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吹奏万華鏡  作者: 幻創奏創造団
夏休み終盤 ポプ吹コンクール編
172/209

100話 定期演奏会の序章

定期演奏会編に続く物語です!

そして100話を突破しました!

読者の皆様、本当にありがとうございます!


ポプ吹コンクールのリハーサル後、井土はこう言った。

『…では、定期演奏会についての話しを始めます』

そう言う井土の顔にいつもの穏やかさは無かった。少し強張っていた。まるで何かを恐れているかのように。

「今年から色々変えようと思います」

その言葉に、彼の予想通りに部員たちはざわめいた。

「今年から、今までやった曲ではなく、皆さんのやりたい曲をやろうと思います。そして部員全員で1つの物語(ストーリー)を作ってもらおうと思います」

辺りがガヤガヤと反応する。

「…それってどういう事ですか?」

心音が反応する。

「ですから、部員全員で曲を決めて、物語まで作ってもらおうと考えてます」

優月は辺りを見回す。今日に限って、颯佚と咲慧がいない。颯佚は風邪を引き、咲慧は通院で早退したのだ。1年生も孔愛がいない。

これには流石の茉莉沙も困った顔をしていた。むつみに限っては見てられないという表情をしている。

「…私たちがまとめるんだよなぁー」

むつみは消え入るような声で言う。

「本当に心配…」

茉莉沙も難色を示す。

1から作り上げるというのは荷が重い。しかも、この先も退部者が出るかもしれない。

そんなプレッシャーと戦いながら、定期演奏会を作り上げるのは大変なことだ。

これを理解しているのは部長と副部長、ただ2人だけだった。


すると井土は少し表情を崩す。

「もちろん、私も放置というわけではなく、アドバイスなどはしたいと思っています」

それでも大変だろう。

そして、優月もかつてない窮地に立たされるのだ。



「…わー、どうしよもない」

優月は男子1人という苦しい状況に立たされる。

「私はー、恨みのある人に復讐とか」

「え、めっちゃいいー!」

「それっぽい曲、探してみよー」

ゆな、心音、氷空、ほのかの話しをただ聞くことしか出来なかった。ゆなは既に計画(プロット)を立てているのか、スイスイと押し進めていた。

「…うーん、曲がまず思いつかない」

1人だけマイナス意見を吐き出す優月に、ゆなは少し眉をひそめた。

「まず物語を考えればどうなの?」

その苛立ったような声に、優月は小さく頷いた。

「うん」

優月も少し眉間に皺を寄せる。

物語が思いつかないから、曲を先に決めようとしたのに…。口にしようとした言葉は胸の奥へと逃げ帰ってくる。

なぜか、最近はゆなの言いなりだ。

彼女の過去を聞いてから、何となく彼女に逆らえなくなった気がする。

それが、ゆなとの対立を起こすとも知らずに…。


そして更に最悪なことが、この黒嶋氷空だ。

氷空は男子と話したことがないのか、優月と目も合わせてくれない。ほのかとはまた違うタイプだった。

「…はぁー」

ほのかと心音、氷空はずっと3人まとまって話していた。ゆなはたまに3人へ口出しをする。

見事、優月の孤立状態が完成した。

演奏面が少しずつ充実してきたと思えば、次は人間関係だ。部活はこれだから大変だ。それだからやり甲斐がある。

そう感じるのは、彼にはまだ早かったのかもしれない。



午後の太陽が地上をめらめらと照らしつける。

帰り道、優月は小さくため息を吐いた。今日は誰ひとりとも帰り道に会わなかった。

「…このままじゃ、孤立しちゃうかな」

咲慧や颯佚がいない日や、ふたりの生徒会の日は大体こうやって孤立してしまう。

これは、何とかするべきなのか?


そして定期演奏会を前に、ゆなとの対立が起きてしまう…。

このストーリーは定期演奏会に続きます。

お楽しみに!

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