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吹奏万華鏡  作者: 幻創奏創造団
[1年生編]地区コンクール大会 本編
28/208

自由曲決定の章

こんにちは。

今回から、視点を変えて、瑠璃の話を数話書こうかと、思います。


物語や、キャラクターに関するリクエスト等を募集しています。是非、コメントをお願いします。

町立茂華中学校。剣道部や卓球部、そして吹奏楽部の強豪校だ。


そんな学校の、職員室に、誰かが入ってくる。

「先生、前も、相談した『入部の話』受け入れてくれますでしょうか?」

すると、顧問の笠松明奈が、「はい」と、入部届けを見る。

その人物も、吹奏楽部に入るつもりらしい。


しかし、この人物こそが、瑠璃を深淵に落とすことに、なってしまうのだ。

しかし、誰も、そんなことは知らない。






東藤高校。


「自由曲、明日までだ…」

優月が、グループメールの文言を、見て、そう言った。

音楽室は、もう目の前だ。

「ほんとだよ」

もう、想大も匙を投げたのだろう。どこか、関係のないように、見える。



「そういえば、想大君、この前、古叢井さんと何話してたの?」

ふと気になった優月が、訊ねる。


『私のこと…好き?』


その時、瑠璃の赤面した姿が、想大の脳裏へ、甦る。

「別に」

「それ、前も言ってた」


優月は、彼へ、強い圧をぶつける。

普段は、可愛らしい瞳も、この時ばかりは、獣のような鋭い眼光に、豹変する。

「…うっ!」

「そんなに、言えないことなの?」

「言えないって…わけじゃないけど…」


すると、想大が、立ち止まる。

「実は、あの時、瑠璃ちゃんに、告白された」

「えっっ!?」

優月は、それを聞いて、後ずさりする。

まさか、本当に告白するとは。


「それで、付き合ったの?昨日、手を繋いでたじゃん!」

「見てたのか。付き合わなかった」

「なんで!?」



彼は、瑠璃との会話を、思い出す。


『えっ?まだ?』

『うん。コンクールが、終わるまでは。部活に集中したいの』

『そっか。茂華は、強いもんね』

『そうなの。あの…それまで、待っててくれませんか?』

瑠璃の顔が、より一層、赤くなる。可愛い。




「わぁぁ…!吹部らしい」

それを聞いて、優月は、輝かせた。

「まぁ、俺も、瑠璃ちゃん、好きだからな」

「それって、いつから?」

「半年前」

「最近じゃん!」

2人は、仲良く、音楽室へ入っていった。

しかし、そんな瑠璃が、悲劇に遭う。それを知る者は、誰一人、いなかった。



それから、個人練習が始まった。


周防奏音が、ホルンを手に取り、想大に訊ねる。

「想大君、美術部は、ちゃんと行ってるの?」

「はい。週一回」

すると、奏音が、眉をひそめる。

「これから、もっと忙しくなるんだし、今のうちに、ちゃんと行きなよ」

先輩に注意された、想大は「はい…」と恥ずかしそうに、返事をした。


確かに、最近、美術部には行っていない気がする。

想大は、美術部と吹奏楽部を、兼部しているのだ。




その頃、イヤホンで、音楽を、聴いている者がいた。茉莉沙だ。


「うん…」

茉莉沙は、青い空を、見上げる。

「やっぱりこの曲です」

その目は、決意を宿していた。


茉莉沙は、激練習により、体調を崩してしまっていた。それからも、吹奏楽部を続ける、と彼女は今年の自由曲を、考えていた。

ありとあらゆる曲を、検索、試聴。それぞれの個性が、活かされるものを、選抜したのだ。




それから、合奏の時間になった。


「氷空さん、ランペの、音を、もう少し張ってください!」

一曲を、通した後、何時もの如く、顧問の井土が指摘する。

「はい」

氷空は、金色に光るトランペットを、そっと、撫でる。


それを見た、茉莉沙は、ある記憶を、思い出す。



『努力をすれば報われる。この言葉が叶うことを祈る』

誰かが言っていた。自信に満ちた声で。

細目に、真っ黒な長い髪、体躯の良い体。そんな彼女が、手にしているのは、白刃のような光を、放つトランペットだ。


確か、名前は、薬雅音乃葉(やくまさおとのは)

