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天地開闢

始まりは神話に遡る・・・

世界の天と地が分かれて間もない頃―――――


辛うじて上と下の境界が分かる程に天地が出来上がった頃。

と言っても、どちらが上でどちらが下なのかは分からないが。

そんな空間の中に―――――一人の老人が浮いていた。


いや、本当に浮いていたのかどうかは分からない。

何せ、上と下が分からないのだから、浮いているのか沈んでいるのか、

はたまた飛んでいるのか落ちているのか分からない。


―――――が、確かにそこには老人が居た。


灰色の髪と髭を持ち、黒と白、それに灰色の服を着ているこの老人は、

その顔にとても楽しそうな表情を浮かべていた。



?「ふむ・・・こうなったか。

  やはり分けたのは正解だったようじゃな。」



老人は一人ぶつぶつと呟いている。


やがて、曖昧だった天地の境界が少しずつ明確になり、

どちらが天でどちらが地かが分かるようになった。


人は後に、これを ”天地開闢”、

または ”天地初発之時”(あめつちのはじめのとき)と言う。


まあ、この老人には知る由も無い。



?「・・・・・うむ?」



と、まだ成ったばかりの世界―――後に ”高天原”(たかまのはら)と呼ばれる―――

に、一つの人影が現れた。

と、そのすぐ後に、もう二つの人影が現れ、計三つの人影となった。



?「ほう・・・・・あれが最初の知ある者か。」



その人影は互いに向かい合い、何かを話している。


老人はその光景に微笑みを浮かべた。



?「・・・まあ、今は接触するのは止めておこう。

  わしは他に行く所があるのでな。」



しかし、その人影に背中を向け・・・・・


ス――――――――


当たり前のように、何も無い空中を指でなぞった。


すると・・・・・


―――――――――


突然、なぞった部分の空間が音も無く開き、入り口のようなものが出来た。

その入り口は灰色で、綺麗なひし形をしていた。


老人は何も言わず、その入り口の中へ入る。

その後、灰色の入り口は一人でに閉まり、消えていった。

































?「?・・・・・」



成り立ったばかりの空間に残った三つの人影の内、最初に現れた者が、

今老人が居た空間に目を向けた。

しかし、その空間にはもう何もない。



?「どうしましたか?」


?「・・・・・今、誰かが私達を見ていた気がします。」


?「・・・・・それは気のせいでしょう。」


?「そうです。まだ私達以外に神は成っていません。」



どうやらこの三人・・・・・いや、三柱は神らしい。

その内の後から現れた二柱が、その疑問を否定する。



?「・・・そうですね。気のせいでしょう。」



最初に現れた神も、二柱の言葉を信じ、

二柱の神に再び向き合った。



?「それでは、私達はどうしましょう。」


?「そうですね。私達の存在はこれから来る生命にとっては強すぎます。」


?「この先に、強き神が成ったら、その者にお告げをしましょう。」


?「では、その時までは、私達は身を隠しましょう。」



この言葉に二柱も頷き、三柱は唐突にその姿を眩ました。

































後の人々はこれを日本神話の始まりとし、

最初に現れた一柱を ”天之御中主神”(あめのみなかぬしのかみ)と言い、

次に現れた二柱を ”高御産巣日神”(たかみむすひのかみ)、

そして ”神産巣日神”(かみむすひのかみ)と言う。


しかし、だとするとあの老人は一体何者だろうか。

日本神話の天地開闢の記には、老人なんて一切出てきていない。














人の歴史の表に出ることは無かった一人の老人。

この物語は、そんな老人を記した物語である。

初めまして。

アンセス・ルーツです。


この度、東方陰陽混に足を運んで下さり、

まことにありがとうございます。


のんびり更新ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。

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