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吹奏万華鏡  作者: 幻創奏創造団
中間テスト&高校生たちの吹奏楽コンサート編
203/210

131話 【SPECIAL】 高校生たちの東藤町コンサート

ある人と再会…

今日は東藤の里というレジャー施設で演奏会だ。様々な高校の吹奏楽部が一堂に介するらしい。

「昨日も、遅くまで練習してたんだね?」

優月は、グレープを食べながら誰かに言う。紙のように柔らかく、歯ごたえのある生地がクセになる。

「…はい。大変でした」

それは、國井孔愛だった。彼はトランペット奏者で、中学から吹部経験者だったが、トランペットの技術はまだまだで、OGの雨久に教わっていた。

「…ふふ、じゃあ、今日は大丈夫なの?」

「ギリギリですね」

普段から彼は、井土から指導を食らっているので、それはそうなのかもしれない。

「僕も、大変だよ」

優月も優月で大変そうだ。

「え、タンバリンって簡単じゃないんですか?」

すると、孔愛はそう言った。

「…うーん、簡単には簡単だけど…、皆が注目してくれるような演奏の仕方をしなきゃいけないからね」

「…ああ」

「僕の奏者理念は、自分と同様、相手の心を盛り上げることだから」

「それは素晴らしいですね」

「へへ…」

だからこそ井土に言われたことも、すぐに実行に移せるのだ。

「あ、孔愛君、そろそろ戻る?」

「はい!」

そして自身たちの控えテントへ向け、ふたり静かに歩き出した。

「てか、筝馬は?」

そこで、途中で孔愛が言う。

「え、筝馬君は弟くんに、会いに行くって言ってたよ」

「あ~、そう言えばそうだった!」

少し忘れっぽいんだな、と優月は笑みをこぼした。すると孔愛が、

「身内が来るって良いっすね」

と言った。

「えー、身内かぁ。緊張しない?市営の時とか、緊張でミスるかと思ったぁ」

「あははは。言うてボク、親と仲悪いんで緊張しませんけど」

「仲悪いんだ。意外」

「ふふ、先輩は身内来るんですか?」

「…身内は来ない。でも近所の人とかは来てくれる」

「へー」

そんな会話をしていると、誰かに手をふられた。


「沢原さん」

優月はそれだけ言って、小さく手を振る。

「沢原さん?」

「うん。僕の家の隣に住んでる人。よくお世話になってるんだ」

沢原とは、少し年を食った親戚のような人だ。雅永の親友で、小さい時に優月の世話を何度か、引き受けていたらしい。

そんな優月は、あまり自身の身内や家庭、人間関係を話したりはしない。それは、部活と関係ないものだと割り切っているからだ。

「沢原さんね、僕のファンみたいなの。1年の春isポップン祭に、来てくれたみたいでね。それ以降は応援してくれるんだ」

「へぇ、意外です」

「まぁ、最近は会ってないんだけどね…」

家が近いと言えど、あまり会うことは無いのだが。それでも、たまに本番へ足を運んで見てくれる。


(まぁ、沢原さんにバケツドラムを教わった…とは言えないけど)