苗字の第一印象は、まぁダサい。それでも、ご先祖様が、この名を、名乗っていたのなら、文句を言う筋合いなど無い。


しかし、大切なのは、名前では、ない。

音乃葉は、全国トップレベルの、トランペット奏者だ。

そんな彼女に、先日呼び出された。



その時だった。

「はい!今日の部活は、これで終わりにします!」

井土が、そう言った。

その言葉に、反応した茉莉沙は「すみません」と言った。


「…明作さん?」

井土が、首を横に傾ける。

「私から、課題曲の提案が、あります」


「…茉莉沙」

初芽が、驚いたように、目を丸める。


「流してもいいですか?」

茉莉沙が、そう訊ねると、「どうぞ」と井土は、許可した。


すると、茉莉沙は、音楽を流す。

スマホのスピーカーから、流れてきたのは、管楽器の音に、和太鼓が加わった曲だった。

「これは、なんて曲なの?」

ゆなが、手を挙げ、訊ねる。


「百年祭という曲です」

茉莉沙は、声を少し、張り上げる。


「人数が、少ない上、今年は、パーカッションの人が、多い上、和太鼓の経験者も多いので、それを活かせるような曲がいいかな、と思い、この曲を、選びました」

茉莉沙は、そう言って、軽く礼する。


「明作さん、ありがとうございます」

井土は、そう言って、にこりと笑った。


百年祭か、とゆなは、歯噛みをする。

「てことは、私は、和太鼓確定か…」

「嫌なの?」

そこに、先輩の田中美心が、話しかける。

「別に。ただ、面倒だなって」

「だったら、小倉君に、やってもらえば?」

しかし、ゆなは「やーよ」と言った。


(あの先輩…、部員の特性、知ってて選んでる)

ゆなには、分かっていた。

やはり、茉莉沙は恐ろしいな、と心のどこかで、そう思っていた。



トランペットや鍵盤楽器が、跳ねる音、華やかなメロディーが、耳の中へと、広がる。


「ふーん。トランペットとか、大変そうだな」

駅のホーム前のベンチで、想大は、優月に言った。

「うん。和太鼓も追加するらしいね」

優月も、そう言って、有線のイヤホンを、耳から離す。


自分が、何の楽器をするかは、知らないが、少しわくわくしてきた。

それは、初心者故の油断か。





その翌日、茂華中学校も、自由曲が、決まろうとしていた。


「今年は、メトセラⅱ、という曲を、やります」

部活が始まる前、顧問の笠松明菜が、そう言った。


すると、CDから、音楽が流れる。

「…打楽器が多いね」

瑠璃は、ぼそっと、先輩の優愛に、そう言った。

「確かに。2人で足りるのかな?それとも、誰かが入るのかな?」

優愛の言う通りだ。


メトセラⅱ。打楽器の量が多い。曲の難易度も、相当なものだ。


「はい。今年は、この曲を、やります!」

しかし、狼狽など許されない。

「はい!」

部員は、気の入った返事をした。




「白夜ちゃん、またねー」

「優愛、また明日」

優愛が、友達と別れると、突然、笠松に、話しかけられる。


「榊澤さん、ちょっと良いかな?」

「はい」

優愛は、笠松の方へ、振り向く。

「あの…吹奏楽部に、2人、部員が入るの。それで頼みが、あるんだけど」

その言葉に、優愛は動揺する。

「新入…!何でしょう?」

「1人、打楽器に入れたくて」


それを聞いた優愛は、眉をひそめる。

「『メトセラⅱ』を選んだ理由って?」

「はい。新しい子が、入るから」

「…分かりました」


しかし、内心は、不安に塗れていた。

その新入部員が、どんな人物なのかさえ、分からない。その上、瑠璃にも不安が、のしかかるさもしれない。



そんな不安が、現実になるのも、時間の問題だった。

【次回】

音楽室騒然…

瑠璃大絶叫…


読んでいただき、ありがとうございました!


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