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勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。  作者: 野山 歩


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手紙

 聖騎士の訓練場に通い始めて1ヶ月くらい経った頃、エルマーはダミアンから手紙をもらった。


「エルマー、元気にしてるか?

 聖騎士の試験に合格したって聞いたよ。凄いじゃないか。おめでとう。

 今頃何言ってるんだって思うかもしれないけど、勘弁してくれ。

 首都から離れて暮らしてるせいで、情報が入ってくるのが凄く遅いんだ。

 聖騎士の訓練って、前の所と比べてやっぱり厳しいのかな?

 何にしても友達が聖騎士になるなんて鼻が高いよ。

 俺はようやくこっちの仕事に慣れたところだ。

 朝早くから夜遅くまで、家畜の世話に追われてる。

 騎士見習いの訓練場で体を鍛えてたつもりだけど、使う筋肉が全然違うらしくって、初めの頃は夜も眠れないくらい筋肉痛が酷かったよ。

 だけど放牧の時は、思い切り馬で駆け回れるから楽しいよ。

 この間、初めて毛長ヤギの出産に立ち会った。夜通しかかって凄く大変だったけど、生まれたばかりの子ヤギが立ち上がってミルクを飲み始めた時は、めちゃくちゃ感動した。 

 最近はバター作りを任されてる。これがすっごい重労働。俺の方が若くて体力があるからって、おじさんも遠慮がないよな。

 今度、俺の作ったバターを使ったお菓子が首都で売りに出されるらしい。

「ドルチェ」っていう屋台で、色んな種類の焼き菓子を売るみたいだ。

 試作品をいくつか食べさせてもらったんだけどさ、どれもすっごく美味しかった。

 まあ、うちの新鮮な卵とミルク、そして俺の作ったバターで出来てるからな。美味しいのは当然か。

 冗談はさておき、本当においしいから機会があったら一度は食べる事をお勧めする。

 ちなみに俺はパウンドケーキとシフォンケーキが好きだ。

 まだしばらくは帰れないけど、そのうち休みが貰えたら会いにいくよ。

 また皆で色んな話がしたい。エルマーの近況も教えてくれ。

 それじゃ、またな。


 ダミアン」


 エルマーは嬉しくなって、すぐに返事を書いた。


「ダミアン、手紙ありがとう。

 元気そうで何よりだ。俺も毎日訓練を頑張ってるよ。

 現役の聖騎士が個人指導してくれるから、凄く勉強になる。

 周りの皆もすごくレベルが高くて負けられない。

 演習試合でみる聖騎士の技はどれも凄くて、迫力満点だ。

 ダミアンやアレックス達と一緒に見られたら、大盛り上がりしただろうな。

 みんなと会えなくなって寂しいけど、自分の夢だったから頑張るよ。

 最近、レンという友達が出来た。異国人で俺達より2歳年下だ。

 ちょっと変わってるけど、素直でいい奴だよ。最近よく話すようになった。

 レンは剣や槍の訓練は普通にこなしてるんだけど、馬術はあまり得意じゃない。これまで馬に乗った事がないんだって。信じられるか?だけど馬は好きみたいで、餌をやったりブラシをかけたりと、よく世話をしてる。ダミアンとも話が合うんじゃないかな。

 この間の花の日、レンと一緒にドルチェの屋台に行ってみた。

 一番安いクッキーを買って食べたけど、バターの風味がして本当においしかった。他の菓子もおいしそうだったな。いつか食べてみたい。

 材料のバターを作ったダミアンは俺の友達だってお店の人に言ったら、おまけしてくれたよ。

 ところで、パウンドケーキとシフォンケーキを食べたなんて羨まし過ぎる。あんな高いのとても買えないよ。でもスタンプカードが貯まったら、ちょっといいお菓子と交換してもらえるらしいから楽しみだ。

 他の皆もそれぞれ頑張ってるんだろうな。

 こっちに来る時には前もって知らせてくれ。必ず会いに行くから。

 それじゃ、体に気をつけて。


 エルマー」


「エルマーへ

 手紙ありがとう。返事がすぐに来たから嬉しかったよ。

 何しろこっちは娯楽が極端に少ないんだ。

 まあ、仕事に追われて退屈する暇なんてないんだけど。

 この間、トマスから手紙が来たよ。

 あいつ、すっごく可愛い彼女が出来たって自慢してきた。知ってたか?

 しかもきっかけはドルチェの菓子をプレゼントしたからだってさ。

 俺が手紙でドルチェの事を書いたから、どんなもんかと食べたらしい。

 そして俺に感想言う前に、好きな女の子にプレゼントしたんだと。

 なんだそりゃ。羨まし過ぎるわ。

 こっちはヤギや羊や馬に囲まれて、同じ年頃の女の子なんて従姉妹のエミリーしかいないっていうのにさ。

 まあエミリーも可愛いんだけど、妹のようなもんだし、何より手を出したらおじさんに殺されかねない。

 ・・・まさかお前まで彼女が出来たなんて言わないよな?

 聖騎士の制服来て歩いてたら、絶対にモテるだろう?

 もしも彼女が出来たなら、絶対に教えろよ。

 あ〜、俺も彼女欲しいな。

 今度帰った時は、トマスに自慢の彼女を紹介してもらおうぜ。

 それじゃ、またな。


 ダミアン」


「ダミアンへ


 トマスに彼女が出来たなんて全然知らなかった。

 けど、ドルチェの焼き菓子の詰め合わせをプレゼントして、街一番の可愛い子と恋人同士になったって言う防具職人見習いの噂なら聞いた事がある。あれって、トマスの事だったんだな。

 それがきっかけで、ドルチェの菓子を贈れば好きな女の子を落とせるって言われてるんだ。

 ドルチェの屋台が東の広場に来るのは花の日だけだから、いつも人が並んでる。

 俺には彼女なんていないし、相変わらず全然モテないよ。

 そっちはエミリーっていう妹分がいるんだな。俺はレンが弟みたいな感じだ。

 最近は休みの日もレンと一緒に行動してる。

 神殿の任務で、一緒に各エリアに行く事が増えたんだ。

 といってもお使いみたいなものばかりだけど。おかげで、色々と勉強になるよ。

 ところで聖騎士のフィリップさんって聞いた事あるだろう?

 ジャコブが尊敬していた槍の名手だ。

 そのフィリップさんが、最近俺とレンに稽古をつけてくれるようになったんだ。

 レンは凄く優秀で、周りの大人から凄く期待されてる。

 フィリップさんもその一人で、自分の弟子にしたいと思ってるらしい。

 彼が直々に稽古をつけてくれるのは俺ら二人だけだから、他の見習い連中から凄く羨ましがられてる。

 多分、槍の腕前だけなら見習い連中の中で一番じゃないかな。

 レンも地上でなら俺と同じくらい槍を扱えるんだけど、馬術は相変わらずヘタなんだ。

 片手で上手く槍を扱えないから、馬にあてて傷つけるんじゃないかと心配らしい。

 もう少し成長して筋肉がついてくれば、きっと大丈夫だと思うんだけど。

 ダミアンがレンに会ったら驚くよ。小さくて全然強そうに見えないんだから。

 いつか、紹介したいな。

 俺もレンもドルチェの常連なんだ。

 もう少しでスタンプがいっぱいになる。何に交換してもらうか今から悩んでる。

 そういうわけで、バター作り頑張ってくれ。


 エルマー」

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あっちこっち繋がってるのね~ 1日でも早い母と息子の感動の再会を期待して続き読みます!
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