すると、筝馬が手を降ってきた。

「先輩、今、茂華高校です」

「え、美玖音ちゃん!?」

改めて数学のお礼をしたい優月は、演奏を見に行くことにした。


美玖音は、パーカッションセットを演奏していた。チャイナシンバルとスタンドシンバルを往復している。

相当な技術を有している彼女は、即興のアドリブも難なくこなす。創作能力の高い優月は、即興のアドリブをこなすこともできるけど、それは中々できることではない。 

「やっぱ、うまいっすねえ」

「ああ」

孔愛と筝馬は賞賛していた。

美玖音のことをよく知る優月も、それは同感だった。きっと何処ぞのウラ奏者より上手いに違いない。

そんな実力評価をしていると、あっという間に別の高校へと移った。


『皆さん、こんにちは!御浦高校でーす!』

御浦高校は相当な人数がいるのだが、今日は人数が少ない。どうやら2年生だけらしい。

ドラムの軽やかなリズムに乗るように、ベルからメロディーが飛び出す。陽気なポップスが、青空へ弾けたのだった。

「…あぁ、どの高校も上手いな」

筝馬が言う。彼も段々と実力が付いてきた。それは、優月の教えもあるのだが。 



「ゆゆー、久遠!」

御浦高校が終わると、ゆなに呼ばれた。

「すぐに楽器の準備すっよ」

「あ、うん」

「分かりましたー」

ふたりは、即座に楽器を組み立て始めた。それでも経験の差で、筝馬が組み立てるより、優月の方が何倍も早かった。

「…他パートも、時間ないから手伝え〜」

すると、ゆながオーボエのリードを噛むむつみ達へそう言った。

「はあ!?ゆゆと久遠がいるでしょー?」

「いや、ゆゆに限っては、ボルトの締め付けがあめーから」

「んな…、自分で直しなさいよ」

そんな騒がしい彼女たちに、

「少し静かにしてー。演奏始まるから」

井土が注意した。

確かに今から冬馬高校の演奏だ。人数は僅か8人。優月たち東藤高校吹奏楽部の人数より遥かに少ない。

その音楽は、あまり上手とは言えなかった。



優月はスタンドにタンバリンを突き刺す。真っ黒な型に銀の円盤が、テントの陰に触れて怪しく黒ずむ。

「…あとはチャイナシンバルかな」

チャイナシンバル。通常のシンバルとは違って、大きな口径をしており、外が少し凹んでいる。音は華やかで、かぁん!とハッキリした音が出るのが特徴だ。

他の人は、楽器のチューニングを終わらせると、パーカッションパートの組み立てを手伝い始めた。

「やはり、ホルンはいないのか…」

「!?」

男のような喋り方にそぐわぬ、可愛らしい声。その声の主を優月は知っている。

「あ、先輩」

「は、はい?」

「何か、持つものはありませぬか?」

「…ああ」

高津戸(たかつと)日心(にこ)。部内唯一のホルン奏者だ。和風が好きらしい彼女は、古い言葉や口調、習慣を重んじている。  

ちなみに、和太鼓に興味を持ち始めたことをキッカケに、日本由来のものに興味を持ったという。

「トライアングルを、スタンドに取り付けてくれるかな?」

「御意。分かりました」

日心は張り切って、トライアングルを掴み、スタンドへ取り付けた。

「あ、小倉先輩」

すると、彼女がトコトコと歩み寄る。

「脚の締付けが緩いです」

それだけ言って、彼女は思い切り脚のネジを締める。

「…あ、ありがとう」

安定しないサスペンドタンバリンを、一瞬で対処した。

「いえ」

日心はフフッと妖しげに笑った。まるで何かを見透かしたかのような視線を携えて。

「では、私は失礼致します」

「う、うん」

日心は底しれぬ魅力があった。こんな感じで話したあと、少しだけ彼女の人生観が気になる。



その時。

『はいー!楽器を出してくださーい!』

『はーい!』

井土の言葉に、全員が動き出した。手伝いに来た雨久も楽器を持つ。

その時、丁度アナウンスが鳴る。

『次は東藤高校吹奏楽部です。地元、東藤高校吹奏楽部は、部員…』

優月はタンバリンと、パーカッションスティックを眼前に構える。

(すぅー…)

