寂しげな食饌②
「……まるたけえびすに おしおいけ~、あねさんろっかく たこにしき~」
女の子は時々変な言葉を喋る子だった。
僕にはそれが何なのかよく分からなかったが、女の子はヘンテコな歌を歌いながら、
足で小さなボールを打ち上げ続ける”蹴鞠”という遊びを教えてくれた。
でも僕は運動が苦手で、上手く続けることができなかった。
歌のリズムに合わせなければいけないみたいで、そのリズムを崩すと、女の子からよく怒られた。
こんなのできないよと僕が愚図ると、女の子はじゃあ手鞠でいいわよと言って、
今度は手でボールをバウンドさせて遊び始めた。
でも、僕はそれすらもあまり上手くできなかった。
「あんた、ヘタクソね。これ、女の子の遊びなのよ。蹴鞠は、男の子の遊び。」
「ふーん…。」
「せっかく蹴鞠をしようと思ったのに。まさか、手鞠もできないなんて。」
そう言われるとなんだか悔しくて、僕は夢中になって遊んだ。
何日か経ったある日の夕食時、祖母が信じられないような事を聞いてきた。
「あの女の子とは、仲良くなれたのかい?」
ぽかんとしたまま固まってしまった僕に、祖母は優しく笑いながら喋りかけた。
「最初は怖がっているようだったからねぇ。お友達になれて、よかったねぇ。」
暫く固まっていた僕は、やっぱりあの着物の女の子の事だと確信した。
でも、あの子は人間じゃない。
「おばあちゃん、あの女の子のこと、見えるの?」
「えぇ、見えますよ。」
それでも優しくゆったりとした口調で喋り続けるおばあちゃんに、
僕はなんだか、ほっとした気持ちになった。




