緑の指
起床後、食堂に行って朝食の準備。
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朝食後、食堂と住居の清掃。
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午前中、工房にて菓子の試作品作り。
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正午 昼食(もちろん作るのは私)。
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午後、引き続き試作品作り。
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お茶の時間に試食、商品化に向けての打ち合わせ。
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工房の清掃。
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夕食の準備。
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夕食。
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後片付け。
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入浴後、就寝。
現在、私の一日のスケジュールはこんな風だ。
ニルスが希望通りの調理器具やお菓子の金型を作ってくれたおかげで、色んな菓子の試作が可能になり、正直すごく忙しい。
三日月班は酒蔵造りに取りかかり、ラーソンの指示を仰いでいる。
こちらは面積が広いので時間がかかりそうだ。こちらも結構忙しい。
その間シヴァは何をしているかと言うと、畑仕事や植樹をしている。
初めは敷地内をウロウロしているだけで、何をしてるかと思っていたけれど、土の性質や日当りを調査していたらしい。
壁に沿って敷地を囲むように、ベリー類や柑橘類など果実の木を植えていた。
また、以前庭園があった部分を三日月班に耕してもらい、葉もの野菜や豆類に加え、タマネギ、ジャガイモ等の根菜類も植えて、立派な家庭菜園を作っていた。
たった一人で広大な敷地を管理するのは大変そうだが、シヴァは一向に苦にならないらしく、むしろ楽しんでいるように見えた。
しばらくすると、食卓にシヴァの作った野菜が並ぶようになった。
「え?もう収穫出来るの?早すぎない?」
「植物の成長を促す魔法を使ってみた。少量ずつ時期をずらしているから、毎日収穫できるぞ。果実は花の付きを確認したいから、もう少し待っていてくれ」
「すごいわ。採れたて新鮮なお野菜が毎日食べられるなんて」
(しかも無料で。家庭菜園、万歳!!)
普段はあまり野菜を食べないラーソンまで、美味い美味いと言いながらモリモリとサラダを食べていた。
その何よりの賞賛にシヴァも気を良くしたのだろう。外壁の屋上にプランターを置くといいだした。
「ええ!?それは大変じゃない?」
「どうせ一日のうちに何回か見回りをせねばならんのだ。そのついでに世話すればいい」
何より日当りがいいから、魔法に頼らなくても成長が早いぞ、とシヴァは笑った。
「それに、しばらくしたらエールの材料のホップを植えなきゃならん。畑の半分はホップになるから、今のうちに準備しておいた方がいいだろう」
既に作付け計画までたてているとは・・・
「ハーブなら食堂の窓際でも育てられるな」
家から持ってくるか、と思案しているシヴァの様子に笑ってしまった。
「そういえば、シヴァの部屋はハーブや薬草で溢れてたわね。みんな生き生きとしてたし、きっとシヴァは緑の指を持っているのね」
「緑の指?何だそれは?」
「植物を育てるのが上手な人のことを、‘緑の指を持つ人’と呼ぶの。素敵な才能よね。羨ましいわ」
私がそういうと、シヴァは自分の手をじっと見つめた。
「・・・ガロンが緑色になったのも、そのせいだろうか?」
(やばい、なんか、地雷踏んだみたい)
「いや、それは関係ないんじゃないかな。それに、森の中なら保護色になっていいじゃない」
「保護色・・・そうだな。あの色が目立たない場所もあるな」
シヴァは遠い目をした。
◇◆◇◆◇◆◇◆
今思えば、この時からシヴァは決めていたのかもしれない。
魔物の領域内を、戦場とする事を。
それは人間にとって、悲劇の始まりだった。
そして、その悲劇の引き金を引く事になろうとは、この時の私は知る由もなかった。