失敗はできない。

そんな時、第一音…ゆなのシンバルが鳴り響いた。

優月はチャイナシンバルへ、スティックを一振り。Mrs.GREENAPPLEのReStartだ。爽やかなリズムが、ステージと観客席にいる人々を盛り上げる。


ゆなのドラムは、全てが完璧。しかし、ハッキリとリズムを刻むのは、優月と筝馬の役目だ。

優月はパーカッションセットを自在に操る。筝馬はビブラフォンでメロディーを奏でる。

茉莉沙のトロンボーンが響くと同時に、サビへ入り更に盛り上がりを増す。

『ご唱和下さい!』

井土の言葉に、その場にいた観客の殆どが首を前に突き出した。

『うぉおーおーおーおー!!』

その言葉を繰り返すように、大人たちが言葉を繰り返す。見ていたのは、手の空いた茂華高校の一部の奏者だけだったのは悲しかったが。

優月は、スプラッシュシンバルという、アクセントを加えるシンバルをも自在に演奏。凄まじい熱気と共に、音が一瞬だけ止まった。

…かと思うと再び、はっちゃけるかのように音が鳴り響いた。

最後、筝馬がタンバリンをフリフリと振る。しゃらしゃら…という軽い音を最後に、1曲目は終わってしまった。


続いて、氷空と孔愛のトランペットが鳴る。謎解きを感じさせるようなメロディーが、秋の涼しい空気を漂う。

優月は、スティックを左右に規則的に振る。

シンバルを叩いて合図した。その時、管楽器のリズムが思い切り弾け出す。

『続いては、なにわ男子のThe Answerです!』

美羽愛が言うと、悠良之介の後を追うように、メロディーを吹き鳴らす。

この曲は数年前の曲だが、『ドラマセクション』として演奏をする曲だ。

そう、真実はひとつ…。

頭の中で歌詞を流しながら、優月はドラムのリズムを刻む。その後、1Aの複雑なリズムを危なげながらも刻んでいく。

サビへ突入する瞬間、優月は一呼吸を入れる。ここは、トランペットの部分と同じタイミングで打ち出す。遅れでもしたら、曲調が不自然になってしまう。

ぱしん!

すると追従するかのように、トランペットのベルから、ぱぁん!と音が弾ける。

四肢でリズムを刻む感覚、それを忘れず演奏する。それが演奏を安定させることに繋がる。

その時、同じパーカッションパート。

ゆなはビブラフォン、筝馬はパーカッションセットと、先程とは異なる楽器を演奏していた。

2番へ入ると、フルートのソロだ。優月はリムを打ち鳴らし、ゆったりとリズムを刻む。

バスドラムの連打に連打するように、スティックを持ち上げ皮を打ち鳴らすと同時に、初芽と心音に拍手が送られる。

曲は進み、3サビへ。

ここは今まで通りに、スティックと足を上下させれば良いだけ。だが、

(うぁ…っ!?)

最後のスネアドラムとフロアタムのリズム。その衝撃で、スティックが跳ねた。

立て直せ!と優月はスティックを掴むが、運悪くハイハットの円盤に、強く打ち付けてしまった。

(しぃっ!!)

何とか、不甲斐ない叫びを押さえ、平常心を保ち、リズムを刻み切る。持ち手に付いたキズを気にしている暇はない。

秒針が流れると同時に、優月はタンバリンの方へと歩き出す。

打楽器パートは、曲によって楽器が違うので、移動が大変なのだ。


真っ赤なタンバリンを構えると、優月は井土の横へと立った。

すると井土のギターが響く。

だだっ、だだっ、だだっ、だだ…!

聞き覚えのある曲が流れる。

SHISHAMOの『明日も』だ。この曲は吹奏楽に人気な曲だ。去年の『御浦ジュニアブラスバンドクラブ』の定期演奏会でも演奏していたし、何より今年の茂華中学校の文化祭で、演奏する曲らしい。この明るいエールのような曲を、優月だけではなく、部員のみんなが好きだった。

