第3話
私たちは、
不慣れな街を、
おぼろげな記憶を頼りにあっちだ、こっちだと言いながら、
ようやく母たちの暮らしているアパートに到着した。
冬弥君の指示通り、
扉は開けっ放しになっていたので、迷わず中に入ることができた。
冬弥君は、
母の後始末やなんかでいろいろと忙しくて、
私たちに構っている暇がないので、
前もってLINEで細やかに指示をしてくれていた。
中に入ると、東京の叔母さんが派手な女性と二人で、せわしなく動きまわっていた。
狭い部屋で何をしているのかと思ったら、
金目のものを探し回っているようだった。
何しろ第一声が、
「紗綾ちゃん、
お母さん、どこかにお金を置いているはずなんだけど見つかんないんだよね。
知らない?
通帳とか財布も見つかんないの、変でしょ」
だった。
何年ぶりかで訪れた私が知っているはずもなく、
母の姉妹のそんなあさましい姿を、
部屋の隅っこに居心地悪く座ったまま、ただ黙って眺めていた。
叔母さんたちは、遺体を寝かせているベッドの下まで確認して、
おかしい、おかしいと言いながらも、
ようやく諦めたようだった。
「冬弥君が、気がついた時には、もう意識がなかったんですって。
すぐに病院に運んだけど、一度も意識は戻らなかったって」
叔母さんは水屋の中から大きめの湯吞みを二つ出して、
自分たちの分のお茶を入れながら、母が死んだいきさつを簡単に話し始めた。
ふと、気がついたみたいにして「お茶、飲む?」と聞いてきたが、
私も妹も要らないとこたえた。
母は3日前に倒れて意識を失ったまま、
昨日の満月の夜に息を引き取ったとのことだった。




