表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。  作者: 野山 歩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/554

反撃開始3

 女神様の日の朝、ダンは工房に用意された菓子を見てビックリした。いつもの菓子の代わりに、見た事のない棒状のケーキが並べてあったからだ。


「え?小麦粉がまだあったのか?」


「まあ、少しは備蓄分があるけど、そのケーキは小麦粉を使ってないわよ。食べてみて」


 ケーキをつまんで一口食べたダンは、目を丸くした。


「なんだこりゃ!?ふわっとして、しゅわっとして、それでいてしっとりしてて。おまけにさっぱりとした甘さだ。美味い。もっと食べたくなる」


「ふふふ。ありがとう。シヴァにも好評だったのよ。何で前は作らなかったんだ?って言われたわ」


「全くだ。すげぇな。これが前から考えてた菓子か?」


「いいえ。昨日も言った通り道具が届くのは来週だから、それは新作のお菓子を作るまでのつなぎって訳。そのケーキは今週しか食べられない期間限定商品だって宣伝してきてね」


「定番にしてもいいと思うけどなあ。値段はどうする?」


「カップケーキと一緒でいいわ。あ、でも子供達用に小さいやつも用意してるの。これはクッキー一枚と同じ値段ね」


 ちゃんと子供用を用意してるのがミホらしいな、とダンは思った。


「しかし、小麦粉を使ってないとはねぇ。材料は?」


「卵と砂糖とヨーグルト。材料はこれだけだから、コストも抑えられるの。商品名はヨーグルトスフレよ」


 水切りヨーグルトをクリームチーズに見立てて、スフレチーズケーキを作ったのだ。

 ケーキの種を天板に流し込み、焼き上がって良く冷ましたものをスティック状に切った。

 食べやすいから、きっと客はその場で食べるだろう。そして、初めての食感に驚くはずだ。

 人の多い中央広場だ。噂はあっという間に広まる。限定商品なら尚更欲しいと思ってくれるだろう。

 沢山の売り上げを見込んで、親の仇のように一日中メレンゲを作り続けた結果、夜には腕が上がらず髪を洗うのにも苦労する程だった。


(今日が休みで本当に良かった。明日からペース配分考えよう)


 右腕を揉みながら考えていると、ダンがキョロキョロと周りを見渡した。


「ところでシヴァは?」


「今日はガロンに会いに出かけるから、明日使うベリーを集めてくれてるの。今晩から仕込みをしたいしね。今日はプレーンのみだけど、休み明けからは味のバリエーションを変えて各エリアで売る予定よ。あ、西のエリア以外でね」


 ダンはニヤリと笑った。


「オーティスの奴、当てが外れて悔しがるだろうな」


「そうね。でも、反撃はまだまだこれからよ。

 あ、ちょうどシヴァの作業も終わったみたいね。さあ、朝食にしましょう」


(こんなもんじゃあ、生温(なまぬる)い。せいぜい吠え面かかせてやろうじゃないの。

 西のエリアのみんな、ごめんね。新作が食べたかったら、犯人探し頑張ってね。

 そしたらオーティスのおじさんが、追いつめられてすっごく困るから)


「おう、ミホ。楽しそうだな。今度は何を企んでんだ?」


 ラーソンが目玉焼きを受け取りながら聞いてきた。


「企むなんてとんでもない。地味〜なお菓子を焼くだけよ」


 ふっふっふっ、と黒い笑みを浮かべるミホを、シヴァとラーソンが引き攣った顔で見ていた。


(お菓子が地味って言われた事、相当、根に持ってるな)


(いいか?今後地味って言葉は禁句だぞ)


 コソコソと小声で話す二人につられて、ダンも思わず小声で質問した。


(何だ?何で二人はそんなに怯えてるんだ?)


 シヴァが小さくため息をついた。


「恐らく、あのオーティスって男は商人としてはもう終わりだ。ミホを怒らせたからな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