当然、ドラマーのゆながドラムだ。そちらの方が優月も安心だ。

イントロと同時に、美鈴がマイクで観客たちを見る。

『みなさーん!今日は東藤の里5周年祭に来てくれてありがとうございましたー!!』

そして、トロンボーンを必死に吹く茉莉沙を、見ながら、

『このあとも色んな高校の演奏がありまーす。ぜひぜひ最後まで聴いていってくださーい!』

その陽気な声は、グルメを堪能する客の方まで響いた。マイクを井土が受け取ると、それをマイクスタンドに突き刺す。

『月火水木金、働いた〜♪』

井土の歌唱は、プロの歌手並だ。当然、歌声につられる他校の者もいた。


「あ、茉莉沙ちゃん」

「いたなあ」

その時、ふたりの男の子がハンバーガーを齧りながら、ステージの方を見る。

「ミナト、見に行ってこーい」

「え、沢柳先輩は?」

「俺がいると、メイ先輩ミスっちゃうから。メイ先輩からは見えん所で見るわ」

「あぁー。じゃあ、応援してくる」

港井冬樹はそう言って、トコトコとステージへと向かった。

「さて…、俺は優月を見たいんよな」

沢柳律。彼はそう言ってギタリストの方へと、黙って歩いていく。


その時、優月は思い切りタンバリンを叩いていた。手のひらでリズムを刻む。

もちろん、ただ打つのでは面白みに欠ける。だから左手でタンバリンを掲げ、右手で大袈裟に叩くのだ。伸ばし切った腕がじんわりと痛くなる。

『お、お、お、だーめだ、もーうだめだ、立ちあーがれーないー♪』

その声に呼応するように、トランペットの音程が下降する。まるでブルースな気分を思わせるかのように。

『そんな自分、変えたくて今日も行く♪』

優月は一瞬だけ、タンバリンを止める。しかし、次の瞬間には爆発したように、タンバリンのリズムが弾けた。

『良いことばかりじゃないからさ♪痛くて泣きたい時もある♪』

茉莉沙のトロンボーンが、より一層目立つ。この曲は、どこか楽団時代の茉莉沙と重なっている気がした。

軽いリズムと共に、細かい所でアドリブを入れる。ただ振るだけではなく、打った時の振動を利用したりと、その技術は素人離れしていた。


(うめーな。優月。あんな奏者ほしい。メイ先輩も居ていいな…。東藤)

沢柳はそう思ってしまった。

優月のように楽しそうに、タンバリンや他の楽器を楽しそうに演奏する人を、彼はあまり見たことがなかった。

優月の楽しそうな演奏。それは、タンバリンは下手な人がするものだ、という偏見を覆す演奏だ。

奏者として出来上がっているのだろう、同じ打楽器奏者である沢柳はそう思った。

そして、井土のボーカルと茉莉沙のトロンボーンソロだ。

『そんな時にいつもー♪誰よーりも早く♪』

茉莉沙のトロンボーンは、他の強豪より上手い。彼女以上の奏者は、もしかしたら、これ以上現れないかもしれない。

楽しげな感情と憂鬱な感情が、混ざった確かな音が響き渡る。確かな技術と表現力が、それをより引き立てていた。

そして最後の一音まで、優月は磨いたタンバリンの技術をいかんなく発揮した。

しゃらしゃらしゃら、た、た、た、た…! ぱん!

この優月のタンバリンが、このあと想定外の『展開』を見せるのだった。


すると、大きな拍手が鳴り響いた。瞳を震わせて感動する者もいた。他の強豪とは違う、楽しませることが心情である。それが東藤高校吹奏楽部なのだ。

『今のは、東藤高校吹奏楽部でした』

すると、井土の目配せで片付けが始まった。



それから、咲慧は優月を褒めてきた。

「優月くん、めっちゃ良かったよ」

「え…、何が?」

「ドラムも、タンバリンも、全部!!」

咲慧がこう褒めてくるのは珍しかった。

「あ、ありがと」

「ふふ」

すると彼女は楽しそうに、アルトサックスを片付け始めた。

「まぁ、皆が楽しんでくれたなら…」

『小倉先輩!』

片付けをしようとする優月に、誰かが横槍を入れてきた。

「ん?」

それは美鈴だった。

「あの…!先輩を呼んでます!」

「え、誰が?」

「飯村さんって方です」

「いいむら…?」


優月は控えテントを飛び出す。すると80代と50代ほどの婦人と、女の子がまるで目印かのように手を降ってきた。

「…ああ」

あれか、優月は一礼をする。

「演奏、良かったわ〜」

初めに賞賛したのは、80代ほどの婦人だった。

「あ、ありがとう…ございます」

「元気もらえたわあ」

「!!」

何だか、嬉しくて泣きそうになる。人の気持ちを動かす演奏ができたことが、とても嬉しかった。

すると、華高祭以来だね!と女の子が言う。

確か、バスクラリネットの飯村望美だ。渋々、ツーショットをした写真は、申し訳なくて今でも残っている。

「神平では、あんなに楽しそうに演奏する人いなかったから、見てて楽しかった」

「あ、ありがとうございます」

どうやら、望美は神平中学校の出身らしい。

「12月の定期演奏会…見に行くから、頑張ってねえ」

その言葉に、背中を押されたかのように、

「はい!」

と優月は真面目な返事をした。愛想よくしたかったのに、今、表情を崩してしまえば泣いてしまいそうだった。

(…誰かに憧れる奏者になれたかな?)

