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夢と大人

作者: blue birds


 私はいつの間にか、大人になっていた。

 たったそれだけのことを受け入れるのに、私はどれだけの時間を必要としたのだろうか。




 妹に子供が産まれたのは、もう7年のまえのことだ。

 その子は女の子で、妹に似てよく笑う赤ん坊だった。



「おじちゃんって、どんな大人なの?」



 そして、あのときの赤ん坊は妹に似て容赦なく、思ったことを口にする娘に育ちつつあるらしい。

 さすがは、我が妹の娘―――とも、言っていられない。




「どうして急に、そんなことを?」


 苦笑まじりに問いかける私に、姪は元気よく答える。



「お母さんが、おじちゃんみたいな大人になったらダメって言ってたの。

 でも、おじちゃんみたいな大人ってよく分かんなくて……」


 何の悪びれもなく、姪は私の膝の上でそう、笑う。

 その姿は憎らしくも、愛らしい。


「……おじちゃんみたいな大人ってのは、夢ばっかり追いかける大人のことだよ。

 現実を観ないで夢ばっかり追いかける、そんな大人にお母さんは―――なっちゃいけないって、言ってるんだろうね」



 母と妹は、私を「夢見る夢子ちゃん」と呼んでは、よくからかう。

 母と妹からすれば何ら価値のないものを、他の全てをかなぐり捨てて私は追いかけているのだから、それも仕方ないことなのだろうが。


「……夢って、追いかけちゃダメなの?

 夢を追いかけるのは、いけないことなの?」



 不安そうに問いかける姪は未だに膝の上だ。

 小柄な私でもすっぽり包める程、この娘はまだ、小さい。



「……たぶん、違う。

 夢を追いかけるのは、悪いことじゃない。でも、夢ばっかり追いかけるのは、悪いことなんだろうね」



 私には今まで、『夢だけを追い続る特権』を与えられていたように思える。

 けれどもそれは、そろそろ剥奪されてしまうらしい。

 


「……? おじちゃんの言ってること、分かんない! 夢は追いかけちゃダメなのって、私は聞いてるの!」



 じたばたと暴れだすお姫様。

 要領を得ない私の返答にご立腹な様子だ。

 さて、どうやってなだめすかそうかと考えながら私は―――


「私はまだ、夢の途中でね。

 夢を追い続けてよかったと思えることはほとんどないけれど、でも、いつの日か」


 いつの日か、君に胸を張って「夢」を語れるような、そんな「大人」に―――私は。




 こうして私は、「大人」になった。

 しかし同時に私は、まだまだ「大人」にはなりきれていないとも、思う。

 ―――いつの日か、わたしは「大人」になれるだろうか。 



 ……いや、ならなければと、私は思う。

 なぜなら、それが今の私の、もうひとつのーーー

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― 新着の感想 ―
[一言] 夢の終着点が大人なのでは無いと私は思います。とこの方に伝えてあげたい。 はじめまして、聖魔光闇と申します。 夢を追い、夢を追い求めているうちに大人になる。大人になると、現実という壁が夢を…
[一言] ―――夢だから、でしょうか。  「大人」と言う一つの到達点。その定義は随分と曖昧な物で、自分には難解です。  「夢」を語れるような「大人」になる。  或いは、  「大人」を語れるような「…
2011/02/04 21:46 退会済み
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