僕の恋人は透明少女
エッチなことがしたくて
手をわざと繋がないでいた
頭に花びらが付いてることを笑ってくれた
ああ、やっぱり何もしたくないよ
親に病院にぶち込まれた帰り
ふと愛しい君の面影をスマホ画面に映した
もう一度、ここから
僕を連れ出して行ってくれ
「私、本当は、可愛くないよ」
それが何だって言うんだ
見えないからこそ恋したんだ
透明な君の心みたいなものに惹かれたんだ
たとえ幽霊だろうが死神だろうが
君だからこそ好きになったんだろうが
道行く人に気持ち悪がれようとも
「好きだ」「そばにいたい」「愛してる」
そんなのいるわけない、の言葉も平気だ
僕が分かっていれば僕はいいけど
君がそこまで言うなら、もう…
どうやってこの感情を抑えるんだよ…
抱きしめたら、ちゃんと君はいて
「夢を見たらここにいたの」
君は知らない町の話をしだす
聞いたことのある場所だった…
とびきりでかい病棟の6階
眠りこけた彼女がそこにいた
こんな遠くから来ていたのか
映画みたいに目を覚ましてはくれないか…
「私、このままでもいい」
それはそれは幸せだろう
僕は僕はなぜ泣いているんだろう
君の手が頭を撫でててくれている
それがまた、涙腺に悪い刺激
いつかいこうよ二人で行こうよ
小さな部屋を借りて二人で暮らそう
ご飯も作ってお風呂にも入って
キスとキス以外もたまにならいいよね?
来るわけない未来を…、僕らは話し出した…
こんな世界じゃ生きていけないけど
こんな世界しか生きていく場所がないんだ
「ここにいたい」と思うことでしか
僕の恋人は元に戻らない気がした
このままでもいいのなら
このままじゃダメなんだね
今、僕と君は手を繋いで
とある病室の前…
「おはよう、よく眠れた?」