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新しい友人

 私が夕飯の準備を早めに始めたのは、わざわざ訪ねてきたモリスがシヴァとゆっくり話せるようにという配慮もあってからだ。

 なのでガロンには、シヴァが仕留めた獲物の解体と下処理を任せる事にして、自然に席を外してもらった。

 二人とも魔王に仕える幹部なので、軍事的な内容もありえる。機密保持の為にも、部外者はあまり話の内容は聞かない方がいいだろう。


 私がキッチンに立つと、シヴァとモリスがすぐに話を始めた。

 後からシヴァが教えてくれたのだが、話の最中に時折モリスが私の事を見ていたらしい。

 私、というより料理の仕方とか、見慣れぬ道具とかに興味を持っていたようだ。

 料理に集中していた私は全く気づかなかった。



◇◆◇◆◇◆◇◆



 その日の夕飯は、具沢山のミルクシチューとジャガイモのガレット、そしてデザートに木の実とフルーツのキャラメリゼを作った。

 デザートのおかげでシヴァの機嫌も良くなり、私は安心した。

 食べ物の恨みは怖いしね。

 モリスはガレットをかなり気に入って、作り方を熱心に聞いてきた。


「これは旨いな。うちのエールにあいそうだ」


「エール?モリスの家で作ってるんですか?」


「ああ、私の一族は皆酒が好きでね。それぞれ自家製でエールや果実酒を作っている」


「自家製のエールに果実酒・・・なんて素敵な響き」


 こちらの世界に来てから、お酒を飲む機会は無かった。


「ミホも酒が好きなようだな。今度シヴァとうちに遊びに来るといい。今日のお礼にごちそうするよ。

 むさ苦しい野郎ばかりだから、ミホみたいな別嬪さんがくれば酒も一段とうまくなるだろう」


「じゃあ、おつまみたくさん用意して伺います」


「俺も行っていい?」


「もちろんだ。ガロンもおいで。シヴァ、構わないだろう?」


「・・・そうだな。例の件もあるし、一度そちらに伺おう」


 こうして私達は、モリスの家にお邪魔する事になった。

 新しく友人が出来た事と、久しぶりの外出に、正直私は浮かれていた。


 この時は、まさかあんな事になるとは思っていなかった。

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