召喚された勇者達はなぜ王族に従うのか-頭の悪いリーダーは作者の操り人形-
突然「貴方は勇者です。魔王を倒して」と言われて、どうしてそれに従うのか。作品によっては主人公は否定的だが、リーダ(笑)が「困ってる人を助けようぜ!」と言い出してなし崩し的ってのが多いと思います。
いや、それねーから。
リーダ的存在ってそこまでバカじゃないでしょ? 見知らぬ異国に誘拐されて「はい助けます」って頭沸いてるでしょ。これじゃあ、作者にとって都合の良い方向に進めるための操り人形じゃないですか。
■目次:
・1.前提
・2.魅了/隷属 するのは当然じゃない?
・3.要求する前に厚遇せよ
・4.まとめ
■1.前提:
召喚された勇者は一般の兵よりも強くなる。
勇者召喚には巨大な対価が必要、または時間的な制限がある。そのため頻繁には行えず、勇者は貴重である。
今回はクラス全員など数十人単位を転移させるものを対象に考察。
■2.召喚直後に 魅了/隷属 させるのは当然じゃないの?
国策で召喚した貴重な勇者達。ならばその貴重な戦力が他国に渡るのを防ぐため、自国の配下に置くためにも、召喚直後の弱いうちに首輪を付けるのは当然でしょう。
-a.召喚魔法ならセーフティがあって当然?
「召喚魔術自体に隷属魔法が組み込まれている」のが理想です。
召喚魔法であれば召喚した時点で隷属させて当然だと思います。サラマンダーを召喚してそれが術者を攻撃するとか変でしょ? その延長と考えれば召喚した時点で非召喚者は隷属されているという設定も十分説得力があります。
FFチックな召喚の延長と考えるなら、まずは召喚した勇者をコテンパンにし隷属させる必要があるかもしれません。その場合、勇者が最初に聞く言葉は「ようこそ勇者様」ではなく、「こんにちは、死ね」な不意打ちでしょう。
-b.召喚後に魅了/隷属
それに対し、召喚後に別手段で魅了/隷属させるのは悪手だと思います。首輪を嵌める前に歯向かわれたらどうするのでしょうか? しかし、召喚魔法自体に隷属を組み込む事ができなかったのなら次善の策といえるかもしれません。
可能であれば 魅了/隷属 された事を自覚させずに支配下に置くことが理想です。
国に数人くらい魅了の魔眼を持つような人はいないのですか? 召喚直後の混乱時に精神抵抗をぶち抜いてあげてください。
-c.だまし討ちによる契約
「助けてくれるか」の問いかけに「はい、助けます」と答えた時点で契約完了。ファンタジーな契約魔法により国の利益を損なう行動は取れなくなる。
上記のパターンを一回見た事があります。召喚に対する矛盾を少なくする苦肉の策で、よく考えられていると思いました。魅了/隷属に比べると自身の意思で契約したのですから幾分か人道的であるといえます。
それでも「リーダーがバカ」による雰囲気作りには違和感がありますが。
■3.詐欺師が考える勇者篭絡の手順
仮に魅了/隷属することができない条件の場合。
なんで世間の王族はいきなり「助けて、魔王倒して」とプレッシャーをかけてくるのでしょうか。見知らぬ他人の頼みごとにしては重すぎます。
まずは、「勇者」という事を知らせずに、世迷い人として保護します。「召喚した」と思われるから召喚=拉致 の図式になり反発されるのです。
『「世迷い人」は国が保護する事になってます。こちらの世界に慣れるまで王城で御過ごしください』と対価を求めずに親切にしてタダメシ食らわせます。いわゆる恩に着せる。
そして、一週間もした頃に「実は困った事があって……」と「魔王と戦う」ほど重い事でなく「魔物駆除の手伝い」として話を切り出します。直接的な戦闘を嫌う人たちには「貴方の異世界知識を内政に役立てて欲しい」といえば良いでしょう。
タダメシ食らって国に対し好意的であれば、返せる恩は返したいと思うものです。この思いをもたない人は「ヒトデナシ」となじられます。
すれた社会人ならともかく、若い学生には抜群に効きます。7割以上の人間が自主的に手伝うと言い出し、それに流された他者もまず手伝うと宣言します。この空気に逆らえるのはそれこそ空気読まない主人公くらいでしょう。
そんな善意で「助ける」と宣言した勇者に、ファンタジーな契約魔法を使って国に従属させます。
メデタシメデタシ。
■4.まとめ
勇者召喚の儀式に対する「設定ガバガバすぎない?」という疑問から書き始めました。いきなり姫ないし王と会見するのもセキリュティ的にどうよ? と思いますし。
「都合の良いリーダー」の存在がない学級転移があったら教えてください。召喚直後のシーンをどう設定したのか気になります。
また多くの作品で「お願い⇒厚遇」の順ですが、相手を篭絡するのであれば「厚遇⇒お願い」の順にすべきです。優しくされた後のお願いは断り難いのですから。