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吹奏万華鏡  作者: 幻創奏創造団
[1年生編]茂華町合同演奏会編
41/210

[特別編] 夏休みの章&キャラクター紹介

いつも『吹奏万華鏡』を読んでくれている方、本当にありがとうございます。


さて、物語も大きな節目を迎えたということで、今回は、活躍する予定の人物の日常編となります。

物語の最後には、各キャラクターの意外な〇〇を紹介していきますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

ある日の練習帰り、気温は約30℃だった。

「あつ~い」

学校の廊下で、想大が手で顔を扇ぐ。むなしくも、涼しい風は頬を叩いた。

「暑いよね、扇子使う?」

優月も、青いズボンに半袖を着ている。優月は暑がりではないので、全然平気だ。

「おっ!サンキュー」

パタパタと扇子を扇ぐ。

「優月君、どこで買ったの?」

「この前、旅行に行ったとき。柄が好みだから買ったんだ」

「おぉ…」

扇子には、涼し気な白い空間に、ぽつぽつと朝顔が咲いている絵があった。


「確かに、優月君、花描くの好きだったよな」

「うん」

2人は、元美術部だ。想大は今も美術部を続けているが、夏休みは活動がないので、吹奏楽部に専念している。

「そうだ、スーパーでアイス買いに行かない?」

「アイスかぁ」

想大は、考える間もなく「おう!」と返事をした。

「確かに、スーパーなら色んなアイスが、あるもんな!!」

「でしょう」

そう言って、2人は、学校をあとにした。



スーパーに着いた2人は、行動を共にする。

「えっ?何買ってるの?」

想大が優月に訊ねる。

「何って、夕飯の食材だよ」

「えっ?優月君、ご飯作れるの?」

「うん、今日は豚汁でも作ろうかなって」

「へぇ」

優月は、人参、大根、ゴボウを籠の中に突っ込んでいく。

「暑いのに、豚汁かー」

想大が、優月に言う。それを聞いた優月は、苦笑する。

「昨日は冷やし中華だったから、汁物食べたいの」

「おぉ」

優月の自信満々な表情に、想大は頷くしかなかった。


「それに、お母さんやお父さんみたいに、色々なものを、作れるわけじゃないし」

「えっ?他に何が作れるの?」

「カレーとナポリタンとスクランブルエッグくらいかな」

「えっ?やばっ!」

「そんなことないよ」

「俺、あんまり料理しないよ」

「僕も、だよ」

優月もそう言って笑った。


こうして、スーパーを出た2人は、駅に向かった。

「うわっ!同じキャラ、被った!」

「僕も」

2人は、ランダムカードを開けながら、そう嘆いた。

「中々、スーパーレア当たらないな」

「そうだよね」

その時だった。


「あっ!そういえば知ってるか?」

「ん?何を?」

「今度、茂華の町民会館で、演奏会があるらしい」

そう言って、彼は紙をつきつけた。

「おっ!茂華中学校も出るんだ。でも2ヶ月後なんだね」

「そうそう」

その時、やっと列車がホームに滑り込んできた。


「そういえば、最近さ、鳳月のゲームの量増えたよな」

優月が確認のように訊ねる。

「そうだな。多分、田中先輩いないからだな」

「僕もそう思う」

そうなのだ。優月やゆなの先輩である田中美心の早退が最近増えたのだ。


しかし、これが悲劇の始まりであることを、彼等はまだ知らなかった…。



帰りがけに、優月はブランコに乗っていた。

これが、いつもの日課になりつつあった。その時、

「優月くん」

と誰かが話しかけてきた。

「あっ、優愛ちゃん」

優愛だ。優愛は茂華中学校の吹奏楽部で、打楽器をやっている3年生だ。

「最近、ずっとブランコに、乗ってるね」

「そう?」

「うん。帰りによく見るよ」

「帰り…」

優月は、少し俯く。確かに最近、ずっと乗っている。

「ボーッとしてるよ?大丈夫?」

「うん」

「なら、いいけど」

「最近、毎日部活だったから、疲れが溜まってるのかもね」

優月は、そう言って笑う。

「私も。東関東だから、毎日」

「でも、僕の方は明日から休み」

「そっかぁ」

「茂華の方は?」

「明日まで」

「そっか…」

すると、優愛もブランコに乗る。


「そういえば、古叢井さんはどう?」

「元気だよ。だけどソロの部分が、本番と違って、ミスしちゃうことはあるけど」

「そっか。でも、大会終わったら、文化祭だね」

「そうだね。でも私は引退だから」

「そうだね」

「それに、私、吹部やめるし」

その言葉に、優月が「えっ?」と言う。

「夏休みの間、ずっと考えてて。で、結論が辞めるってことに」


優月は一瞬だが寂しくなった。でも止める資格はない。最後に決めるのは、自分の本心なのだから。


2人は、別れて、別々の家に帰った。

そして、食材を切りながら優月は、思い出す。


『だから高校では、吹奏楽部はやらない』


あの目は、決意に満ちていた。茉莉沙の時と違って…。

包丁を、コトンと、まな板の上に置いた、優月は思う。

自分もいつか、辞める日がくるのかな、と…。



こうして、夏休みは、流れるように、過ぎ去っていった…。


そして、夏休みの最終日。

夜空へ、弓を射る音が響く。

「すぅー…」

その細い指を離し、矢を放つ。その矢は、的の中心近くを、打ち抜いた。

打ったのは、井上むつみだった。その白髮が、風に揺れる。そして、生まれつきの紅い瞳は、一直線に、的へ向けられていた。

むつみは、また大きな弓を構える。そして、

『月まで届け。レクイエム』

こう言って、矢を放った。

その可憐な姿は、まるでかぐや姫を守る守護者のようだった。


ー続くー

キャラクター紹介


小倉優月       小林想大

誕生日 3月7日    誕生日 9月25日

血液型 A型      血液型 O型

楽器  打楽器     楽器  ホルン



井上むつみ       朝日奈向太郎

誕生日 11月26日    誕生日 12月25日

血液型 RH−型     血液型 O型

楽器  オーボエ    楽器 チューバ 



古叢井瑠璃       榊澤優愛

誕生日 9月5日     誕生日 8月3日

血液型 AB型      血液型 A型

楽器  打楽器     楽器 打楽器


田中美心      明作茉莉沙

誕生日 1月21日   誕生日 6月14日

血液型 O型     血液型 A型

楽器  打楽器    楽器 トロンボーン、打楽器




小倉優月  (東藤高校吹奏楽部編 主人公)

高校1年生。優しい性格で礼儀正しい。幼馴染みの優愛に憧れて、打楽器を始めた。

料理が得意。


古叢井瑠璃  (茂華中学校吹奏楽部編 主人公)

中学2年生。転入してくる前は、優しくて大人しい性格をしていた。だが、優愛と仲良くなったことを、キッカケに打楽器を始めた。

実は、小学生の時に、和太鼓を習っていた。技術には自信があるくらいだが、皆には隠している。

小学生の時に、男子にスカートの下を見られたことで、スカートの下に、短パンをはいている。


井上むつみ

白髪、白い肌、深紅の瞳が特徴の美少女。オーボエ担当の高校2年生。容姿は親からの遺伝。

家に弓道場があり、ストレスが溜まった時は、矢を射ている。


朝日奈向太郎

チューバ担当の高校3年生。祭り事が大好きで、演奏だけでなく、楽器の運搬でも活躍している。

そんな彼は、ピアノが得意。



今回は、この4人を主軸に、物語を描いていこうかと思っています。次回をお楽しみに。


[次回]

瑠璃の努力、希良凛の執念…

町を巻き込む…。

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