追い打ち
「・・・ってな事が昨夜あったんだ。俺の容疑は晴れたが、真犯人が捕まった訳じゃないし、事情を知らない中央広場辺りでは根も葉もない噂が飛び交ってると思う」
ダンの報告に、私もシヴァもしばし言葉を失った。こんな展開になるなんて予想もしていなかったのだ。
「直接手を下していない可能性もあるが、オーティスが関連しているのは間違いなさそうだな。奴はそのうち自滅すると思うが・・・そんな状態で、中央広場に行っても大丈夫なのか?」
「正直わからない。俺を人殺しと思って石投げてくる奴もいるかもしれないな」
「そんな・・・」
誤った情報を鵜呑みにして、正義感を振りかざし、人を攻撃する人間は少なからずいる。そう言う人間は、自分が正しい行いをしていると信じているから余計質が悪い。
「けど、ここで店を出さなかったら、余計に疑われるだろ?何か言ってくる奴がいたら、女神様への誓いで身の潔白を証明してやるよ」
ダンの言葉に、シヴァが私を見た。
「いいか、ミホ。これが女神様への誓いの正しい使い方だ」
「・・・はい」
項垂れる私をよそに、朝食を終えたラーソンがいそいそと立ち上がった。
「じゃあ、予定通り新商品を販売するんだな。荷馬車に機材の準備をしておく。ダンは今のうちに商品の試食しておけ。嫌な気分も吹っ飛ぶぜ」
ラーソンが機嫌良く食堂を出て行くのを、ダンは呆気にとられた様子で見ていた。
「俺、結構深刻な話してたと思うんだが・・・」
「あいつ、新商品の為の機材作りに携わってるから、ダンに自慢したくて昨日からうずうずしてたんだよ」
「機材?えらく大掛かりだな」
「そうね。維持するのが大変だから。ちょっと待ってて、今持って来るわ」
私が持ってきた新商品を見て、ダンは目を丸くした。
「おいおい、嘘だろ!?これを売るのか!?」
「そうよ。小麦粉を使わないお菓子、第2弾。さあ、食べてみて」
ダンは一口食べると目を瞑って天井を仰いだ。
「あ〜、うめぇ。一気に気分が良くなったぜ」
「それは良かったわ。屋台まで足を運ばないと食べられないから、貴族は手に入れられないはずよ。オーティスは依頼人の貴族からたっぷりと怒られるでしょうね」
「牢屋に入ってなければの話だがな」
私達がそう言うとダンは笑った。
「ああ。人を汚い手で陥れようとした報いだ。
ところで、それぞれの名前と値段は?」




