見ないふり
翌朝。
これから登城してガロンをベルガーに預け、魔王様とラーソンと共にドルトに向わなければならないというのに、私は寝不足でフラフラしていた。
(最悪。シヴァの爆弾発言のせいだ)
まさか本気じゃないよね?からかわれただけよね?
でもそう言えば最近スキンシップが多くなった気がする。
ぜんぜん厭らしい感じがしなかったから今まで気に留めなかったけど。
それにモリスの家から帰った時からやたらと優しくなったな。
いや、でもあれは怪我してたし・・・
などと、悶々と考えていたら朝になってしまった。
結婚して子供を産んでからは、自分が他人から恋愛対象に見られる事はないと思っていたから、こんな時どうしていいか分からない。
だって、旦那が亡くなって2年しか経ってない。
人によってはもう2年と思うかもしれないけれど、私にとってはまだ2年なのだ。
(それに、蓮はきっと嫌がるわ)
父親が大好きだった子だ。
私に好きな人が出来たと言ったら、裏切られたと思うかもしれない。
そうでなくても思春期の子供にとって、母親が別の男と恋愛関係になってるなんて気持ち悪いだろう。
シヴァの事は嫌いじゃない。
いつも私を気にかけてくれている。
優しいだけじゃなく、時には叱ってくれる。
それは私を一人の人間として認め、向き合ってくれている証拠だ。
もしシヴァが本気で私のことを好きだと言ってくれているのなら、正直嬉しい。
だけど、気持ちの整理をするのにもう少しだけ時間が欲しい。
自分に向けられているシヴァの眼差しと、どうしようもなくざわざわする気持ちを見ないふりして、私は朝食を作った。




