会議
リアムが司祭と書記を伴って会議室のドアを開けると、調査団に属する聖騎士や神官見習い、そして北のエリアの支援担当者である信徒や巫女が戸惑った表情で席に着いていた。日が落ちてから会議が開かれるなんて、今までになかった事だから仕方ないだろう。
リアムは議長席に座ると、集まった面々を見渡した。
「皆さん、こんな時間に突然集まっていただいて申し訳ない。急を要する事態なので、どうか理解して欲しい。今日、私はレンに簡単な任務を依頼していました。彼は無事任務を終えて帰ってきましたが、生憎私が留守だったため報告書を残してくれました。各自、目を通して下さい」
リアムは書記に合図して報告書の写しを配らせた。
自分がなにも語らなくとも、彼らが此処に集められた理由が全て書いてある。
全員が報告書の内容に驚き、言葉を失くしていた。調査団員の眉間には深いしわが刻まれ、支援担当者達は真っ青な顔で震えている。
「皆さん、集まっていただいた理由はご理解いただけましたね。これより事実確認を行います。最近、孤児院に支援物資を運んだのは、どなたですか?」
「私達です」
2人の信徒が手をあげた。
「孤児院の皆が痩せているというのは本当ですか?」
「はい。確かに痩せています。でも、食料はきちんと届けていますので、問題ないと思っていました」
「職員や子供達と話す事はなかったのですか?」
「私達からは特には。どこに何を置くかとか、そう言う程度です。彼らはいつも感謝の言葉を言うだけで、何かを要求したり相談する事はありませんでした」
「なるほど」
リアムは小さくため息をついた。
「あなた方が真面目に務めを行っている事は知っていますが、もう少し彼らと向き合っていたなら、このような事態にはならなかったでしょう。もちろん、あなた方だけの責任ではありません。現状の問題を訴えない孤児院側にも責任はある。しかし、これまで何度も接する機会があったはずなのに、なぜ気づく事が出来なかったのか?私はそれが悔やまれてならない」
二人は黙って俯いた。
「今回レンを北のエリアに派遣したのは、祭事に使うクリスタルを持ち帰ってもらう為でした。いうなればお使いです。しかし彼はそれだけで終わらせなかった。偶然見かけた孤児達を心配して、自分の良心に従って行動した。彼もまた孤児ですから、同情する部分があったのは事実でしょう。しかしたった数時間の滞在でこれだけの情報を引き出し、原因を突き止めたのは、彼らを助けたいという純粋な思いからです」
リアムはもう一度、集まった面々を見渡した。
「女神様に仕える者として、我々はレンを見習うべきでしょう。支援担当者には、これまで以上に弱者に寄り添っていく事を望みます。また調査団は早急に事実確認をするようお願いします」
調査団員の一人が手を挙げた。
「調査の際には医師を同行させますので、レンから直接話を聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「もちろんです。今日レンと一緒に北のエリアに行った少年がいるので、彼にも話を聞くといいでしょう。明日の午前中、会議室の使用を許可します」




