寂しげな食饌①
≪ご注意≫
古い歌や神様についての設定はテキトーです。
↓大丈夫って方のみどうぞ。
僕には幽霊が見える。
それは本当に、普通の人間のような姿をしている。
8回目の誕生日を迎えようとしていたある日、僕は両親の仕事の都合で、
夏休みの間だけ祖母の家へ預けられることになった。
「新しいお家はどうだい?」
ゆっくりとした口調で優しく微笑みかけてくる祖母に、僕は「広くて楽しい」と答えた。
祖母が作ってくれるお味噌汁はすごく美味しかった。
でも、僕はこの家を好きにはなれなかった。
時々、バタバタと廊下を走り抜ける赤い影。
真っ赤な着物を着て、一纏めにした髪に綺麗な髪飾りを挿している女の子が、楽しそうにはしゃいでいた。
年は同じくらいだと思うけど、なんとなく、人間じゃないと僕は思った。
最初のうちは、その女の子の事は見ないようにしていた。
見えていると気づくと、向こうは寄って来るから。
何かされたら、怖いから。
そう思って、女の子から目を瞑る日々が続いていた。
ある日僕は、家の裏側にある大きな山の中で遊んだ。
ピカピカなお日様の下で虫を追いかけたりして、楽しかった。
お日様が頭の天辺に昇る頃、僕はお昼ご飯を食べに家に戻った。
おばあちゃんが麦茶とおにぎりを用意してくれていて、美味しかった。
お腹がいっぱいになった僕は、風鈴の音に誘われて、いつの間にか眠ってしまった。
カナカナとヒグラシが鳴く頃に、僕はトイレに行きたくて目が覚めた。
眠い目を擦りながらフラフラと歩いていると、突然目の前から可愛らしい声がした。
「ねぇねぇ、蹴鞠しよ?」
驚いて目を開けてみると、目の前に真っ赤な着物を着た女の子が立っていた。
夕日に溶け込んでよく見えなかったが、女の子は確かにニッコリと笑って僕の顔を見つめていた。
改めてその姿を見てみると、なんだか普通の女の子みたいで、僕は何故だか冷静になれた。
「けまり……ってなに?」
「知らないの?じゃあ、教えたげる!」
すると女の子は小さなボールを抱えたまま、縁側の上からひょいっと勢い良く外へ飛び出した。
釣られて僕も外へ出ようとした時、僕は本来の用事を思い出した。
「まって、トイレ。」




