャラデザの拡散や親の名前などがわかっている。伊原スタノの容姿は四人の中で明らかに一番小さいことがわかり、魔女のような帽子を被っているのに服などは結構白で統一されている、帽子を目立たせるためだろう。
お、時間になったな、阿波岡さきすと同様にプロローグが流れる。
そして終わると…
「はい、どうも皆さん初めまして、ノーヘル所属の三期生、伊原スタノです」
今回はパソコンで見ているため、スマホより画面がでかいためコメ欄を見れる。
『待ってました!』
『わくわく』
どうやらみんな楽しみにしていたようだ。
「さっそくだけど、ドーン」
自己紹介のことが書かれたカードが現れるが大き過ぎたため、伊原スタノの姿が隠れてしまった。
「あ、」
それに気づいてすぐに大きなを調整する。
「これでよし」
【伊原スタノ】
役…魔法使い、身長…155cm、
好きなもの…タイマン型ゲーム、焼け魚、スナック菓子
嫌いなもの…魔力回復薬、もしかすると他にあるかも…
魔法使いで帽子は師匠からの貰い物で生活する上で取らないといけないところ以外は被っている。ノーヘルに入ったが、魔法使いとしてどんどん成長していきたい!
「性別なんて見たらわかるとおりなので」
明らかにロリにしか見ない、おかしいな?水守さんと会ってもそんなロリとは思えないのに。
「じゃあ、今日はこのタイマン型ゲーム、『ルッキングスナイパー』を二勝するまで配信をするよ、逆に言えば二勝したら配信は終わるからね?」
ルッキングスナイパーはタイマン型と集団型という二つに分けられているゲームで、ポイントが基準に先取したら勝つ。それだけ。
配信画面はルッキングスナイパーのホームにきていた、
「よし、じゃあ始めていくわ」
そう意気揚々とゲームを始めた。
「うわぁ!!」
「そんなところにいたの?!」
ゲームを始めてから一時間経っても一勝もできていないのだ。しかし接戦であったために視聴者も煽ったりできずに、ただ伊原スタノのプレイを見ることだけだった。
「やっと終わった…みんなー、最後まで見てくれてありがとう!」
そこから二時間かけてやっと二勝して無事よかったのだが、シハイルさんの配信まであまり時間がないのだ。
「スパチャは配信するからその時に読み上げします、みんなありがとうねー!」
そう言って伊原スタノの配信は終わった。




