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勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。  作者: 野山 歩


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神官の憂鬱2

 午後に医師を伴って北のエリアに出発した調査団は、翌日の夕方には首都に戻ってきた。異例の早さである。

 リアムの元へ報告に訪れた調査団長は、少し興奮しているように見えた。

 

「レンの報告書通りでした。ため池には水鳥等の野生動物も生息しており、そのままでは飲み水に適していません。医師の診たところ、孤児達は皆、寄生虫病にかかっているそうです。事前に症状を聞いていたので、用意した薬で対処できました。次の支援物資の支給の際、医師に同行してもらって様子を見てもらう事にしました」


「そうですか。迅速な対応ありがとうございます」


「いいえ、あの報告書のおかげですよ。我々は事実確認と裏付け調査を行うだけでした。レンという少年は凄いですな。父親に習ったという事ですが、浄化石を使わずに水を綺麗にする装置を作れるなんて。あんな装置初めて見ましたよ。彼は一体何者です?」


「彼は異国人で、首都の子供達よりも遥かに高い教育を受けています。ですがその一方、こちらの事情に疎い。今回彼に北のエリアに行ってもらったのは、この国の事を少しでも知ってもらおうと思ったからでした。彼はこの半年、神殿と訓練場と居候先を往復するだけでしたから。最近やっと友人も出来て、こちらの生活に慣れたようだったので、少し見聞を広めさせようと思ったんです。しかし逆に、我々の不甲斐なさが露呈してしまった。何年間も孤児院の窮状に気付かずにいたとは情けない限りです」


「神官様の責任ではありません。どうぞご自身を必要以上に責めるのはお辞めください。大事なのはこれから改善させるために必要な支援を続けていく事です。レンの提案で、半年に一度は医師に健康状態を診てもらう事と、仕事を斡旋する事を検討しています。原因を突き止めるだけでなく対策も考えるとは。彼は我々の希望となりうる人材だ。ぜひ調査団に入ってもらいたい」


 調査団長の言葉にリアムは苦笑した。


「ええ、レンは優秀で人柄もいい。まさしく女神様が遣わした希望の星と言っていいでしょう。しかしお忘れなく。全ての子供達が未来の希望なんです。我々はその未来を繋ぐ為に在るのです」


「彼は相当育ちがいいようですな。ご両親は既に亡くなっていると聞きましたが、実に残念です。一度会って話をしてみたかった」


 調査団長が部屋を出て行った後、リアムは小さくため息をついた。


 密かに勇者として育てるはずが、レンの才覚によって多くの人間の注目を集めてしまった。もちろんそれ自体は悪い事ではないが、彼を手元に置きたいと願う者はこれから先も出てくるだろう。

 彼の母親を死に追いやった事がつくづく悔やまれる。少し話しただけだったが、彼女もまた非常に頭の良い人物だった。生きていたら、レンと共にその知識で社会に貢献してくれただろう。

 もしも我々に理解を示してくれたら、あのような非情な決断をする事もなかった。

 顔はもうぼんやりとしか思い出せないが、彼女の足を刺した感触は今でもはっきりと覚えている。

 世界を救うためとはいえ、聖職者としてあるまじき行為だった。

 一生背負っていかなくてはならない罪だ。

 だが、彼女の死がレンを成長させたとも言えるだろう。

 彼自身が孤児になったからこそ、同じ立場の子供達を思いやる事が出来たのだ。

 母親の仇を討つという目的があるからこそ、辛く厳しい修行にも耐えられるのだ。

 彼女がこの世界に来たのは、レンを勇者として成長させる役目だったからに違いない。


「女神様、どうぞ彼女の魂に安らかな眠りをお与えください」


 彼女の尊い犠牲を無駄にはさせない。

 きっとこの国を滅びの運命から救ってみせる。

 それがこそが、神官である自分に課せられた使命なのだ。

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― 新着の感想 ―
良い人そーになってるけど、やった事は神官なのに外道。ざまぁ展開を希望します。
やっぱ神官頭おかしいな、自分のした事に正当性を持たせたいだけだろう。いつかレンがこの事知ったらと思うとどれだけ傷付くのか…。
[一言] 勝手な自己陶酔に浸るな!外道の狂信者め!
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