お忙しいところ恐縮ですが
人とのコミュニケーションは難しいですね、という愚痴まじりの述懐・第二弾。
(第三弾があるのかどうかはわからない)
皆さんはどう思いますか?
少しばかり昔の話です。
私の知り合いの知り合い……という、都市伝説の中に出てくるヒトみたいな、とある方の話です。
私の直接の知り合いではありませんから、直接話をしたのでも直接本人からその話を聞いたのでもありません。
が、99.9%以上実在している人物の、90%は信憑性のある話です。
……なんだか前置きが長い上、持ってまわっていますねえ。スミマセン。
さっさと話を進めましょう。
何でもその人は
『お忙しいところ恐縮ですが』とか『お邪魔します』
などという類いの言葉を他人に言われるのが大嫌いで、言われると怒りすら感じる……のだそう。
忙しいとわかっているのなら来るな、邪魔だと思っているのなら来るな、という怒りがふつふつ湧いてきて、そんなおためごかしを言うことで、私って気配りの出来るマトモな社会人でしょ面されるのが鼻につく、のだそう。
知り合いからその話を聞き『ええー!?』と思った、今より若き日の、ミセスではなかった頃のかわかみれい。
だったら、仕事中なんかで相手も自分もそれなりに手を取られていて、それでも話をする必要がある場合、どうその人へ話しかければいいんだ?と思いました。
残念ながらすぐに別の話題へ移ったので、彼(男性なのだそう)への対処法、私は未だに知らないままです。
まあ、この人が特殊な方であった可能性が高いかなと、当時よりおばはんになった私は思いますが。
今でも時々、ふっと思い出す話です。
その人は多分、過剰な気配り(いわゆる忖度)を無意識に求める空気、この国にありがちな社会風土そのものに居心地の悪さを感じていたのではないかと、今になって思わなくもないのですけど。
世間には、常套句になっている気遣いの言葉を額面通りの意味に受け取り、腹を立てる人もいるのかと、当時私はある意味蒙を啓かれた気分になったものです(笑)。
もっとも、だからと言って『お忙しいところ恐縮ですが』と呼びかけて機嫌悪くなられたら、私はすごく嫌ですが。
バカヤロー、だったらどう言やあいいんだ。
アンタとは単に職場の同僚で、こっちは節度を持って接したいんだ。
『○○さん、この仕事もやってね。そうそう、訊きたいんだけどサ、これってこれで良かったっけ?』
みたいに、前置きもなくぶっきらぼうに話しかければいいのかねえ?
人と人が気分良く、円滑に付き合ってゆく為に『お忙しいところ恐縮ですが』などという常套句は出来上がったでしょう。
ただそれを『こういう時にはこう言うのが常套句だから』とばかりに、心を込めず上っ面だけで使い続けていると。
感受性の強い方は、苛立ちや怒りを覚えるものなのかもしれませんね。
それでもやっぱり、こういう気配り常套句、悪くはないと私は思います。
確かに、あんまりこういう言葉を仰々しく重ねるのも嫌味でしょうけど、こっちが自分の仕事をしている時に
『おい。これもやっといて』
などと、前置きもなくぶっきらぼうに言われたら。
私など場合によれば、軽い殺意を覚えそうです(笑)。
そこはやはり『お忙しいところ恐縮ですが』的なワンクッションが欲しいですね。
たとえほとんど意味のない決まり文句であったとしても、言われるのと言われないのとではまったく気分が違う気がします。
でも私はそうですけど、おそらく少数派でしょうが、そんな類いの、形だけ気配りしている常套句を言われる方が殺意を覚える(笑)方も、いるのかもしれません。
何と言いますか……やはり出てくるのは。
人とのコミュニケーションというのは、難しいですね……という、ため息まじりの述懐でしょうか(笑)。




