表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/540

招かれざる者2

 用意された部屋は、ベッドと丸テーブルと椅子があるだけのシンプルな部屋だったが、明るく清潔だった。

 アルヴィンは蓮を丁寧にベッドにおろし、私に椅子を勧めてくれた。


「あなたもお疲れでしょう、どうぞ」 


「ありがとうございます」


 荷物をおろして、ようやく一息つく。

 蓮は、よく眠っている。


「ここは、どこですか?」


「アビラス王国の首都グラードにある女神の神殿です」


(アビラス王国・・・聞いた事もない国だ)


 私は窓から広がる景色に目を向けた。


 神殿は小高い丘の上に立っているらしく、街の様子がよく見えた。

 中世ヨーロッパの都市のような石造りの建物。街を囲むように城壁があり、その向こうは農耕地や森が広がっている。

 恐らく、ここは城郭都市の作りになっているのだろう。完全にファンタジーの世界だ。


「異世界なのに、なんで言葉が通じるのかしら?」


 ふと、思った事が口についた。


「それは、おそらく女神様の加護があるからでしょう」


 アルヴィンは考え込むように言った。


「お気づきの通り、あなた方は我々からすれば、異世界の方です。

 我々は、女神様の力をお借りして異世界への道を開き、女神様に選ばれた方を召喚します。その際、女神様よりこちらの世界の理が与えられるといわれています」


(なるほど。

 あの穴に落ちた時、感覚がなく気分が悪くなっていたのは、膨大な情報に体が追いついてなかったのか)


「じゃあ、あの子がまだ目を覚まさないのは・・・」


「女神様の祝福を受けているからでしょう。心配はいりません。2日もすれば目を覚ますはずです」


 おかっぱ頭が部屋に入ってきた。


「神官のリアムと申します。今後の事をお話しましょう。どうぞこちらへ」


 話をしたいのは山々だが、蓮が心配だ。ちらっと蓮を見た私に気づいた神官はにこやかに言った。


「ご心配なく。勇者様のお世話は、こちらの侍女にお任せください」


 おかっぱ頭の後ろに控えていた若い女の子が、控えめにお辞儀をした。

 手には水差しやコップ、清潔な布などをのせたお盆を持っている。


「・・・わかりました。詳しいお話を聞かせて下さい」


「勿論です。アルヴィン、荷物を持って差し上げろ」


(この訳のわからん世界から蓮を守らなければ!)


 私は意を決して神官の後をついていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