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翁の目的

弱い者は大して警戒されない。だから安全である。


しかし、ならば強い者が危険かと言うとそうでもない。

ある程度の力を示せば、少なくとも直ぐには危険にならないのである。


一人の老人を神々が囲んで牙を向いている。

一見すると完全に神々の優勢のようである。


・・・しかし、現実はまるで反対だった。神々はもう動けない。



月「・・・・・何が望みですか?」



月夜見尊がそう問いかける。



永「いや、それ以前に、あなたは何のためにここへ来たの?」


陽「前にも言った筈じゃがな。牢屋へ入る事だと。」


永「なら何故こんなことを?」


陽「・・・・・わしの目的は牢へ入る事。

  しかし、何故入るかと言えば、それは面白さを求めて来たのじゃ。」


永「・・・・・新しい楽しみが見つかった?」


陽「うむ。」



陽夜は頷いて―――月夜見尊を指差した。



陽「月夜見、いや。かの三貴子に興味を持った。」


月「私に?」


陽「うむ。お主を面白いと思ったから予定を変更した。

  ・・・・・しかし敵意がある訳では無い。」


永「拘束しておいてよく言うわ。」


陽「話の主導権を握るためにも、

  わしの力を示す必要があったのでな。

  他にも方法はあるが、この方が手っ取り早い。」


月「・・・・・それで、用件は?」


陽「特に無い。強いて言うならばお主らの見学。

  ・・・ああ。あとこの都市を自由に見てまわってもよいか?」


?「何!?そんな事を許すと―――――」


永「落ち着いて。

  ・・・・・それで、もしその受け入れを断ったら?」


陽「どうもせん。勝手に見て回るだけじゃ。」


月「・・・・・分かりました。受け入れましょう。」


陽「賢明な判断じゃな。」



普通の判断である。言うことを聞いても聞かなくても同じなら、

言うことを聞いて関係を良好にしておいた方が得だ。



月「但し。・・・・・誰か監視をつけること。これが条件です。」


陽「ふむ。それくらいなら。」


永「月夜見尊様。それは私が。」


月「・・・・・分かりました。××にお願いしましょう。」


陽「分かった。

  ・・・・・さて。これで交渉成立じゃな。」



陽夜はそう言うと、手を広げ―――


パンッ


と叩いた。すると―――








ザシュッ









この瞬間に起こった事。


一つは神々の拘束が解かれ、動けるようになった事。

一つは一柱の神が剣を持って陽夜の側に立っていた事。


そして・・・・・



永「え?・・・・・」



一つは陽夜の首が落ちた事。


が・・・・・・・



?「馬鹿な・・・血が出ていない!?」



そこから出るべき液体は出なかったが。



月「・・・・・は!

  貴方は何をしているんですか!!」



この異常な事態による呆然に、いち早く回復したのは月夜見尊だった。

陽夜の首を飛ばした神に向けて怒鳴っている。



?「・・・・・危険分子を取り除いたまでです。

  こやつは途方も無く強い。殺せる時には殺した方が良いと判断しました。

  この状況は予想外でしたが・・・・・」


陽「そう。それは普通の判断じゃな。」


一同「!!??」



途端、陽夜の首と体が大量の札となって散り、

いつの間にか後ろに居た陽夜の開いたハザマへ戻った。



永「これは・・・」


陽「札で作った分身じゃよ。

  不用意に拘束を解くはずが無かろう。」


?「・・・・・ちっ。」


陽「建御雷たけみかずちよ。

  心配せずとも、わしを殺すことなど出来ぬよ。

  お主では力不足じゃ。」


建「何を!!」



そう言って手の中の剣を構える建御雷。



月「止めなさい!

  ・・・・・失礼しましたね。」


陽「いやいや。別に気にしてはおらんよ。」



陽夜はひょうひょうと答える。

本当に何とも思っていないらしい。

その姿に、建御雷はしぶしぶと引き下がり、剣をおさめる。



月「しかし、なぜ建御雷の名を?」


陽「武勇を聞いてな。剣の神にして雷の神。

  名は有名じゃよ・・・・・・・さて。それでは。」


月「はい。××。」


永「分かりました。

  じゃあ、これからよろしくね。陽夜さん。」


月「・・・・・そう言えば、あなたの名前をまだ聞いてはいませんでしたね。」



そう言えば。今更だが。



陽「ああ。そう言えばまだ名乗っておらんかったな。」



陽夜はそう言って神々に向き直り―――――



陽「わしの名は魄霊混 陽夜。

  天地開闢の時より生きる八百万やおよろずの末端の神であり、

  数億を超える年月を生きた大妖怪であり、

  唯の人間であり、その他諸々じゃ。よろしく。」



―――――とてつもない事を言い放った。



一同「・・・・・・・・・はあ!!??」


今になってちょっと設定が大きすぎたと思った。

だが反省も後悔もしていない。

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