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かみさまの涙  作者: dear*
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プロローグ

少し精神的なお話になっていますので苦手な方はご注意ください。

其れは、遠い空を見つめる瞬間と似ていた。届く様で届かなくて掴める様で掴めない距離は、涙が出そうな位に単純で明確だった。

中学入学と同時に、私・御剣夜兎と彼・真宮望の運命は奇しくも紡がれた。瞳が合った瞬間に、私達の世界は自身と相手のみになった。其れは、恋と類似した何かだった様に思う。彼と出逢った時私の鼓動は早まり、心臓を壊してしまうのではないかと心配してしまう程だった。

運命だ、と瞬間的に直感が働いた。其れまでの私はそんな不透明で不明確な存在を信用等していなかったけれど。私が私で在り、彼が彼で在る事を幸福に感じていた。

きっと彼もそうだったに違いない。

何故なら、私達の関係はその頃から始まったのだから。しかしながら、私と彼の心は全くの一方通行。私の恋と彼の愛は、同じ意味を為さなかった。

私は彼のかみさまで、彼は私のピグマリオンなのだ。

「はじめまして。」

ふわり、優しく愛らしい暖かな笑みを浮かべた彼は、突如握手を催促して手を差し出してきた。ドキリと胸が鳴り、弱々しく手を握ると彼は恥ずかしそうに笑った。

「みつるぎさん、」

「何?」

「あなたはきっと、ぼくのかみさまです。」

 不意に感じた温もりに一瞬頭が追い付かなかった。視界を掠めたハニーブラウンのふんわりとした髪。抱き締められた瞬間私は彼の泣き顔を見た。澄んだ雫はあまりの美しさに目眩を感じさせた。

 私はきっと、彼から離れる事が出来ない。其れはあまりにも不確かである筈なのに、その時の私はそれを当然の如く確信していた。

 震える肩を抱き締めて雫を拭い笑って見せると、彼は未だ濡れたままの切な気な眼差しで私を見つめた。

「かみさま、」

 再び泣き出してしまいそうな様子の彼に、苦笑いした。

「ぼくをあいして。」

 その声は、まるで慈悲を乞うかの様に切実な響きを持っていた。

 彼は、何を願っているのだろうか。

 何を想い囁くのか。

 泣き出してしまいそうな彼に、その日私は愛を願った。彼の幸福はきっと、私が彼を愛する事にあるのだ。其れは決して恋とは違う想いであるのは解ったのだが、彼の求める其れが一体何であるのか私にはその答えを把握する事が出来ないでいた。それでもただひたすらに、私は彼に恋と近い想いを抱いている事だけは確かだった。

だからきっと願ってしまうのだ。

 私が彼のかみさまで在り続ける事を。

 私のこの想いを、彼に悟られない事を。

 嗚呼、神様。

 幸福とは、何処に存在しているのでしょうか。

 私と、彼の、始まり。


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