優月は、笑いながら考える。

「アタシも行くから?所でお名前は?」

「え、名前…ですか?」

名前を訊かれるか?と優月は少し困った。

「お、小倉(おぐら)です!」

「おおくら?」

「おぐらです」

「あー!小倉ね!」

すると、ゆなの叫び声がした。何かまずい!と優月はそそくさと撤退することを決めた。

「…失礼します」

ありがとうございました!と伝え、優月はテントへ向かった。


次に、片付けを終えた彼を待っていたのは、沢柳だった。

「沢柳君!?」

「優月、久しぶりだなー」

「久しぶり…。どうしてここに?」

「近いからだ」

「へ、へぇ。まぁ、野村市だもんね」

「なぁ…」

すると、彼の声色が変わる。それは真剣なものだった。

「…御浦の楽団に入ってくれないか?」

そして、本題はまさかの勧誘だった。

「優月の演奏は、技術と観客への煽りが両立している。君みたいな奏者がいれば…」

しかし、優月の答えは決まっている。

「ごめんね。僕、東藤の吹部にずっといるから」

「えぇ!?」

思うより驚いていた。

「…てか、僕みたいな人が入って大丈夫?たぶん、茉莉沙先輩より真面目だし、厳しい練習についていけるか」

そして、苦しい言い訳をする。その時、沢柳の表情がガラリと変わる。まるで餌を待つ子犬のように、キラキラしたものに変わる。

「大丈夫だよ!小倉君なら大丈夫!ぜーったい!」

その情けない顔。茉莉沙を苦しめた本人とは思えなかった。

「…まぁ、機会があったらね」

「はぁー!なんで、メイ先輩や、相馬さんみたいな上手い奏者が、いなくなるんだぁ!」

「…沢柳君も在籍可能なの、あと1年だもんね」

優月はとりあえず、苦笑するのだった。



『月には叢雲♪華には風と♪朧深に隠れた焦燥♪』

帰りは、井土の送迎だった。彼は文化部発表会で演奏する演目を歌っていた。彼の歌声は甘くて、まるでアイドルと共にいるかのようだった。ちなみに、隣には筝馬がいる。

「…ふぅ」

高身長の彼は、少し車内に窮屈そうだったが。

そんな優月は、考え事をしていた。 

この1年半。

大した楽器をやっていない優月が、注目を浴びた理由は、観客を煽って楽しませていたからだ。それがいよいよ、認知へと繋がった。

それは喜ばしいことだった。

(ただ上手くなりたい…ってだけじゃ、きっと皆を楽しませられない。だから…)

その時だった。


「ゆゆー、ドラムスティックは大丈夫?」

井土が肝心なことを訪ねてきた。

「あ、優愛から貰ったやつ!」

しかし、キズが目立っていて視界に堪えない。

「…たぶん、駄目かもです。修理しないと」

「キズ消しなら、泉愛楽器店が良いよ」

そんな優月に、井土は助言した。

「あそこは、打楽器を扱っていてね。私がバンドのサークルで、ギターを弾いてた時の友達がいるの」

「へ、へぇ」

「御浦にあるから。列車で行ってみ」

「あ、はい!行ってみます!」

取り敢えず修理の為に、後日御浦市を訪れるのだった。


そこで、とある人物に会うとも知らずに…。

そして、次なる本番は『文化部発表会』だった。

ありがとうございました!

読んでくれた方は、

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意見や面白かったら感想をお願いします!

ポイントやブックマークもお待ちしております!

次回もお楽しみに!



【次回】 優月と……吸血鬼のサックス奏者

10月22日 水曜日(8時30分)投稿



 …NEXT STORY…

 天龍が茂華中学校に演奏しに来ることに…?

 優月と瑠璃の過去…そして長編版に繋がる物語。

 11月以降投稿予定


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