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陰を見る者

本当に陽夜は牢に入る事が目的だろうか。

いや、確かに目的なのだろう。


・・・・・しかし、果たしてそれだけの理由で犯罪を犯すだろうか?

神達は陽夜の口を割らせる為に、陰を見る神の元へ向かった。


・・・・・しかし。

?「月夜見尊つくよみのみこと様!

  犯罪者を捕らえて参りました!」



とある神がそう叫んでいる。


犯罪者―――陽夜は、その所々に傷があり、

そして、恐ろしく強い縄にがんじがらめにされていた。

この縄は確か太玉命ふとだまのみこととか言う神が持ってきた物である。


今は陽夜が連れて行かれて約七時間が経った。

此処は何処かの神殿のような所である。


陽夜が何故こんな所にいるかと言うと―――――



?「是非、この者のまことを暴いて頂きたい!」



それは陽夜の異常性にあった。


どう考えてもあの建物を崩壊させることは、

この老人が持っている力では出来なかった。

勿論隠しているのだと考えてあらゆる手段で正体を暴こうと躍起になったのだが、

結局暴くことは出来なかった。


しかし、手段が出尽くしたとばかりに思われたが、

今度はこの強い縄にがんじがらめにされ、この神殿に連れてこられたのだ。


当の本人は・・・・・



陽「・・・・・・・」



連行されてから一言も喋っていない。

口を割らそうと拷問にかけてみたりもしたのだが、

生爪を剥がされようと、一本一本手足に針を刺そうと、全然表情を動かさない。

それどころか、余裕に笑みすら浮かべる始末。


さすがに殺すのは早いと判断したのだが、もう(人道的な)手段は粗方出尽くしたため、

最後の手段として此処に連れてこられたらしい。



?「・・・・・分かりました。あなたはその者から離れて下さい。」



と、神殿の奥、祭壇とも椅子とも表せる場所に、いつの間にか誰かが座っている。

その姿は女神のようであり、その髪と瞳の色は紺色であった。


その者―――恐らく神―――が発した言葉により、傍に居た神はさっと引き下がった。


気づけば、陽夜の後ろには幾つかの気配がある。

そのどれもがかなり強い気配だった。恐らくこれらも神だろう。



?「おい、罪人。」



と、後ろの陣営にいる内の一柱が声をかけた。



?「月夜見尊様は影、裏、闇を覗くことの出来る能力を持っていらっしゃる。

  人の裏の考えをも読んでしまわれる。

  早く罪を認めろ。隠し事は出来ん。かえって刑が重くなるぞ。」


陽「・・・・・ほう。」



陽夜は感心したような声をもらし、

・・・・・しかしそれ以上は喋らなかった。


そして―――――



月「・・・・・何も言わないようですね。

  それでは、貴方の真、拝見させていただきます。」



月夜見尊は、その紺色の瞳を、陽夜の黒い瞳に映した・・・・・





















永(・・・・・牢に入るのに、あんなに我慢をするかしら?)



永琳も、罪人―――陽夜の後ろにいる神々の中に混じっていた。

色々と事情聴取をされたが、自分は連行しただけと言って、厄介事は免れた。


永琳は、陽夜の負っている傷跡を見て、これを疑問に思っているようだ。


確かに、ただ牢屋に入るだけなら、さっさと罪を認めれば完全に罪人とされ、

簡単に入れた筈である。

しかし、陽夜は口を開かず、拷問に耐え、とうとう月夜見尊まで引っ張り出した。


拷問は他にも、四肢を一本一本切断したり、

眼や鼻、耳を削ぎ落としたりと、非人道的なものならいくらでもある。


・・・しかし、それはできない。

確かに陽夜は、建物をほぼ完全に崩壊させた。

しかし、奇跡的なことに、それによる死者や重傷者は出なかったのだ。

まるでそこだけ狙われたかのように、崩れが弱くなっていた。


建物だけが壊れたため、非人道的な拷問はさすがにやりすぎなので出来ない。


が、一件でのあの膨大な霊力のこともある。

永琳は、陽夜のことをずっと警戒していた。



永(一体何をしたいのかしら?

  ・・・・・まあ、それは月夜見尊様が暴くわね。)



そう。月夜見尊の能力の内の一つは『陰を見る能力』。

あらゆる裏、影、闇を見ることの出来る能力だ。

故に人の裏、つまり本性を見ることが出来、また、裏組織などの情報も暴けるのだ。



月「・・・・・何も言わないようですね。

  それでは、貴方の真、拝見させていただきます。」



そうこうしている内に、月夜見尊の能力が発動した。

相手の眼を見、その中の裏、及び隠し事などを曝け出す。


それは陽夜も例外ではない―――――筈だった。



月「・・・・・!?」



が―――――



月「これは・・・・・」



―――――今回は相手が異常すぎた。






陽「ふむ。三貴子みはしらのうずのみこの力は確かに強かった。

  ・・・・・しかし、今回は相性が悪すぎたな。わしの陰はもう見えんぞ。」




今はまだ、『程度の能力』とは言わないものとします。

(一部除く。)

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